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社会のリスクの変化と行政の役割

月刊『地方財務』(ぎょうせい)で、2010年10月号から連載中。
2011年4月号で中断中。すみません。大震災というリスクの対応を実践しています。原稿は後回しです。

(目次)
はじめに-政府が取り組まなければならないリスクとは何か・・・2010年10月号
第1部 社会のリスク
第1章 リスクの分類-私たちを取り巻く新しいリスク・・・2010年11月号
1 リスクの分類
2 分類の視点
第2章 政府の対応-進む対策・・・2010年12月号
1 武力攻撃事態や災害への備え
2 事故や犯罪への対策
3 健康の危険への対策
4 社会生活の危険への対策
第3章 新しいリスクはなぜ生まれるのか-豊かさの影・・・2011年1月号
1 新しいリスクとは何か
2 科学技術が生む新しいリスク
3 豊かな社会の新しいリスク
第4章 政府の役割の変化-豊かさから安心へ
1 リスクに対する政府の役割・・・2011年2月号
2 個人の責任、政府の責任・・・2011年3月号
3 リスク社会と国家の変貌・・・2011年4月号

第2部 行政組織のリスク
第5章 自治体の危機管理
第6章 「行政の危機」を管理する

(連載の原稿)
今日は、頑張って、原稿を書き上げました。雑誌『地方財務』10月号から連載する予定の「社会のリスクと行政の役割」です。このホームページでも書いていましたが、日本大学法学部大学院で半年間講義をし、またいくつかの場所で講演をしました。それを、連載する予定です。乞うご期待。もっとも、長尾編集長の厳しい眼に、合格したらですが。
講義ノートはあるのですが、原稿の形にするには、労力が必要です。連載は久しぶりなので、勘を取り戻すのに、時間がかかります。本業でも講義がありますし、それ以外の講演や原稿も引き受けているので、なかなか時間が取れません。自分で、忙しくしているのですがね。(2010年8月21日)

月刊『地方財務』10月号に、拙稿「社会のリスクの変化と行政の役割」第1回が載りました。
近年、これまでにない社会のリスクが顕在化し、政府(中央と地方)は、対策を迫られています。大震災、テロ、ミサイル発射、製品事故、新型インフルエンザ、サイバーテロといった、生命・身体・財産への被害だけでなく、いじめ、引きこもり、自殺、セクハラ、虐待、無縁社会といった、人間関係のリスクも、大きな問題になっています。
また、かつて日本は、世界一安全で安心な国だと言われていました。しかし、国民の安心は揺らいでいます。なぜ、そうなったのか。それを生んだ社会の変化と、行政の役割について考えます。
内閣官房再チャレンジ室長や、総理秘書官を務めていた時に考えていた課題を、整理し直そうという試みです。日本大学法学部大学院で、春学期に講義したノートを基に、執筆中です。(2010年10月5日)

10月号を読んだ読者から、早速、お便りがありました。次のような趣旨です。
・・岡本校長の講義で聴きましたが、戦後50年で大方の行政サービスが出揃い、豊かになったからこそ発生したリスクも多いという気がしました。今後、どのように話が展開してくのか、大変興味を持っています・・
ありがとうございます。私が対象としているのは、現在の日本社会であり、日本の行政です。びっくりするような新事実を書く、わけではありません。しかし、「このような見方もあるのか」「そう考えると、わかりやすい」と言っていただけるような角度からの、分析をお示しできたらと考えています。励ましのメールを頂いたので、頑張って続きを書きましょう。(2010年10月6日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」の11月号のゲラが届いたので、朱を入れて返送しました。長尾編集長が、まず朱を入れてから、送ってきて下さいます。間違いなく、私の原文が、読みやすく正確になっています。いつも、「なるほどねえ」と感心し、反省します。私は、かなり読みやすい文章を書いている、つもりなのですがね。
昔と違い、原稿の受け渡しはデジタルですから、校正も楽になりました。文章が落ちたりすることや、誤植はないです。原稿とゲラとの読み合わせは不要です。それでも心配なので、見比べはしますが。しかし、これで安心できず、12月号の原稿締め切りが、迫ってきます。(2010年10月15日)

