カテゴリーアーカイブ:社会の見方

世界で稼ぐ日本企業、日本企業の生き残り策

2012年1月24日   岡本全勝

古くなりましたが、12月24日の朝日新聞オピニオン欄で、入交昭一郎さんが、次のようなことを発言しておられました。
・・「日本の製造業」「日本のものづくり」と言っていますが、その定義を考える必要があると思うのです・・生産している場所が重要なのか、それをコントロールしている場所が重要なのか・・(ドイツの自動車メーカーが国内ではなく海外工場で伸びていること、それでもドイツの製造業であることを指摘して)
・・地域の経済と企業の発展は、別のものになっている。海外で車を作るホンダやトヨタも「日本の製造業」ですよ。私は、21世紀の日本人は工場も働き手も海外に出て出稼ぎすべきだと言っているんです。海外で生産した製品を海外の市場で売って、その利益を日本に持ってくる。国内の生産が難しくなっても、日本の製造業が世界各地に根を下ろして頑張れば、世界中から日本におカネが集まってくる。企業はその装置になればよい・・・この項、続く。

日本の魅力

2012年1月22日   岡本全勝

日経新聞1月10日連載「C世代駆ける」に、日本の大学や大学院に留学している外国人へのアンケートが載っています。
「日本にあって、あなたの国にないものは」という問いに対して、34%の人が「便利な生活環境」と答えています。次が「高度な科学技術」で19%、「謙虚な国民性」が17%、「治安の良さ」が11%、「将来への希望」が5%です。私たちが当たり前と思っている生活環境が、諸外国ではそうではありません。
同じ欄に、日本の学生に聞いた「未来に向け発揮できる日本の強み」の結果が載っています。1位は「技術力・ものづくり」で67%、次が「文化などのソフトパワー」で29%です。以下、IT分野、新型エネルギーや環境関連、かなり少ないですが、人材、外交力の順になっています。

経営の失敗例・選択と集中の誤り

2012年1月19日   岡本全勝

日経新聞1月17日西條都夫編集委員の「一目均衡」は、「コダックはなぜつまづいたか」でした。コダックと言えば、かつては、世界一の写真フィルムメーカーでした。黄色のパッケージを、覚えておられる方も多いでしょう。富士フイルムやコニカより、はるかに大きな巨人でした。
その世界の名門会社が、倒産の危機に瀕しています。衰退の要因は、デジタルカメラの普及で、フィルムが売れなくなったことです。しかし、コニカも富士も、生き残っています。
原因は、関係者の指摘では、1990年代の失敗だそうです。コダックもいろんな事業を手がけていましたが、「選択と集中」原則によって、フィルム以外の事業を外に切り出しました。その時に、将来の成長の種も、社外に流出させたのです。例えば、近年需要が急拡大している液晶用の光学フィルムが、それに当たります。富士やコニカは、これで稼いでいるそうです。
難しいですね。一方で、本業以外に手を広げすぎて失敗した会社があり、他方で、集中しすぎて失敗した会社があります。
このコラムでは、もう一つの要因=政治力でライバルをねじ伏せようとしたことも、採り上げています。詳しくは、原文をお読みください。

脱成長モデル、日本が解を

2012年1月11日   岡本全勝

1月1日朝日新聞オピニオン欄、カレ・ラースンさんのインタビューから。ラースンさんは、ニューヨークから各地へ広がった反格差社会運動「ウォール街を占拠せよ」の仕掛け人です。日本で10年近く暮らしたこともあります。
・・いまの日本はしょぼんとして見えるが、元来ものすごく創造性豊かな国だと思います。米国主導の経済モデルに取って代わるものを打ち出せるとしたら、おそらく日本しかない。経済成長が永遠に続くと思いこんできた米国中心のシステムは、もうダメになった。米国の衰退は、誰の目にも明らか。欧州債務危機を見てもわかる通り、G8とかG20とか世界の主要国がやっているのは、しょせん対症療法です。

「新経済モデルの構築を日本に期待するのはなぜですか」との問いに対して
・・成長一辺倒モデルの限界を、世界で最も早く体感した国だからです。高度成長を経て、バブル崩壊と20年の停滞。日本の困難を、欧州や米国は遅れて経験しているのです。いま求められているのは、壮大な構想力。経済成長が止まった後に、どう経済持続させられるか。解を日本が見つけてくれたら、若者が公園を占拠する必要はもうなくなります・・

日本、貿易赤字に転落

2012年1月10日   岡本全勝

1月9日の日経新聞が、「貿易赤字転落、日本岐路に。31年ぶり、円高・燃料費増加で」を伝えていました。2011年に、日本が貿易赤字国になったという予想です。歴史的な円高で、輸出が伸びなかった一方、原発の停止で火力発電に使うLNGの輸入が膨らんだためと、解説しています。
問題は、この貿易赤字が、構造的に定着するとの見方があることです。これが一時的なら、そんなに問題ではありません。また、貿易赤字になっても、所得収支(海外からの配当や利子)などが黒字で、合計の経常収支が黒字なら、問題は少ないです。
「日本は資源が少ないので、石油や原材料を輸入してそれを加工し、工業製品を輸出して、栄えている」というのが、かつて教えられたことです。もっとも、経済に占める輸出入の割合は、諸外国に比べて日本はそれほど大きくないのですが。それでも、貿易で稼ぐというのが、一つの日本モデルであり、私たちが信じた神話でした。それが崩れるのは、いささかショックです。
成熟国になると、貿易ではなく、海外投資による所得収支で黒字になるのが、先進国の道筋です。しかし日本の場合は、この「成熟」が早くやってきているので、海外投資の蓄積が大きくありません。
安価で良質な工業製品では、後発国に追いつかれました。今後、何を「売って」日本は稼ぐのか。何で世界に貢献し、諸外国から尊敬されるのか。その岐路に立っています。