行政構造改革 3

連載「行政構造改革」11月号の校正をしています。11月号は、第2章第1節日本の行政機構です。行政機構のあらましを解説しました。ところが、原稿を書いている間にも、変化が起きていて、追いかけるのが大変です。
防衛庁は今年1月に、防衛省になりました。防衛施設庁は9月に廃止され、局が一つできました。「省庁改革の現場から」を書いたときに比べて、庁が2つ(もう一つは食糧庁)減って、局は2つ増えました。
10月には郵政公社が民営化され、独立行政法人(これまでの郵便貯金を管理する機構)や特殊法人(郵便会社など)ができました。認可法人であった産業再生機構は、清算されました。政府系金融機関の統廃合も、予定されています。
特殊法人についての行政法学の分類と、行政改革での分類は、違っています。そして、行政改革の資料を追いかけただけでは、???と疑問がわくところがあります。地方共同法人はどこに分類するのか、指定法人はどうするか。原稿を読んでもらった人たちから、指摘を受けたりして、訂正しています。専門家や学者に教えを請うて、ひとまずの分類にたどり着きました。発行は、10月末です。(10月9日)
連載「行政構造改革」第3回が載った『地方財務』11月号が出ました。今回は、第2章第1節日本の行政機構です。1府12省の図だけでなく、局・政策統括官の一覧、国家公務員の省庁別・機関(本省・出先)別配置数、国の子会社・関連会社一覧など、国の行政機関の全体像を示しました。、これらが整理された資料って、案外ないんです。防衛庁が防衛省になり、郵政公社が民営化されるなど特殊法人なども改革され、次々と変わっています。法テラス、産業再生機構、中部国際空港株式会社、下水道事業団をどこに分類するか、いろんな人に教えを請うて整理しました。
一か所訂正です。p183の資料2-5で、「3(3)地方共同法人」の次に改行して、「下水道事業団など」です。
ご関心ある方は、ご一読ください。12月号は、いよいよ、日本の官僚制の特色を論じます。(11月5日)
(追記)
「法学教室」(有斐閣)に、宇賀克也教授が「行政組織法」を連載しておられ、国の行政組織を詳しく解説しておられます。小西敦教授に教えていただきました。(11月7日)
訂正その2
p185上段、10行目「4法人」とあるのは「5法人」の間違いです。1行目に「5法人」と書いているのに。校正の段階で修正したので、資料2-5は直したのに、ここを忘れていました。(11月8日)
(11月号の反響)
今日は、「行政構造改革」12月号のゲラの校正。何人かの人に原稿を読んでもらったら、いくつか指摘をもらったので、加筆しています。
11月号についても、読者から感想がありました。
「局と政策統括官の全体って、初めて見ました。国家公務員の、省別機関別人数も」
「局の数は、省庁改革の際に削減して、96だったのではないですか」
→はい。その後、食品安全委員会をつくるときに、食糧庁を廃止し、農水省に消費・安全局ができました。防衛施設庁が廃止され、地方協力局ができました。2庁が廃止され、2局ができました。
「課の全体像も示してください」
→はい、単行本にするときに検討します。でも、課と官があって、面倒なのです。
「子会社の全体像も、詳しく知りたいです」
→ご要望はわかりますが、それらに力を入れていると、本文の原稿が進まないのです。誰か、他の人がやってくれませんかね。(11月11日)
大連載「行政構造改革」4が、月刊『地方財務』(ぎょうせい)12月号に載りました。今回は、第2章2「日本の官僚制」です。そこでは、国家公務員の資格・職種・職位の区分、採用・異動・退職の状況を解説しました。こう書けば簡単なようですが、これら全体像を簡潔に書いたものってないんですよ。少なくとも、私は見つけることができずに、知人の助けを借りて整理しました。
その後、日本の官僚制の特徴と問題点を指摘してあります。それは、省別・職種別管理、早期退職慣行、一律的昇進慣行です。
一か所訂正です。p131注26の「官僚懇談会」は、「閣僚懇談会」の誤りです。今回は、校正の段階でたくさん直しを入れたので。長尾編集長も、いくつも文章を直してくださったのですが、ごめん。(12月3日)
大連載「行政構造改革」第5回が載った、月刊地方財務』(ぎょうせい)2008年1月号が、発行されました。今回は、第2章三「官僚の失敗と官僚制の限界」です。類書のない日本官僚論を展開中です。ご関心ある方は、ご覧ください。早速訂正です。p128の6行目「水使用料」は、「水使用量」の間違いです。
また、この号には、拙稿「2020年 ニッポンの地域社会」も載っています。詳しくは、今後の執筆予定へ。(12月26日)
「行政構造改革」第6回が載った月刊『地方財務』2月号が、発行されました。18ページにわたる力作です。