今日は、『地方財務』連載12月号の原稿を、完成させました。今回は第2章で、新しいリスクに対する政府の対応を、具体的に並べました。元となる日大大学院での講義ノートはあるのですが、もう一度事実確認をすると、結構時間がかかりました。
その点、インターネットは便利ですね。これがなければ、それぞれの対策や法律を確認するのに、もっと多くの時間がかかり、とても間に合いませんでした。ミサイル防衛から共生社会まで、これだけの範囲のリスクと対応を一人で調べるのは、やや無理がありますね。しかし、私が得た知識や教訓、またこのような見方もあるのだということを、皆さんにお伝えできればと思って、頑張っています。
それでも、締め切りまでに編集長に送れば、一安心。でも、すぐに次の号の締め切りが来ますし、来月末締め切りの原稿をもう1本抱えています。(2010年10月24日)


連載「社会のリスクの変化と行政の役割」が載った、月刊『地方財務』11月号が発行されました。第2回目は、第1章リスクの分類-私たちを取り巻く新しいリスク-です。古典的な身体・生命・財産へのリスク(災害、事故、武力攻撃など)だけでなく、経済社会システムへのリスク(ライフラインの途絶、金融危機など)や人間関係(他者との関係、社会とのつながり)へのリスク(不登校、引きこもり、自殺、児童虐待など)まで範囲を広げて、近年の社会のリスクを整理しました。
インターネットにたとえると、古典的なリスクはハードウエアの故障です。机の上のパソコンが、金槌で叩かれたようなものです。二つ目の経済社会活動の混乱は、ネットワークの故障です。パソコンは正常ですが、光ファイバーがとぎれるか中継装置が故障して、インターネットがつながりません。三つ目の人間関係へのリスクは、コンテンツの障害です。パソコンもネットワークも問題がない、しかし画面では文字化けが起こって意味が通じません。
私の主張は、政府(中央、地方)は、この新しいリスクへの対応を迫られているということです。ご関心ある方は、お読みください。(2010年11月1日)

今日は、連載「社会のリスクの変化と行政の役割」12月号の、印刷原稿の校正をしました。出張中に、自宅にゲラが届いていました。ここまでは順調なのですが、ほっとしておられません。容赦なく、次の締め切りが追いかけてきます。パソコンと基礎データを中国に持っていったのですが、時間が取れず、そんなには進みませんでした。出張先のホテルで書こうという魂胆が、間違っていますよね。(2010年11月13日)

(ウルリッヒ・ベック氏)
11月11日の朝日新聞夕刊が、ウルリッヒ・ベックさんの来日を、取り上げていました。ベック氏は、ドイツの社会学者で、著書『危険社会』で有名です。
彼の主張するリスク社会論は、多岐にわたるのですが、私はそのうちの「近代後期の個人化」に、大きく影響を受けました。最近、講義し連載している「社会のリスクの変化と行政」は、それを基にしています。(2010年11月16日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」1月号の原稿を書き上げ、長尾編集長に送りました。ネパール出張の飛行機の中、カトマンズのホテルで、精を出した甲斐がありました。旅先では確認できなかった点を調べて、今日完成させました。
例によって、ある文章をあっちへ持っていったり、こっちとくっつけたり。小さなか所で行き詰まってみたり。あれも書きたい、これも書きたい、でもバランスを失する。良く書けたと思っても、全体を通してみるとすわりが悪く、ばっさり削ったり、と悩み続きの執筆でした。締め切りが来たので、このあたりで手放します。
今月締め切りの原稿が、もう1本残っています。そろそろ、年賀状の苦行にも、着手しなければならないし。(2010年11月27日)

連載第3回が載った、月刊『地方財務』(ぎょうせい)12月号が発行されました。今回は、第2章「政府の対応-進む対策」です。第1章で取り上げた様々なリスクに対し、中央政府と地方政府が近年充実した対策を、解説しました。
法律や事実を確認するのに、結構な手間がかかりました。ご関心ある方は、お目通しください。また、「これが抜けている」といったものがあれば、御指摘下さると幸いです。(2010年12月4日)

