日経新聞連載「ニッポンこの20年、長期停滞から何を学ぶ」9月5日は、大林尚編集委員の「止まらない少子化」でした。1990年6月に前年の合計特殊出生率が発表され、1989年の出生率は1.57でした。1966年の丙午の1.58をさえ、下回りました。2.1を下回ると、人口が保てません。その2.1を下回ったのは、1974年でした。しかし、平均寿命が延びたので、直ちには人口減少につながりませんでした。
記事では、当時、日本の政治や社会が、この問題に大きな危機を感じなかったことが、取り上げられています。
何度も書きますが、日々のニュース以上に、このような長期的な検証記事が、重要ですね。
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させていただきます
4日の朝日新聞beで、「させていただく」という表現を、取り上げていました。事例として、「この辺は、朝は渋滞しますか?」と尋ねたら、「朝はかなり渋滞させていただきます」と答えた住宅メーカーの社員。取引先からの電話に「○○はお休みさせていただいております」と言ったら、「ならすぐ連絡を取れ」と怒鳴られた例が出ていました。
私は、この言葉が嫌いです。テレビやデパートなどの放送で「・・させていただきます」という表現があると、「させたらへんわ」(させてあげないよ)と、答えてしまいます(笑い)。
この表現は、相手の許可を求めているのですから、目の前に許可権者がいる場合は、理解できます。食堂で、「空いたお皿を下げさせていただきます」というのは、許せます。こちらも、「ちょっと待って」と言えますから。しかし、相手が拒否できないのに、「させていただきます」と言うのは、へりくだっていることにはなりません。こちらが「いやです」と言っても、実行するのですから、ずるいですね。本当の主語(主体)を隠し、責任の所在を不明確にします。英語に翻訳するとしたら、どう訳するのでしょうね。
電車の車掌が「ドアを閉めさせていただきます」と言うのも、「ドアを閉めます」と言えばいいのです。いちいち乗客に許可を求めていては、いつまでたっても発車できません。ドアを閉める権限は、車掌にあるのです。
さらに、先に紹介した「渋滞の例」は、自らが行う行為でもないのに、「渋滞させていただきます」は、はっきりとした間違いです。
類似した表現で、「させていただいた」があります。「皆さんの投票のおかげで、当選させていただきました」。さらに、それほど直接ではなくても、仏様のおかげで「今日一日無事に過ごさせていただいた」とか、皆さんのおかげで「このような立派な成績を取らせていただいた」という、感謝の表現です。これは、通じる表現、正しい表現です。しかし、これから行う行為や、うまくいっていない現象に関しては、「させていただいた」は使えないでしょう。
たぶん「させていただきます」の誤用は、この「させていただきました」の感謝を、間違って転用したのだと思います。
今日、地下鉄の中で、次のような広告を見かけました。この冬に閉店するデパートの広告です。「このたび、閉店させていただくことになりました」。誰が許可したのか、誰に許可を求めたのか、誰のために閉店に追い込まれたのか、誰が閉店を決めたのか・・。主語(主体)を不明確にする表現ですよね。
主語がお客なら、「あなたたちお客が我がデパートで物を買ってくれないので、閉店させていただくことになった」となってしまい、変ですよ。「仏様のおかげで・・」だと、なお悪いです。主語は私たち経営者であって、「営業がうまくいかないので、閉店することを決めました」でしょう。どうしても「させていただいた」を使うなら、「今日まで営業させていただきました。ありがとうございました。しかし、閉店を決めました」です。
口蹄疫、封じ込めか選抜か
28日の朝日新聞オピニオン欄「私の視点」、萬田正治鹿児島大学名誉教授の、今回の宮崎県の口蹄疫についての発言から。
・・根本的な問題は、旧態依然たる国際獣疫事務局(OIE)の指針とそれに従う日本の対応策、そして近代化畜産にあるのではないか。
OIEは、世界を口蹄疫発生がない「清浄国」と、ある「非清浄国」に分類する・・しかし、グローバル化で人と物の往来が地球規模で頻繁に行われる今日では、人や物に付着する病原体を陸海空の国境ラインで未然に防ぐことはほぼ不可能だ・・
そもそも細菌やウイルスなどの病原体に対して、人間を含む動物はその抗体を獲得し、抵抗力を身につけて対処してきた。これに対して病原体は耐性を獲得したり、新型の病原体となったりして反撃する。再び動物はその抗体をつくる。この繰り返しが生物の進化だ。従って、無菌化社会を進めていけば、かえって動物が持つ免疫力を衰弱させ、動物たちを危機に陥らせることになる。清浄国の家畜たちは、口蹄疫ウイルスに日頃遭遇しないために口蹄疫に抵抗力をもたないひ弱な家畜となり、ウイルスの侵入で発病し、大騒動となる。
今回、全頭殺処分ではなく発病しなかった家畜を残せば抵抗力のあるものを選抜する結果となり、低コストの有効な対策となっただろう。マスコミ報道は国民に恐怖感を与えたが、この病気は一般に人間には感染せず、動物の致死率も低い。健康な家畜を育て抵抗力をつければ、怖い伝染病ではない・・
そのような考え方も、あるのですね。
アメリカ書店事情
28日の朝日新聞別刷りbe「フロントランナー」小城武彦丸善社長のインタビューから。
・・米国は日本の25倍の面積ですが、書店数は1万店を切っています。一方で、日本は1万5千店以上残っている。米国で本を買うには、車で30分走らなければいけません。日本人は通勤や通学途中に立ち寄って買えます・・
観光客数
これも古くなりましたが、18日の日経新聞経済教室、額賀信さんの「観光立国。訪日外国人数、高い目標を」が、興味深かったです。
2008年度の訪日外国人数、は777万人でした。政府は、これを2020年初めまでに2,500万人に伸ばすことを、目指しています。10年間で、約3.2倍です。結構な伸び率です。ところが、額賀さんは、この目標では少ないと、主張されます。
・・2008年に国際観光到着数が世界で最も多かった国はフランスで、その数は7,930万人。第2位以下は、米国(5,803万人)、スペイン(5,732万人)、中国(5,305万人)の順で、さらにイタリア(4,273万人)、英国(3,019万人)が続いている。このうちフランスとスペインは、国内人口を上回る国際観光客を受け入れている(2009年版国際観光白書)。
これらの国々の国際観光収入はまた、いずれも巨額である。世界最大の国際観光収入を得ている米国では、2008年で11.3兆円を稼いでいる。以下、スペイン6.3兆円、フランス5.7兆円、イタリア4.7兆円、中国4.2兆円と続いている(国際旅客運賃を含まないベース)。同じ基準によるわが国の国際観光収入は、同時期で1.1兆円と中国の約4分の1にとどまっている。アジアの中では、中国だけでなく、タイ、香港、マレーシア、マカオ、インドにも負けている・・
として、「日本の人口を考えて1億人を目標とすべきである」と主張しておられます。