今回は、第2章第4節1「政治の責任」です。官僚制の失敗のうち、目標の設定と政策の統合、行政組織の管理と業績の評価について、詳しく論じました。そこでは、内閣官房の仕事など、国家公務員もあまり知らないことを書きました。もっとも、秘密でも何でもなく、公表資料を基にしています。でも、内閣官房の組織や仕事って、皆さん知りませんよね。私も、全体像は知らないのですが。
訂正です。
p99注38で、http://www.cas.jp/jp/seisaku/katudou.htmlとあるのは、http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/katudou.htmlの間違い。.goが抜けています。
p92下段3行目、「前段②」とあるのは、「前段③」の間違い
今回も、ゲラの段階でたくさん加筆をしたので。長尾編集長がたくさん手を入れてくださったのですが・・。すみません。(2月4日、5日)
(注)
記者さんとの会話
記:連載の論文は、注が多くなっていますね。
全:そうやね。注にも、いくつかの種類がある。一つめは、本文の補足をするもの。本文に書いても良いんだけど、流れが悪くなるから、注に落としている。これは、長い注になる。2番目は、資料や引用の出典を示しておくもの。これは、簡単。3番目は、参考になる文献などを示しておくもの。ここには、私が考える際にお世話になったものや、さらなる勉強の際に役に立つものを載せてある。
記:引用や参考文献のない論文は、学界では価値が低いそうですね。
全:そうらしい。でも、本当に新しい分野を開く論文だと、先達からの引用や参考文献は、そんなにないはずだけどね。ダーウィンの「種の起源」なんて、どれくらい他の人を引用してるのかね。一方、輸入学問だと、いっぱい原典が並ぶわ。
記:あんなにたくさん、注に引用した本を、読んでいるんですか。
全:とても全部は読めないよ。私の議論に関連する部分だけ読んだ、という本や論文も多いね。その本を全部読み通すことは、できていない。いけないんだろうけど。
私は、自分の目で見たこと、自分で考えたことを書こうとしているから、参考文献が執筆の前にあるわけじゃないんよ。でも、書いている途中や書いてから、関連の本や論文には、目を通すようにしている。、
すでに、別の方が書いておられると、「なーんだ、やはりそうだったんだ。それなら、こんなに悩まずに、最初からこの本を読めば良かった」と思うことも、しばしばあるわ。そして、私の考えが「とんでもないもの」でないことの、証明にもなる。でも、そればっかりでは、私のオリジナリティーはないよね。
一方、まったくこれまでとは違う考えも、なかなか理解されないだろうし。これまでの理解(関係者の業績)の上に、何を付け加えるかだよね。(2月5日)
(日本の公務員人事制度の問題点)
大連載「行政構造改革」の3月号が、発行されました。今回は、第二章「行政機構と官僚制」第4節「責任の所在と対応策」の第2回目「官僚制の責任」です。日本の官僚問題の責任と改革案について、前号では政治の責任を論じました。今回は官僚制の責任についてです。来月号で、官僚個人の責任を述べます。
私は、現在の官僚制度の問題を、「縦割り」「早期退職」「評価のなさ」に分析しています。そして、それぞれについて、対応策を述べました。前二者については、多くの方が書いておられます。
今回、私が書いた目新しい点は、「官僚の評価」です。出世競争での評価は、されています。それは、次官になる人、局長までなる人、なれない人というように、それぞれに不満を持ちながら、みんなが熾烈な競争に参加しています。そして、落ち着くところに落ち着きます。そのような評価でなく、私が述べたのは、次のような問題です。
官僚には、職務内容書(達成すべき目標)が示されていません。よって、業績の評価は、なされていません。現在行われている評価は、業績評価でなく、人物評価です。そして、成果でなく入力(勤務時間、予算や人員の確保)で評価されています。それは、国民の幸福とは、比例していません。
公務員の人事管理制度は、民間企業での人事管理に比べ、はるかに遅れてしまいました。簡単に言うと、官庁の管理職は、管理職の仕事をしていません。部下のボーナスも査定しなければ、仕事の管理も十分にしていません。そうでなければ、あんな成果を伴わない、長時間の残業を放置できないはずです。
民間企業では、考えられない話です。
「日本の官僚は世界一」という慢心の上に、あぐらをかいたツケが回ってきているのだと、私は考えています。もっとも、私は公務員人事の専門家ではなく、民間の人事制度と人事慣行についても詳しくは知りません。今回、原稿にするに当たって、何人もの人にインタビューしましたが。
このHPでは、十分に書けませんので、原文をお読みください。そしてご関心ある方、特に民間の方に読んでいただき、意見をいただきたいのです。建設的な反論や提言を、待っています。