連載「社会のリスクの変化と行政の役割」第4回が載った、月刊『地方財務』1月号が発行されました。今回は、第3章「新しいリスクは、なぜ生まれるのか」です。第1章と第2章は幅広い事実の整理でしたが、第3章からはそれらの背景を分析します。
近年、リスク論や危機管理論が流行する背景には、新しいリスクが増えたことがあると言われます。しかし、よく見ると、古くからのリスクが再認識されたり、社会のリスクに「格上げ」されたものもあります。
それらを除いて、新しいリスクが生まれる原因は、一つには科学技術の発達であり、もう一つは豊かな社会が生む新しい不安です。それを、解説しました。ご関心ある方は、お読みください。「ふ~ん、こんな見方もあるのか」「そうか、こうなっているのか」と思っていただければ、うれしいです。
2月号の原稿は正月休みに書き上げ、編集長に送って、一安心。しかし、編集長からは、「3月号の原稿は、今月末が締め切りです」と、温かい言葉(!)を頂きました。はい。(2011年1月5日)

連載『社会のリスクの変化と行政の役割』3月号原稿を、昨日書き上げて、編集長に送りました。先日、2月号の原稿を渡したばかりなのに、すぐ1か月が経ってしまいます。
2月号から、第4章「政府の役割の変化」に入っています。3月号は、個人の責任と政府の責任を、いろんな角度から解説しました。オリジナルなことはそんなに書いていないのですが、行政学、福祉論、法学、経済学、心理学などのこれまでの知見と、日本の現状・具体例を広い視野から整理しようと試みています。管見では、そのような視点から整理したものが見あたらないので、結構「時間と体力」が必要です。
いろいろと書きたいことが浮かんできて、2月号は第1節だけで分量を超過。3月号も第2節だけで、分量をはるかに超過。第3節は、4月号に先送りしました。2月は28日しかないので、すぐに次の締め切りが来ますね。

「明るい係長講座」

富山県庁で、購入できなくなりました。
この小冊子を元に、時事通信社の専門誌『地方行政』で、「明るい公務員講座」として連載しました。また、単行本にしました。「明るい公務員講座のページ

1996年、富山県職員研修所刊(2011年、?刷り)
これまで、いろいろなところで、組織管理を経験しました。「明るい係長講座」は、富山県総務部長の時に、研修会でしゃべった内容を、小冊子にしたものです。笑いながら読めて、中間管理職のコツがつかめます。
職場での部下の悩み、上司の悩みは尽きません。しかし、本人にとっては「大事件」かも知れませんが、経験者から見ると、案外簡単なことで悩んでいる場合が多いのです。私たちは、「人類始まって以来の大事件」には、そうは出会いません。パニックになったり、一人で抱え込んだりせずに、その道の先輩に聞きましょう。

「明るい係長講座」増し刷り
拙著といっても小冊子ですが、「明るい係長講座」(初級編、中級編)が、増し刷りされました。ありがたいことです。富山県職員研修所に、お礼を言います。「部下に読ませています」といったお話しも、時々いただきます。使っていただいている、ということですね。
平成8年に出たので、もう14年も前のことになります。「パソコンが職員一人に1台ずつ行き渡り、電子メールで便利になるでしょう」といった記述もあるくらいです。うーん、時間が経つのは早いですね。
「続編を書いて欲しい」「おわびの仕方を書いてください」「いやな上司に仕える場合は、どうしたらよいのですか」などなど、ご要望も多いです。いろいろ温めてはいるのですが、ほかのことが忙しくて。申し訳ありません。これも、将来の宿題です。(2010年3月3日)

「明るい係長講座(初級編)」
目次
1 自信を持とう
2 明るい職場
(1)いつもニコニコ明るい上司-職場の雰囲気についてー
(2)おはようございます-あいさつの効用について-
(3)北風と太陽さん-部下の指導について-
3 楽々職員術
(1)一人で悩むな抱えるな-仕事の進め方について-
(2)メモを使え-正確な報告について-
(3)家族にも分かる文章-文章の作り方について-
(4)傾向と対策-説明の仕方について-
4 中味と器
(1)人は外見で判断される-身だしなみについて-
(2)書類の山に埋もれるな-職場環境について-

「明るい係長講座(中級編)」
目次
1 よい上司になるためには
(1) 任せる上司は大物か-部下への委任について-
(2)ドタバタするよりスケジュール-業務の進行管理について-
(3)口伝よりマニュアル-引継書と事務処理要領について-
(4)何を切り捨てるか-優先順位について-
2 自分を磨く
(1)視野を広げよ-判断力の養い方について-
(2)私の発想法
3 心と体の健康
(1)新説アリとキリギリス-社会人として-
(2)誰にも悩みがある-心と身体の健康について-

