9月24日朝日新聞、連載「いきものがたり」は、人類の現代の繁栄が、いかに自然を「収奪」しているかを、数字で示していました。
2010年の人口は69億人、これは1970年の約2倍です。2050年には91億人になります。穀物需要は22億トンで、1970年の2倍です。人口がこの40年間で2倍になったのですから、当然です。食糧増産のために、灌漑耕地面積が、1970年の1億7千万ヘクタールから、2008年には3億ヘクタールになりました。取水量は、2010年で4,400立方キロで、20世紀初頭の8倍だそうです。湖や川から、水がなくなっています。
1965年のエネルギー消費は、原油換算で40億トン。2008年には110億トンです。50年間で、約3倍になっています。
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優等生化する新入社員
日経新聞9月16日の夕刊が、興味深い写真を載せていました。1面の連載です。1986年の日本航空の入社式と、今年の入社式の写真です。今年の女子の新入社員は、みんなが黒のスーツ、白のシャツ、黒の靴、髪型まで一緒なのです。制服かと間違います。たぶん、化粧の仕方も同じなのでしょうね。それに対し、86年の彼女たちは、さまざまな服装をしています。びっくりします。
採用が厳しくなったからでしょうが、ものの見事に画一化され、個性を封印しています。個性の豊かさや多種多様な人材といったスローガンは、何だったのでしょうか。「多種多様な人材を求めない企業と、個性を表に出せない新入社員。そこから組織の活力は生まれてくるのだろうか」と、記事は解説しています。
日本社会のあり方を考えさせる、見事な写真と記事でした。
まだまだ知らない隣国
韓国の躍進が素晴らしく、いろんな分野で日本が負けるようになりました。それによって、徐々にですが、韓国についての報道も増えてきました。9月2日の朝日新聞オピニオン欄は、「走る韓国」という特集を組んでいました。興味深いことが、いくつも紹介されていました。
韓国の人口は、4,800万人。日本の約4割です。国内市場が小さいので、海外へ出て行く戦略です。金美徳教授は、日本企業はモノ作り指向経営であるのに対し、韓国企業はマーケティング指向経営であると指摘しておられます。それが、海外市場で勝った理由の一つです。大学進学率は80%を超え、教育への投資や競争も激しいです。1997年のアジア通貨危機で、GDPが4割も減った経験が、競争を激しくしたのでしょう。
一方、負の面も指摘されています。出生率は世界最低水準で、国民皆年金になったのは1999年だそうです。競争が激しいので、一流企業でも失敗すればすぐ解雇、社内競争に敗れた人も次々退社するので、事実上50歳代前半が定年とのこと。
私たちは、これまで近隣諸国のことを、知らなさすぎました。世界史で西欧の歴史上の人物はたくさん習いますが、アジアの人物はほとんど知りません。アメリカ人やイギリス人なら10人くらいすぐ名前を挙げられますが、韓国人を10人挙げることができる人は少ないのではないでしょうか。
最新の事情を勉強する際も、欧米中心でした。しかし、今やアジアが日本と同等の経済発展をしつつあります。しかも、いくつもの分野で、日本を追い抜いています。もっと、現在のアジアを勉強すべきでしょう。
行政の分野でも、日本と韓国は比較が簡単な国同士です。省庁再編も、日本より後に着手して、日本より先に実行しました。行政の電子化も、韓国の方が進んでいます。
先日から、少し調べていることがあります。韓国の公務員削減です。1997年に経済危機になったこと、金大中大統領になったことを契機に、中央政府と地方政府の大胆な人員削減を行いました。正確なところはわからないのですが、何人かの人に聞くと、教育職と公安職を除き、約1割の削減をしたようです。もちろん、韓国にも公務員の身分保障はあります。しかし、GPPが4割も減るという非常事態で、それも言っておられなくなったようです。「中核的一般職は解雇されなかった」という話もありますが、ある人に聞くと、組織ごとに削減人数が決められ、解雇される人が指名されたとのことです。「職場は暗くなった」とおっしゃっていました。年齢の高い人は解雇された後、復職せずほかの職業に就いていると、おっしゃっていました。
近くても、知らないことが多いです。
所得格差の広がりと再分配効果
9月1日に、厚生労働省が所得再分配調査を発表しました。2日付けの各紙が伝えていました(古くなってすみません)。それによると、2008年の再分配前の当初所得のジニ係数は、0.5318で、過去最大になりました。貧富の差が開いたということです。この原因は、高齢者世帯と単身世帯の増加だと説明されています。一人暮らしや高齢者世帯は、貧富の差が大きいのです。簡単に言うと、所得の大きいAさんと少ないBさんがいる時、別々の世帯だと貧富の差は大きいままです。二人が同一世帯にいると、足して2で割った数値になって、格差は縮まります。
ここから、年金や医療などの社会保険料と所得税などを引き、年金給付・介護保育などの現物給付を加えた後(再分配後)の係数は、0.3758です。当初所得に比べ、約30%縮小しています。この数字は2005年よりも0.0115小さくなり、格差が縮まっています。
この結果について、八代尚宏教授は「・・再配分機能は年金・医療に偏り、母子世帯のような低所得者支援の面では不十分だ・・」、樋口美雄教授は「・・働き方が大きく変化しており、非正規と正規の賃金格差も大きい。パートや派遣、契約などの働き方がジニ係数にどんな影響を与えているかについて要因分解できるように調査を実施すべきだろう。そのうえで、格差が一時的なのか、固定化しているのかを分析してみることが重要だ」と指摘しておられます(2010年9月2日づけ日本経済新聞)。
20年間の経済停滞
8月30日の日経新聞オピニオン欄「核心」に、西岡幸一さんが、1991年と現在の日本経済を、比較しておられました。当時(1991年10~12月期)の名目GDPは477兆円で、なんと現在(2010年4~6月期)と同じです。20年間で、成長していないと言うことです。
需要項目で見ると、設備投資が94兆円から63兆円に、31兆円も激減。3分の2です。これに対し、政府の消費が、65兆円から95兆円に、30兆円増えています。ちょうど、入れ替わっているのです。これで経済を支えたのですが、設備投資は成長の源泉であり、政府の消費は「消費」です。社会保障給付が、主な内容でしょう。このほか、公共投資も住宅投資も、減っています。
ここには書かれていませんが、資金循環も、これと同じことを表しています。国民の個人金融資産は約1,500兆円ですが、かつてはそれが銀行預金や株の購入などによって、企業の設備投資に回りました。現在では、それらは銀行と郵便貯金を経由して、国債という形で国が吸い上げています。投資に回らないと、成長はありません。資金が国債でなく民間に回るようになった時、景気はよくなります。しかし、国債は売られ、場合によっては暴落します。ごくごく単純化すれば、こうなります。