カテゴリーアーカイブ:社会の見方

国際社会での位置と自覚

2009年10月1日   岡本全勝
この1年間、いろいろなことを、考えることができました。あまりに幅広くだったので、うまく整理できていません。それは、世界の中の日本、これからの日本の在り方、政府と社会の関係、政府と市場の関わり方などです。どのような切り口で、分類するのがよいのか。少しずつ書くことで、整理したいと思います。
日本が、世界第2位の経済大国になったのは、1968年(昭和43年)でした。西ドイツを抜いて、アメリカに次ぐ規模になったのです。もっとも、東側ではソ連がいたので、西側で第2位と言った方が正確でしょう。
今年で41年。半世紀とは言いませんが、結構な長さです。この事実を、改めて考えさせられました。
その間、日本人は、世界第2位の経済大国であるということを、自覚していたでしょうか。もちろん、経済の規模で国のありようが決まる。そのようなものでは、ありません。しかし、各国が集まって構成している国際社会では、その「からだ」の大きさにふさわしい立ち居振る舞いが、期待されるのでしょう。
「国際連合への負担金を、たくさん納めていればよい」というものでは、ありません。私が言いたいのは、国際社会での議論、ルールづくり、秩序維持にどれだけ貢献したかです。
日本は、自国の経済発展にのみ専念し、世界への貢献を怠っていたのではないでしょうか。家庭にたとえると、町内会費を納めるが、会合では発言しない、共同作業には出ていかない、といったところでしょうか。少し極端な言い方をしています(この項、続く)。
なお、連載していた「行政構造改革」では、第3章三2「日本の政治は何をしたか、何をしなかったか」(2)「決断する」(2008年10月号)で、国際貢献を取り上げました。今日の議論は、その延長になります。

日本の風景、点と面

2008年9月22日   岡本全勝
21日の朝日新聞「耕論」「何を目指す?観光庁」、池内紀さんの発言から。
・・日本では総じて、観光地が「点」でしかない。宮島なら厳島神社だけ、姫路なら姫路城しか見ない。点のまわりには雑然とした町しかなく、商店街はシャッターが下りたまま。観光客は点から点へ飛び石で移動するしかない。
ドイツやオーストリア、スイスといった国の観光地は、点ではなく「面」だ。例えばライン川なら、川を中心にして、川沿いの町、背後の丘や森、点点とある古城が全部一体になっている。全体を面として、建物の造りや色などにも厳しい規制をしている。
そうした本当に魅力ある観光地というのは、5年や10年ではできない・・50年、100年単位の取り組みは、中央の役所が関与すればできるというものではない。それぞれの土地に暮らし、風土を愛している人々に任せればいい。例えば、ぼくが、観光庁に一番してほしいのは、せめて世界遺産を中心とした観光地から、看板や広告をなくすこと・・・(9月21日)
22日の読売新聞「平成を歩く」は、「おわびの作法」でした。「誠意を欠けば、火に油・・・」という記事で、最近はやり(?)の企業のおわびを解説しています。反響を呼んだ(問題になった)謝罪会見の表も付いています。
おわびについては、このホームページは先達です。自慢することではありませんが、後輩たちが悩まないように、載せてあります。

利益の源泉、2つの型

2008年9月21日   岡本全勝
18日の日経新聞経済教室「米金融危機」は、池尾和人教授の「裁定型業務の限界超えよ。価値創造支援重要に」でした。要旨は次のようなものです。
金融活動には、利益の源泉をどこに求めるかで、2つのタイプがある。一つは裁定型金融と呼べるもので、流通過程での価格の差異に利益の源泉を求めるもの。安く買って高く売ることで利益を上げるタイプ。金融資本市場の自由化が開始された1980年代以降、資産価格に多くの歪みがあり、裁定型金融で利益を上げることができた。デリバティブのように、従来取引対象になっていなかったリスクを対象とした。しかし、裁定が成功すると、一物一価が成立し、裁定取引では利益は上げられなくなる。
もう一つのタイプは、価値創造支援型で、取引先企業の価値向上に貢献し、利益の一部を受け取る。
わかりやすい、解説です。

消費税引き上げ

2008年9月20日   岡本全勝
18日の東京新聞が、企業に対する景気アンケートを載せていました。そこに、消費税引き上げについての回答があります。歳出の無駄を省いた上で引き上げるが41%、景気回復後に考えるが23%です。引き上げるべきではないは、6%です。引き上げ時期は、2010年度が30%、2011年度が25%です。かなり理解が進みました。
自民党総裁選での議論でも、時期は別にして、その必要性は認識されたと思います。

日本語とワープロ

2008年9月16日   岡本全勝
YOMIURI PC編集部『パソコンは日本語をどう変えたかー日本語処理の技術史』(2008年、講談社ブルーバックス)が、勉強になりました。
かつて、ワープロを作る際に、日本語が科学的に分析できていなくて、技術者が苦労したという話を聞きました。どのように、文字を入力するかです。アルファベットを使っている言語は、26文字を、キーボードで入力すればいいのです。タイプライターです。もちろん、大文字と小文字やコンマやピリオド、改行なども必要です。
しかし、日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を使うので、これら3種類が必要なのと、漢字が膨大で、キーボードで入力できないのです。日本語タイプライターは、普及しませんでした。現在は、ローマ字で入力して変換する方法が、主流です。でも、変換が、これまた難しいのです。同音異字がたくさんあります。
その次に、皆さんも経験あるでしょうが、変な語句に変換されることです。漢字を一つ一つ変換していけば、そんなことは起こりません。しかし、それでは面倒です。一つの文章や、文節で変換すると、「え~」というような変換が起こります。
「バブル」と打った後に、「のじだい」と入れると、「野路代」と変換された経験をお持ちでしょう。今は、「の時代」となりますがね。
名詞が主で、その後に付く助詞は従なのです。話している時も、「の」はその後の「時代」につくのではなく、その前の「バブル」に付くのですよね。同音異字・同音異義語の変換をどうしたら早くできるか。文脈の中で最適の語をどうして探すか。このような分析は、国文学は役に立たず、技術者が解決していったのです。
わたしは、かつて、音声入力を使っていたこともあります。マイクに向かって読み上げると、パソコンが文章に変換してくれるのです。その際にわかったのは、一語一語では、変換できないのです。前後の文脈からパソコンが良さそうな語を探してくれます。「のじだい」では、パソコンは困ってしまいます。「の」「じ」「だ」「い」と区切って発音したら、パソコンはさらに困ってしまいます。文章は、単語が単に順番に並んでいるのではなく、前後の意味の中で並んでいるのです。
日本語がワープロを進化させ、ワープロが日本語を分析しました。そのほかにも、興味深いことが書かれています。