行政構造改革 4

「行政構造改革」第8回が載った、月刊『地方財務』4月号が発行されました。今回は、官僚問題の責任の所在と対応策の後半です。
「は虫類行政の問題」「人事制度管理組織の不在」など、現在の公務員行政の問題点を指摘し、改善案を提示しています。関心ある方に読んでいただき、批判いただければ幸いです。
今回で官僚制の問題を終え、次回からは政治と行政の役割分担を考えます。(4月3日、5日)
5月号のゲラが届いたので、週末に校正をしました。今回から、第3章「政治の役割と行政の役割」に入ります。「官僚主導」という問題を打破するために、憲法学・行政法学・政治学・行政学を見渡し、マスコミ報道や実際の現場を踏まえた議論を書きました。
それぞれの世界には立派な業績があるのですが、それらを通した議論はこれといったものがないようです。霞ヶ関の官僚が最もわかっているはずですが、官僚が書いた論文もないようです。
憲法の考え、近代立憲国家の考えなどにさかのぼり、また、三権分立という通念が導く誤解などを主張しました。私の考えが間違っていないか、いろいろな教科書や論文に当たって、書き上げました。結構な時間がかかりました。何人かの官僚や研究者に読んでもらい、間違いがないか確認もしました。
長尾編集長が、日本語を正してくださいます。自分ではわかりやすい文章を書いているつもりなのですが、手を入れていただくと、「なるほど、こう書けば読みやすく、わかりやすなあ」と感心します。逆に、私の日本語がいかに雑であるかですね。発行は月末です。(4月13日)
第9回目が載った、月刊『地方財務』5月号が出ました。今回から、「第三章 政治の役割と行政の役割」に入り、官僚主導の問題点に切り込みます。今回は、まず「第1節 政治と行政」です。内容は、統治の中の政治とは何か、内閣は行政ではない、政治を担う内閣、「三権分立」という観念が招く誤解、垂直的分権と地方政府などです。憲法学と、行政学・政治学・行政法学をつないだ議論をしました。
今回の、私の議論の焦点は、政策立案の責任者は誰か、逆に立案しない場合の責任は誰にあるのか、憲法や法律では「国」「政府」と言うがそれは誰を指しているのかです。三権分立の考え方や、法律は国会が定め内閣と地方自治体が施行するという考えだけでは、統治の責任者は誰か、政策の責任者は誰かが、出てこないのです。
皆さん、すぐに答えられますか。案外理解されていないことを、取り上げました。ご一読いただき、批判をいただければ幸いです。(5月3日)
5月号が出たのですが、息つく間もなく、6月号のゲラの校正をしています。今回も、長尾編集長からたくさん指摘をいただき、文章に手を入れています。毎回ながら、ありがたい指摘です。
さらに、次回は分量が多くなって、文章を削るか、後半を次次号に送るかを、選ばなければなりません。編集長は「早く読みたいので、先に進みましょう」とおっしゃってくださるのですが、小生としては、せっかくの文章を切ることは忍びなく。さらに、書きためた分量が底をつきつつあるので、後半を次次号に送ることを選択しました。うーん、安易な選択。
引き続き、第3章第3節の執筆に、いそしんでいます。「せっかくの連休なのですが」といっても、休みの日しかまとまった時間が取れないので、「連休なので」と言った方が正しいでしょう。とほほ・・。(5月4日)
大連載「行政構造改革」の第10回目が載った月刊『地方財務』6月号が、発行されました。今号は、第三章第二節「政と官」のうち、1官僚主導から政治指導へ(1)官僚主導批判、(2)関係の転換へ、が載っています。官僚主導として批判されていることを整理し、その転換を主張しました。ここで取り上げた事象は、すでに言われていることばかりです。しかし、それを構造的に分析し、改革論につなげたことが、この論文の特色だと考えています。(6月2日)
(第10回補足)
注24に引用した『立法学』(2007年、法律文化社)の著者である中島誠さんは、厚労省の官僚です。現在は、国土交通省住宅政策課長を勤めています。九州大学法学部での講義を基に、本にまとめたそうです。私が富山県総務部長の時の計画課長でした。『でるくい』をつくってくれたのは、彼です。
