カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第228回

2025年7月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第228回「政府の役割の再定義ー異論に耳を傾けることの大切さ」が、発行されました。

政治家と官僚の関係がうまくいっていないことの説明を続けています。
国会議員が官僚を怒鳴ることは、過去からありました。私もで何度か、そのような目に遭ったことがあります。説明を求められて議員会館の事務所に行った際に、議員の意向に添えないことを説明したら、罵倒されたことがありました。長時間、半ば「監禁状態」に置かれたこともあります。当時はそれが当たり前と思っていましたが、いま考えると変なことでした。
そのようなことが行われたのは、官僚が「力を持っている」「政治や政策を決めている」という前提があったのではないかと思います。政治家が自らの意思を通そうとするなら、個々の官僚を怒鳴って従わせるのではなく、政治主導によって実行すればよいのです。

第2次安倍政権時代以降、「野党合同ヒアリング」と呼ばれる場が、しばしば開催されました。野党議員が合同で、会議室に各省の官僚を呼んで、特定の政策や案件について質問をするのです。そして時に官僚を怒鳴りつけ、官僚が無言のまま立ち往生したり、頭を下げて謝るといった場面がありました。その様子は動画サイトで中継され、「官僚つるし上げ」ともいわれました。

旧自治省では、「二度は反論して良い」と教えられました。さすがに政治家には二度も反論することは控えましたが、状況を見て異論を言うことを試みました。
私の話を最も聞いてくださった(ただし意見を容れてくださるかどうかとは別です)のが、麻生太郎・総務大臣でした。そして、首相を目指しておられた麻生大臣から、政策についての意見を求められるようになりました。
2008年9月に発足した麻生内閣で、筆頭格の首相秘書官に起用されました。首相秘書官になっても、このような関係は変わりませんでした。というより、他の人が言わないこと、時に首相にとっては「耳の痛いこと」を言うのが、私の任務だと考えていました。

「管理職の必須知識」講義

2025年7月7日   岡本全勝

今日7月7日は、市町村アカデミーで、「管理職の必須知識講座」の講義をしました。私の役割は、研修の冒頭で、この研修の意図を説明するものです。この研修は、4年前に、私の発案で作ってもらいました。

その意図を、「コメントライナー」(2022年3月1日号)に、概ね次のように書きました。
・・・企業も役所も、管理職の育成に悩んでいます。職員を使って業務を達成するという任務は変わらないのですが、社会の変化や従業員の意識の変化に対応する能力が必要となりました。
これとは別に、管理職に必要な知識が増えました。情報通信技術とサイバーセキュリティ、コンプライアンス、不祥事が起きた際の広報対応、災害時の業務継続、仕事と生活の調和、セクハラやパワハラの防止、心の不調を抱える職員への対応などなど。
担当している業務の専門知識の前に、このような共通知識が必要になりました。これは意外と気がつかれていません。
これらの項目それぞれに、専門書や研修はあります。ところが、これらの一覧、「管理職ならこれだけは覚えておこう」という教科書がないのです・・・

管理職になったばかりの人、これから管理職になる人が、参加しています。皆さん、熱心です。質問も、ふだん悩んでいる問が出ました。

連載「公共を創る」第227回

2025年7月4日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第227回「政府の役割の再定義ー官僚の意見を聞かない「政治主導」」が、発行されました。

政治家と官僚との意思疎通の重要性を議論しています。ところが、首相官邸と各省との間で十分な打ち合わせがなされない場合や、信頼関係ができていない場合があるのです。
前回、安倍晋三首相の回顧録から、「安倍政権を倒そうとした財務省との暗闘」の記述を紹介しました。財務省が安倍首相を「引きずり下ろそうと画策した」というのです。この記述は、首相本人が語っておられる回顧録です。見出しに部下組織との「暗闘」と書かれるのは、穏やかではありません。

菅官房長官・首相は、本人が自ら、総務相時代に、総務省幹部の反対を振り切って、意に沿わない課長を更迭したと書いておられます。また、財務省主計局長の説明に対し、資料を投げつけ、怒鳴ったとも報道されています。
「役人として面従腹背が必要」と発言した、元文部科学事務次官もいました。「忖度」という言葉も、流行しました。

「面従腹背」にしろ「忖度」にしろ、かつては役所では聞かなかった言葉です。そのような言葉が必要な状況になったとすると、大きな問題があるように思えます。そのような状況では、当時の多くの官僚たちは、力を十分に発揮することはできなかったと思われます。
このような事態が生じたのは、官僚主導から政治主導へ転換しようとする意識が、過度に働いたことによるとも考えられます。「政治主導とは官僚主導の否定である」と意識されたのです。そして、官僚の意見を聞かないこと、官僚の意見に反対することが、「政治主導」と思われたのかもしれません。

人事院初任行政研修その2

2025年7月3日   岡本全勝

今日7月3日は、人事院の人事院初任行政研修で、入間市の研修所に行ってきました。先日の基調講義を基に課題を与えてあり、その発表です。研修生たちは6人から7人の班に別れて、与えられた課題を議論し、発表します。課題は3種類あり、各班はそのうちの一つを与えられます。合計18班です。

今回は3つの教室に分かれ、指導教官は私のほかに、被災者支援本部で一緒に苦労してくれた、福井仁史・国立公文書館首席調査員と、辻恭介・内閣人事局総括参事官にお願いしました。それぞれ6班ずつ担当します。休憩を挟みつつ、13時半から17時までの、長丁場でした。

各班ともよく調べてあります。班によって、論点の整理や対応策が異なるのですが、資料の作成、発表も良くできていました。採用されてまだ3か月ですが、しっかりしています。
これまでにない事態に、どのように対処するか。その場合は、想像力の勝負になります。各課題とも、正解のない問題です。各課題の論点それぞれについて、正解は期待していません。まずは、必要な論点を漏らさず書き出すことが重要です。

もう一つは、他省庁の職員、初めて出会った人たちが議論をして、一定の結論を出します。司会者、論点整理担当、記録、発表担当、質疑応答担当などを、自分たちで決めていかなければなりません。そして進行を管理する人がいないと、前に進みません。その過程が重要なのです。

「目標設定と職場のマネジメントの実践」の講義

2025年7月2日   岡本全勝

今日7月2日は、市町村アカデミー「管理職を目指すステップアップ講座」研修で、「目標設定と職場のマネジメントの実践」の講義をしました。
教授陣の意見を取り入れて、今回は班別討議を充実しました。2時間半のうち前半を私の講義、後半が班別討議です。5~6人の班を9つ作り、3班ずつ、違う部屋に分かれます。それぞれの部屋で、違う課題を与えます。職場で起きそうな問題です。対応策を考え、各班ごとに発表します。それに対して、残る2班が質問をします。

さすが、管理職を目指す人たち、そして自治体から送られてきた人たちです。どんどん議論が進み、白板に整理し、そして発表をこなしました。それに対し、鋭いツッコミが入ります。もちろん、正解が一つあるような事例ではありません。みんなで考えることで、一人では出てこないような発想が出てきます。
各班とも、賑やかでした。その様子を見ていて、今回の研修は成功だったと確信しました。

補足
講義の際に触れた「お詫びの仕方」は、このページです。