朝日新聞10月3日夕刊1面トップ記事(東京版)は、大阪地検の証拠改ざん事件でした。その中に、次のような記述がありました。
・・この際、大坪前部長と佐賀前副部長から、将来的に改ざん疑惑が発覚した時の口裏合わせの資料として、意図的な改ざんを過失とすり替えた内容の上申書の作成を指示された・・
うーん、朝日新聞も、「将来的に」という言い回しを使いますか。「将来、」または「将来に」では、ダメなのでしょうかね。
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潜在成長率
10月4日の日経新聞経済面で、松尾洋平記者が「潜在成長率、本当は何%?」を書いていました。潜在成長率って、一般の方には耳慣れない言葉だと思います。ごく簡単に言うと、「経済の成長実力」です。「景気循環の影響を除いた経済成長率のことで、中長期的に経済がどのくらい伸びていくかを示す」と解説されています。
GDP(国内総生産)の成長率は実際の経済成長=需要側の数値であるのに対し、潜在成長率は供給側の数値です。その差が需給ギャップです。最近の日本経済は、供給が需要を上回っていて、デフレ状態にあります。生産の実力を、使い切っていないのです。
このような状態では、供給側の能力が向上しても景気はよくなりませんが、中長期的には成長力の指標である潜在成長率が高い方が望ましいです。
ただし、この記事が解説しているように、その数値の算出は簡単ではありません。潜在成長率は、企業の設備、労働力、全要素生産性の3つから計算します。このうち、全要素生産性が難しいのです。これは、技術力やノウハウ、教育水準などの生産性なので、積み上げでは出てこないのです。詳しくは、記事をお読み下さい。
国際交流の成功事例・JETプログラム
10月1日朝日新聞オピニオン欄、ウィリアム・ブリアー元アメリカ国務省日本部長の発言「日本を広める第3の波」から。
・・グローバル化がますます進む今日の日本に欠かせない国際交流事業がある。JETプログラムという、米国人青年らによる小中学、高校での英語補助学習などを通して、日本の若者に国際社会の窓を開けるユニークかつ大胆な実験だ。最近、このプログラムが政府の事業仕分けの見直しの対象にされているようだが、JETこそ日本政府が最も成功し、どの国もつくり得なかった対市民外交の一つであると強調したい。
JETを通じて米国、その他の先進英語圏などから参加した多くの若者たちは、日本を好きになり、日本語を話し、日本人や文化を理解してきた。この若者たちは米欧世界における日本研究の「第3の波」をもたらしている、と私は言いたい。
米国における第1波は、19世紀後半にあった。米国人美術収集家たちが日本美術商と協力し合い、ボストン美術館やワシントンのフーリア美術館に優れた日本コレクションを収蔵した。日本の美と文化は米国人を魅了し、最初の日本研究を打ち立てた。
第2波は、悲劇的な第2次大戦の結果として出てきた。戦時中、米政府は主に日本人捕虜の尋問のため、何千人もの日本語話者を育てた。多くは戦後、米国に戻り、新たな興味を抱いて日本研究に取り組んだ・・
1987年に始まったJETは第3の波を引き起こし、新たな世代を生んでいる。JETを卒業した米国青年たちは、以前とは全く異なった日本および日本人観を持って帰国する。多くは日本に好感を持ち、米国内でそれを伝える重要な役割を果たしている・・
米国のフルブライト基金や英国のローズ奨学金もあるが、日本はJETこそ政府の国際教育事業の最大の成功事例と誇るべきである・・
JETプログラムについては、こちらをご覧下さい。
日本の競争相手は欧米から中韓へ
10月1日朝日新聞オピニオン欄「円高、怖くない」から。
野口悠紀雄さんは、名目為替レートは1995年以来の円高だが、日米の物価上昇率の違いを調整した実質円ドルレートでは円安であることを指摘し、
・・今でも実質レートで見れば、適正水準に比べかなりの円安です。この程度の円高で悲鳴を上げているようでは、日本の輸出産業の競争力はかなり落ちているといえます。すでに「輸出立国」という経済モデルが崩壊しているのです。輸出立国モデルが崩れた後に日本が目指すべきモデルは何か。それはITや先端的金融など生産性の高いサービス産業を中核とした経済だと考えます。
米国では1995年から2009年の間に、製造業の雇用者数が約540万人減少した一方で、サービス産業は約1,820万人も増えました。特に、「金融」「ビジネスサービス」「教育・健康」など付加価値の高いサービス産業3部門での雇用の増加は1,057万人にも上りました。人材が製造業からサービス産業にシフトしたわけです・・
政府がやるべきことは、競争力を失った輸出産業の生き残りを為替介入などで助けることではない。円高によって工場の海外移転が進み、国内雇用が失われるのは不可避です・・むしろ、ITや金融分野で有能な人材を育成するための支援が必要です・・
加護野忠男さんの発言から
・・企業の元気を奪っているさまざまな規制を取り除いてほしい。真っ先に手をつけるべきなのは、企業経営を監視するコーポレートガバナンス(企業統治)の制度です・・二つ目は、労働時間や残業についての規制緩和です・・
私の主張は少数意見かもしれませんが、そこまで言うのは、競争相手が変わったからです。90年代までは欧米企業がライバルで、日本は「働き過ぎだ」と批判されました。欧米は労働時間短縮に熱心だったので、日本は規制を強化しても戦えました。
いまや競争相手は中国や韓国と言っていい。中韓の企業は経営判断が速いし、政府も多方面から企業を支えています。現場の働きようも尋常ではありません。欧米と競争した時代の規制を維持していたら、日本は勝てません・・
詳しくは、原文をお読み下さい。
日本は本当に不安な時代か
読売新聞9月30日夕刊健康欄、内田樹さんのインタビューから。
「日本中が不安や閉塞感に覆われているように思います」との問に対し、
・・いつの時代でも将来への不安はあったと思います。バブルのころのほうが僕は不安でした・・60年安保のころには、日本は戦争に巻き込まれるんじゃないかという不安があった。それに比べると、今の不安は大したことはありません。
・・今の日本は、未来の予見可能性がきわめて高い。他国からの侵略や内乱、通貨の暴落などの可能性はほとんどない。戦後65年で今ほど変化の幅や選択肢が限られている時代、言い換えると社会システムが安定している時代はない。不安というより、退屈です。それは安定の代償です。
「日本は今も世界第2位の経済大国なのに、豊かさを実感できません」との問に対しては、
・・これだけ豊かでまだ足りないというのは、貪欲です。世界に類のないほど安全で、環境に恵まれ、平和な国になったことを評価すべきです。持っていないものを数え上げる人間と、持っているものを数え上げる人間では、行動の姿勢が違います。あれがない、これがないと不満を言う人間は、誰かが何とかしてくれるのを待っている・・
「どんな社会を目指すべきですか」との問に対しては、
・・先進国はいずれどこも経済成長が止まり、人口が減ります。日本が少し先を行っているだけです。右肩上がりの成長が終わっても、日本には十分余力があるので、資源をうまく回せば住みよい国をつくれる。みんながそこそこ幸福に生きるにはどうしたらいいかが、国家目標になります。
この問題を解決した先行事例がないから、みんな不安になっていますが、日本は世界の先頭を行っているのだから、モデルがないのは当然です。世界の範となるモデルを構築するトップランナーだという国民的合意ができれば、不安も閉塞感も吹っ飛びます・・
詳しくは原文をお読み下さい。夕刊とインターネット版では、少し内容が違うようです。