書き忘れたことを、補足しておきます。
(p117③アに追加)
国会の審議も官僚がお膳立てするということは、次のようなことを指しています。
審議の前日までに、質問者が質問通告をします。そして、より詳しい質問内容を聞き取るために、関係する官僚(質問事項の担当課または国会連絡室)が質問する議員を訪ねます。聞き取った内容を基に、各問ごとに答弁資料(想定問答)を作成します。そして、その答弁資料を大臣に説明します。質問内容がわかるのが、しばしば前日になり、答弁資料作成に官僚が残業することは有名です。
また、大臣への説明は質疑の当日朝になり、十分な検討時間を取ることはできません。すると、大臣は、官僚が用意した答弁資料に沿って答弁することが多くなります。こうして、国会での質疑は、政治家同士のやり取りでなく、官僚の考えの表明になってしまいます。
(6月3日)
平日は夜に、土日は外出を我慢して、こつこつ書いた甲斐があって、第3章第3節が完成しました。第2節までを3月に編集長に渡したので、3か月かかりました。
第3節は、政治の役割と日本の政治は何をしたか・しなかったかです。官僚主導問題を解説するためです。実例をいくつも紹介したので、その確認に手間取りました。このあと、何人かの人に読んでもらい、私ももう一度読み返して、編集長に渡しましょう。残るは、第4章です。(6月12日)
連載第11回が載った『地方財務』7月号が出ました。今回は、第3章二1(3)「政治家と官僚の関係」です。(7月2日)
第12回目が載った『地方財務』8月号が出ました。今回は、政と官との関係の内、内閣と与党の関係、近年の政治主導への変化を解説しました。19ページの力作です。
連載は、これで1年になりました。当初の予定では、とっくに完結しているはずだったのですが・・。第3章は、あと2回かかります。その後、第4章に入ります。困ったことに、第4章の執筆は、進んでいません。
長尾編集長との会話。
「筆者の都合により、今回は休載です」と載せるのは、やめましょうね。
はい。(8月1日)
(締め切りという圧力)
8月号が出たばかりなのですが、次のゲラの校正をしています。まあ、毎月のことです。今回は、9月号、10月号の2回分のゲラが来ました。実は、これで出版社に渡した原稿は、底をつくのです。
2回分も来たのは、編集長からの、「早く次の原稿を書かないと、連載に穴が空きますよ」という、無言の圧力ですね。もちろん、締め切りのある連載でないと、原稿なんて書けません。
ということで、家にこもってせっせと、第4章第1節を書いています。夏の間に書きためておかないと、秋からは仕事も忙しくなるし、大学も再開されるし。わかってはいるのですが、なかなか進みません。(8月10日)
第13回が載った月刊『地方財務』9月号が、出ました。今号は、第三章第三節「政治の役割」のうち、「1 政治の役割とは」と「2 日本の政治は何をしたか、何をしなかったか」の前半です。
国家の役割を果たすために、政府があります。その政府の役割を達成するために政治があり、政治を支え実行するために行政があります。行政や官僚の位置づけを見直すために、政治の役割や政府の役割まで遡って考えてみました。
国家の役割と、それに見合う行政分野の分類表を、つけておきました。こういう研究って、案外ないのです。私が不勉強なだけかも知れませんが。
また、民間企業と比較した、ガバナンス(統治、支配)、マネージメント(経営)、アドミニストレーション(執行管理)の図を、載せておきました。
なかなかの力作と、思っているのですが。ご一読いただき、批判いただければ幸いです。(9月3日)
11月号の原稿を、週末に完成させ、編集長に渡しました。この号から、第4章に入ります。第1節は、近年の行政改革を、分類整理してみます。11月号は地方分権なので、比較的楽だったのですが、その次からが大変です。

行政構造改革 3

連載「行政構造改革」11月号の校正をしています。11月号は、第2章第1節日本の行政機構です。行政機構のあらましを解説しました。ところが、原稿を書いている間にも、変化が起きていて、追いかけるのが大変です。
防衛庁は今年1月に、防衛省になりました。防衛施設庁は9月に廃止され、局が一つできました。「省庁改革の現場から」を書いたときに比べて、庁が2つ(もう一つは食糧庁)減って、局は2つ増えました。
10月には郵政公社が民営化され、独立行政法人(これまでの郵便貯金を管理する機構)や特殊法人(郵便会社など)ができました。認可法人であった産業再生機構は、清算されました。政府系金融機関の統廃合も、予定されています。
特殊法人についての行政法学の分類と、行政改革での分類は、違っています。そして、行政改革の資料を追いかけただけでは、???と疑問がわくところがあります。地方共同法人はどこに分類するのか、指定法人はどうするか。原稿を読んでもらった人たちから、指摘を受けたりして、訂正しています。専門家や学者に教えを請うて、ひとまずの分類にたどり着きました。発行は、10月末です。(10月9日)
連載「行政構造改革」第3回が載った『地方財務』11月号が出ました。今回は、第2章第1節日本の行政機構です。1府12省の図だけでなく、局・政策統括官の一覧、国家公務員の省庁別・機関(本省・出先)別配置数、国の子会社・関連会社一覧など、国の行政機関の全体像を示しました。、これらが整理された資料って、案外ないんです。防衛庁が防衛省になり、郵政公社が民営化されるなど特殊法人なども改革され、次々と変わっています。法テラス、産業再生機構、中部国際空港株式会社、下水道事業団をどこに分類するか、いろんな人に教えを請うて整理しました。
一か所訂正です。p183の資料2-5で、「3(3)地方共同法人」の次に改行して、「下水道事業団など」です。
ご関心ある方は、ご一読ください。12月号は、いよいよ、日本の官僚制の特色を論じます。(11月5日)
(追記)
「法学教室」(有斐閣)に、宇賀克也教授が「行政組織法」を連載しておられ、国の行政組織を詳しく解説しておられます。小西敦教授に教えていただきました。(11月7日)
訂正その2
p185上段、10行目「4法人」とあるのは「5法人」の間違いです。1行目に「5法人」と書いているのに。校正の段階で修正したので、資料2-5は直したのに、ここを忘れていました。(11月8日)
(11月号の反響)
今日は、「行政構造改革」12月号のゲラの校正。何人かの人に原稿を読んでもらったら、いくつか指摘をもらったので、加筆しています。
11月号についても、読者から感想がありました。
「局と政策統括官の全体って、初めて見ました。国家公務員の、省別機関別人数も」
「局の数は、省庁改革の際に削減して、96だったのではないですか」
→はい。その後、食品安全委員会をつくるときに、食糧庁を廃止し、農水省に消費・安全局ができました。防衛施設庁が廃止され、地方協力局ができました。2庁が廃止され、2局ができました。
「課の全体像も示してください」
→はい、単行本にするときに検討します。でも、課と官があって、面倒なのです。
「子会社の全体像も、詳しく知りたいです」
→ご要望はわかりますが、それらに力を入れていると、本文の原稿が進まないのです。誰か、他の人がやってくれませんかね。(11月11日)
大連載「行政構造改革」4が、月刊『地方財務』(ぎょうせい)12月号に載りました。今回は、第2章2「日本の官僚制」です。そこでは、国家公務員の資格・職種・職位の区分、採用・異動・退職の状況を解説しました。こう書けば簡単なようですが、これら全体像を簡潔に書いたものってないんですよ。少なくとも、私は見つけることができずに、知人の助けを借りて整理しました。
その後、日本の官僚制の特徴と問題点を指摘してあります。それは、省別・職種別管理、早期退職慣行、一律的昇進慣行です。
一か所訂正です。p131注26の「官僚懇談会」は、「閣僚懇談会」の誤りです。今回は、校正の段階でたくさん直しを入れたので。長尾編集長も、いくつも文章を直してくださったのですが、ごめん。(12月3日)
大連載「行政構造改革」第5回が載った、月刊地方財務』(ぎょうせい)2008年1月号が、発行されました。今回は、第2章三「官僚の失敗と官僚制の限界」です。類書のない日本官僚論を展開中です。ご関心ある方は、ご覧ください。早速訂正です。p128の6行目「水使用料」は、「水使用量」の間違いです。
また、この号には、拙稿「2020年 ニッポンの地域社会」も載っています。詳しくは、今後の執筆予定へ。(12月26日)
「行政構造改革」第6回が載った月刊『地方財務』2月号が、発行されました。18ページにわたる力作です。
