カテゴリーアーカイブ:社会の見方

建築様式に見るモダン、2

2016年1月31日   岡本全勝

私は、建築はもちろん門外漢で、この本に出てくる建築家、建物、専門用語は、知らないことばかりです。でも、たくさんの建物の写真がついていて、話の流れはわかったつもりです。もっとも、本文に出てくる建築物で、写真がついていないものもあり、そこはお手上げです。
私は、この本を建築様式の歴史としてでなく、社会と思想の歴史として読みました。すなわち、モダンとポストモダンは、何を基準にどこで分かれるか。ポストモダンとその次の時代は、何を基準でどこで分かれるのか。その際には、ポストモダンは、何と命名されるのか。日本の戦後とその後の時代は、何を基準にどこで分かれるのか。

建築様式に見るモダン

2016年1月29日   岡本全勝

岸和郎著『デッドエンド・モダニズム』(2015年、LIXIL出版)が、興味深かったです。著者は、1950年生まれの建築家です。この本は、20世紀の建築を対象として、モダニズム(近代主義)と、それへの対抗(ポスト・モダン)を分析したものです。モダニズムが、それまでの装飾を取り払い、機能主義のデザインを持ち込みます。王侯貴族というパトロンでなく、市民や資本家が顧客になります。アパートメントや個人住宅がその象徴です。鉄とコンクリートとガラスが、それを支えます。色でいうと、白です。それに対抗するデザインが出てきて、ポスト・モダンが生まれます。しかし、行き詰まります。
近代は、政治、経済、社会など様々な分野で、それまでの時代を変える大きな時代を画しました。建築様式の世界でも、一つの時代です。「ウイキペディアの解説」。
ところで、その後に来たのは「ポストモダン」です。しかし、「ポスト」と名づけられているように、それは新しい哲学を生んでいません。私が思うに、もう一つ先の哲学・思想・様式が生まれたら、「ポスト・モダン」もそれとの比較で何かの名前をもらうのでしょう。日本の現代史でも、いまだに「戦後」と言いますが、次の思想・様式・政治形態が出てこないと、戦後はいつまで経っても、戦後です。御厨先生が「災後」という名称を提唱されましたが、定着していないようです。

サイバー攻撃

2016年1月24日   岡本全勝

朝日新聞同様日別刷りbe、1月23日フロントランナーは、サイバーセキュリティ技術者の名和利男さんです。
1昨年、日本に「着弾」したサイバー攻撃は、前年の倍の250億件余りとのことです。とんでもないことに、なっているのですね。弾が飛んでくるところが見えない攻撃と、防御なので、私たちにはなかなかピンときませんが。見えないところで、日夜闘っている人たちに、感謝します。

インターネットの威力

2016年1月19日   岡本全勝

朝日新聞1月19日夕刊、「スゴイのに売れない…おじいちゃんのノートいかが 孫がツイート、注文3万冊」。70歳代の印刷業の方2人が作ったノート。
・・・どこのページを開いても、真ん中がふくらみにくく平らになる。手で押さえなくてもきれいに開き、コピーの時などに真ん中が黒くならないのが特長で、製造方法に関して会社で特許も取った・・・
でも売れずに、在庫の山。お爺ちゃんは、孫娘にノートをまとめて渡し、「これ、学校の友達にあげてくれ」。受け取った孫娘は。「学校じゃノート必要そうな人いないしなー」。で、軽い気持ちでツイート、「うちのおじいちