「再チャレンジ」カテゴリーアーカイブ

行政-再チャレンジ

誰でも保育

8月3日の読売新聞都内地域面に「就労問わず定期保育 0~2歳児都が事業 高まるニーズ 受け入れ施設確保課題」が載っていました。

・・・保護者が就労しているかどうかにかかわらず、0~2歳児を保育施設で定期的に預かる都の事業が7月から始まった。保護者や支援団体からは歓迎の声があがるが、就労中の保護者の子どもを優先させたい自治体側の思惑もあり、受け入れ施設の確保が課題になっている。

「1年ぶりに一人でゆっくりとランチができた」。7月中旬、文京区立の認可外保育施設「春日臨時保育所」に次女(1)を預けた育児休業中の女性(41)は、ほっとした表情を見せた。同施設では7月から、1日6人を限度に預かっており、この日は0~1歳児の保護者5人が利用していた。
都が始めた事業は、時間単位で不定期に子どもを預ける一時保育と異なり、曜日を決めて定期的に預けることができる。他の子や保育士ら多くの人と接することで子どもの発育を促しつつ、保護者の負担軽減を図るのが狙いだ。

子育て支援を行う認定NPO法人「フローレンス」(東京)などが昨年3月、全国の未就学児の保護者2000人にアンケートしたところ、子どもを施設に通わせていない保護者の56・4%が定期的な保育サービスの利用を希望したという。

先着順で利用者を募った春日臨時保育所では、受け付け開始10分で最大30人の枠に対して100人以上の申し込みがあり、最終的に179人に達した。文京区の永尾真一・子ども施設担当課長は「潜在的な需要が想定をはるかに上回っていた」と語る。7月上旬に募集を行った中野区でも、2施設計4人の枠に25人の申し込みがあった。
だが、高まる保護者のニーズに、受け入れ側が追いついているとは言いがたい。
都によると、事業を始めた文京、中野区に加え、9区市が都に年度内の事業実施を内々に伝えてきているほか、16区市が導入を検討している。一方、各区市が事業への参加を都に届け出た施設数は、1自治体につき数か所ずつにとどまる・・・

7月16日には「ワンオペ主婦 負担軽減策 モデル事業 「誰でも保育」希望殺到」も載っていました。

孤独感、若い世代で強い

8月2日の日経新聞が「孤独感、30代男性・20代女性で多く 23年厚生労働白書」を伝えていました。

・・・厚生労働省は1日、「つながり・支え合い」をテーマにした2023年の厚生労働白書を公表した。孤独感が「常にある」と評価されたのは30代の男性で10.4%、20代の女性で11.2%で、この年代がそれぞれの性別で最も多かった。60代以降に比べ20〜50代が高く、会社など社会と接点が多いはずの現役世代で孤立感が強くなっている。
調査は「人とのつきあいがないと感じることがありますか」など「孤独」という言葉を用いずに尋ね、点数化した。孤独感が「常にある」「時々ある」との評価になった人は男女ともに20〜50代で5割を超えた。60代以上では30〜40%台にとどまった。

単身世帯の割合は20年に38%と4割に迫る。新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークやオンライン会議などが普及し、対面で接する機会が減少したことも孤独感を増す一因と言えそうだ。
引きこもり状態にある人では約半数が3年以上、20%以上が7年以上、と長期化が深刻になっている。高齢の親と働いていない50代の子が同居し生活困窮に陥るといった「8050問題」も指摘されている。

8050問題のような複数の課題を抱える家族の場合、「生活保護と介護サービス」のように社会保障のいくつかの施策を横断的に講じなければ解決できない。白書ではこれを「制度の狭間にある課題」と指摘し、他にもヤングケアラーやひとり親などを重点支援の対象に挙げた・・・

子どもの時に受けた心の傷

7月28日の朝日新聞夕刊「幼少期のトラウマ、アスリート学生に影 天理大学生相談室・金子栄美さんに聞く」から。これは、運動選手に限ったことではないですよね。

自傷行為に走る、大事な試合で実力が出せない――。そんな状況に陥るスポーツ選手は、子どもの頃に身体的、精神的、性的な暴力を受けたトラウマ体験を抱えていることがあると、研究で指摘されている。アスリート学生の相談を受けてきた天理大学生相談室・金子栄美さんは、その実態を見てきた。アスリートは、暴力や暴言にも耐えるものだという思い込みがあることも感じたという。

カウンセラーで臨床心理士の金子さんのもとには、オーバートレーニング症候群など心身の不調を訴える人から、リラックスしたいという人まで、さまざまな人が訪れる。
相談室を訪れた1人のアスリート学生は、「ベストタイムが切れないんです」。順調に練習を積んでいるにもかかわらず結果が出ない。
カウンセリングをじっくり進めているうちに、小さい頃、親に告げずに外出して、顔を殴られたというトラウマがあることがわかった。本人もこれまで閉じ込めていた記憶だった。このトラウマのケアをしていくと、肩の動きを悪くしていた筋緊張がなくなり、競技でもベストを出すことができたという。

別の学生は、なぜか自分に自信が持てない。周りの人に「それだけ俊敏に動けて、技術もあるのになぜ勝てないのか」といぶかしがられるくらい、あと一歩というところで思い切ったプレーができず勝てなかった。中学生の時、「どうせお前には無理」と指導者に言われ続けたことがトラウマになっていた。
もう1人の学生は、ある時から突然、調子が悪くなり、イライラが募るようになった。家族や周りの人ともちょっとしたことでケンカをするようになった。カウンセリング中に、過去にいじめられたことや指導者の不適切な対応がトラウマ体験となっていたことに気づいた。ケア後、格段に動きが良くなった。急な変化に周りも驚いた。

子どもに放課後の居場所を

7月25日の日経新聞、平岩国泰・放課後NPOアフタースクール代表理事の「子どもに放課後の居場所を 選べる場、自己肯定感増す」から。

諸外国に比べて低い日本の子どもや若者の自己肯定感をどう高めるか。特定NPO法人「放課後NPOアフタースクール」(東京)の平岩国泰代表理事は学校の取り組みには限界があり、放課後の居場所を充実すべきだと訴える。

小中高の学校現場は夏休みに入った。夏休み明けは子どもの自殺が多い。昨年は小中高生の自殺が年500人を超え、過去最多となった。主要7カ国(G7)で10代の死因の1位が「自殺」なのは日本だけである。
小中高生の自殺の4割は学校・学業起因とされる。若者の数が減る中で、自ら命を絶つ人が増えている現状は胸が苦しくなる。
この問題に関連して指摘されるのが日本人の若者の「自己肯定感」の低さだ。内閣府の国際比較調査(13〜29歳対象、2018年)によると「自分自身に満足している」と答えた人は45%しかおらず、最も高い米国の87%はもとより日本の次に低い韓国74%と比べても極めて差が大きい。

私が代表理事を務めるNPO法人は小学生の放課後を支える活動をしている。その柱が「アフタースクール」の運営だ。放課後の小学校で毎日開校し子どもはいつ、誰でも参加できる。
学校施設を広く活用しスポーツ、音楽、ものづくり、料理、遊びなど多彩な活動から選んで参加できる。地域や社会の大人が「市民先生」として共に活動してくれる。
全国の自治体との協働にも取り組み、兵庫県南あわじ市などアフタースクールを全市的に導入するケースも出てきた。

15年以上活動してきて強く実感するのは「放課後と子どもたちの幸せは相性が良い」ということだ。放課後に自己肯定感を高める子もとても多い。なぜか。キーワードを4つ挙げたい。
1つ目は「居場所」だ。内閣府の子供・若者白書(22年度版)によれば、居場所の数が増えるほど自己肯定感が上がっていくことが分かっている。
2つ目は「余白」だ。今の子どもは生活に余白がなく、生き急ぐように見える。都会では特にスケジュールに追われる子が多く、週末の習い事を含め週に7日予定がある子が少なくない。放課後の活動中に「次にどうしたらいいの?」と聞いてくる子や「どう過ごしたい?」と聞くと「わからない」という子も多い。子どもが試行錯誤する時間がないのだ。
3つ目が「伴走者」だ。自己肯定感は1人で自動的に育まれるものではなく、自分を受け止めてくれる存在があってこそ高まる。
子どもの支え手である親・先生はとても忙しい。そこで私たち市民の出番だ。アフタースクールの市民先生が子どもを支える姿をたくさん見てきた。市民先生は子どもに伴走的に寄り添い、ほかの子と比べない。
4つ目が「貢献感」だ。小学校を卒業する6年生が以前語ってくれた。「アフタースクールには低学年の子がいて自分が相談相手になれた。ここでなら私が役に立つと実感できて、私がいていい居場所があった」
同学年の教室では誰かに貢献できることは少ない。ゆえに異年齢の子がいる環境は重要だ。何かをしてもらうばかりが子どもではない。「自分も誰かに何かができる」ことに気づいた子が成長の一歩を踏み出す。

居場所・余白・伴走者・貢献感、4つのキーワードがまさにそろうのが「放課後」だ。だからこそ子どもたちの幸せと相性がよい。小学校低学年では学校は年1600時間、長期休みを含む放課後は日曜日を除いても年1600時間以上ある。放課後は長いのだ。

男女共同参画白書、令和モデル

7月6日の読売新聞解説欄に「男女共同参画白書 「令和版」社会モデル 模索 働き方多様化 変革の好機」が載っていました。

・・・内閣府は先月、2023年版男女共同参画白書を発表し、目指すべき社会像を「令和モデル」として提唱した。実現すれば国の成長につながるとした。長時間労働などを前提とした「昭和モデル」からの脱却を促すが、新しいモデルを社会の共通認識にするための対策が必要だ。

白書は毎年、社会のあり方を提言してきた。昨年、結婚と家族をテーマにし、「もはや昭和ではない」と訴えたが、今回はそこから一歩進めた形で、「令和モデル」と命名した。誰もが希望に応じて仕事や家庭で活躍できる社会をいい、男性の長時間労働是正や女性の家事・育児の負担減などの必要性を記した。
あえて「令和」と掲げたのは、今も残る「男性は仕事、女性は家庭」といった古い考え方や雇用慣行を「昭和モデル」として対比させ、脱却を訴えるためだ。
白書では、昭和の高度経済成長期に確立された長時間労働や転勤を当然とする雇用慣行が今も続き、女性に家事・育児の負担が偏っていると指摘。仕事、家庭の二者択一を迫られる状況は、労働力人口減少が深刻な中、少子化や経済成長の面で損失が大きいとした・・・

・・・背景には、家族構成の変化に加え、若者が理想とする生き方が大きく変わってきている実情がある。
18〜34歳の未婚男女が描く結婚後の女性のライフコースは、1987年は「専業主婦コース」が主流だったが、平成には、結婚や出産で退職し、子育て後に再び働く「再就職コース」が中心に。そして、2021年には結婚・出産後も仕事を続ける「両立コース」が初めて最多となった。また、子を持つ20〜39歳の男性で、家事・育児時間を増やしたい人は約3割に上った・・・

私が連載「公共を創る」やコメントライナー「一身にして二生を過ごす」で説明している、昭和の標準家族の終了です。