今回は、第2章第4節1「政治の責任」です。官僚制の失敗のうち、目標の設定と政策の統合、行政組織の管理と業績の評価について、詳しく論じました。そこでは、内閣官房の仕事など、国家公務員もあまり知らないことを書きました。もっとも、秘密でも何でもなく、公表資料を基にしています。でも、内閣官房の組織や仕事って、皆さん知りませんよね。私も、全体像は知らないのですが。
訂正です。
p99注38で、http://www.cas.jp/jp/seisaku/katudou.htmlとあるのは、http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/katudou.htmlの間違い。.goが抜けています。
p92下段3行目、「前段②」とあるのは、「前段③」の間違い
今回も、ゲラの段階でたくさん加筆をしたので。長尾編集長がたくさん手を入れてくださったのですが・・。すみません。(2月4日、5日)
(注)
記者さんとの会話
記:連載の論文は、注が多くなっていますね。
全:そうやね。注にも、いくつかの種類がある。一つめは、本文の補足をするもの。本文に書いても良いんだけど、流れが悪くなるから、注に落としている。これは、長い注になる。2番目は、資料や引用の出典を示しておくもの。これは、簡単。3番目は、参考になる文献などを示しておくもの。ここには、私が考える際にお世話になったものや、さらなる勉強の際に役に立つものを載せてある。
記:引用や参考文献のない論文は、学界では価値が低いそうですね。
全:そうらしい。でも、本当に新しい分野を開く論文だと、先達からの引用や参考文献は、そんなにないはずだけどね。ダーウィンの「種の起源」なんて、どれくらい他の人を引用してるのかね。一方、輸入学問だと、いっぱい原典が並ぶわ。
記:あんなにたくさん、注に引用した本を、読んでいるんですか。
全:とても全部は読めないよ。私の議論に関連する部分だけ読んだ、という本や論文も多いね。その本を全部読み通すことは、できていない。いけないんだろうけど。
私は、自分の目で見たこと、自分で考えたことを書こうとしているから、参考文献が執筆の前にあるわけじゃないんよ。でも、書いている途中や書いてから、関連の本や論文には、目を通すようにしている。、
すでに、別の方が書いておられると、「なーんだ、やはりそうだったんだ。それなら、こんなに悩まずに、最初からこの本を読めば良かった」と思うことも、しばしばあるわ。そして、私の考えが「とんでもないもの」でないことの、証明にもなる。でも、そればっかりでは、私のオリジナリティーはないよね。
一方、まったくこれまでとは違う考えも、なかなか理解されないだろうし。これまでの理解(関係者の業績)の上に、何を付け加えるかだよね。(2月5日)
(日本の公務員人事制度の問題点)
大連載「行政構造改革」の3月号が、発行されました。今回は、第二章「行政機構と官僚制」第4節「責任の所在と対応策」の第2回目「官僚制の責任」です。日本の官僚問題の責任と改革案について、前号では政治の責任を論じました。今回は官僚制の責任についてです。来月号で、官僚個人の責任を述べます。
私は、現在の官僚制度の問題を、「縦割り」「早期退職」「評価のなさ」に分析しています。そして、それぞれについて、対応策を述べました。前二者については、多くの方が書いておられます。
今回、私が書いた目新しい点は、「官僚の評価」です。出世競争での評価は、されています。それは、次官になる人、局長までなる人、なれない人というように、それぞれに不満を持ちながら、みんなが熾烈な競争に参加しています。そして、落ち着くところに落ち着きます。そのような評価でなく、私が述べたのは、次のような問題です。
官僚には、職務内容書(達成すべき目標)が示されていません。よって、業績の評価は、なされていません。現在行われている評価は、業績評価でなく、人物評価です。そして、成果でなく入力(勤務時間、予算や人員の確保)で評価されています。それは、国民の幸福とは、比例していません。
公務員の人事管理制度は、民間企業での人事管理に比べ、はるかに遅れてしまいました。簡単に言うと、官庁の管理職は、管理職の仕事をしていません。部下のボーナスも査定しなければ、仕事の管理も十分にしていません。そうでなければ、あんな成果を伴わない、長時間の残業を放置できないはずです。
民間企業では、考えられない話です。
「日本の官僚は世界一」という慢心の上に、あぐらをかいたツケが回ってきているのだと、私は考えています。もっとも、私は公務員人事の専門家ではなく、民間の人事制度と人事慣行についても詳しくは知りません。今回、原稿にするに当たって、何人もの人にインタビューしましたが。
このHPでは、十分に書けませんので、原文をお読みください。そしてご関心ある方、特に民間の方に読んでいただき、意見をいただきたいのです。建設的な反論や提言を、待っています。

行政構造改革 2

詳細目次
はじめに-私の問題意識
第一章 行政に転換を迫るもの
第一節 近年の行政改革
1 行政改革の種類
(1)政府の取り組み、(2)小泉構造改革
2 行政改革の分類
(1)分類の例、(2)構造改革の中で、(3)歴史的分類
第二節 社会の変化と行政の転換
1 政府の新たな課題
(1)政府は新たに何をしたか、(2)何がうまくいかなかったか、(3)日本政治の失敗
2 行政に改革を迫るもの
(1)私たちの成功、(2)日本の行政が成功した三条件、(3)成功の三条件の反転
3 見えてきた日本の成功の問題点
(1)負担を考えない、(2)国際貢献を考えない、(3)自分たちで考えない、(4)二一世紀の日本と行政
第二章 行政機構と官僚制
第一節 日本の行政機構
1 行政機構の概要
(1)国家機構、(2)国の行政機関、(3)内部部局、(4)付属機関、(5)国家公務員の配置、(6)地方公共団体の行政機関
2 その他の組織
(1)国の子会社、(2)国の関連会社、(3)地方団体の関連団体
3 規模
(1)職員数、(2)財政規模
第二節 日本の官僚制
1 官僚制とは
2 日本の公務員制度
(1)資格の区分、(2)職種の区分、(3)職位の区分、(4)採用・異動・退職
3 日本の官僚制の特徴と問題
(1)省別管理、職種別管理、(2)早期退職慣行、(3)一律的昇進慣行
第三節 官僚の失敗と官僚制の限界
1 社会の変化に対応できていない
(1)対応の遅さ、(2)無駄な公共事業の続行、(3)方向転換できない
2 全体を見渡した政策ができない
(1)業界と一体の行政、(2)政策の統合ができない、優先順位を変えられない
3 国民の期待とのズレ
(1)費用対効果の疑問、(2)目標設定の問題
4 官僚制の限界
(1)社会の変化に対応できない=任務の遂行、(2)全体を見渡した政策ができない問題=部分に特化、(3)国民の期待とのズレ=任務の遂行
5 問題を目立たせた背景
(1)近代国家の官僚、(2)成熟国家の官僚
第四節 責任の所在と対応策
1 政治の責任ー見えてきた政治の役割
(1)目標の設定と政策の統合、(2)行政組織の管理と業績の評価
2 官僚制の責任ー公務員制度改革
(1)国家官僚群の創設、(2)早期退職慣行の是正、(3)公務員の評価、(4)職員の養成、(5)人事制度管理組織
3 官僚の責任ー官僚はそれに答えているか
(1)官僚の行動、(2)研鑽と養成の問題
第三章 政治の役割と行政の役割
第一節 政治と行政
1 統治の中の政治
(1)憲法と政治、(2)政治を担う内閣、(3)「三権分立」が招く誤解
2 統治の中の行政
(1)内閣は「行政」ではない、(2)執政と執行
3 地方政府
(1)これまでの考え方、(2)権力分立としての地方分権
第二節 政と官
1 官僚主導から政治指導へ
(1)官僚主導批判、(2)関係の転換へ、(3)政治家と官僚の関係、(4)内閣と与党、(5)転換を迫るもの
2 政治主導のかたち
(1)経済財政諮問会議、(2)国会審議の変化、(3)行政改革
第三節 政治の役割
1 政治の役割とは
(1)政府の役割、(2)政治の行為
2 日本の政治は何をしたか、何をしなかったか
(1)政策を主張する、(2)決断する、(3)監督と評価、(4)政治の復権
第四章 行政構造改革
第一節 行政改革の新たな展開
1 地方分権改革
(1)地方分権改革の意味、(2)第一次分権改革、(3)三位一体の改革、(4)今後の課題
2 規制改革
(1)規制改革の意義、(2)改革の歩み、(3)事前調整型行政から事後監視型行政へ
3 公開と参加と評価
4 省庁改革
5 位置づけと評価
第二節 行政の課題と役割の変化
第三節 手法と手段の変化
第四節 行政改革から行政構造改革へ
(2008年9月6日)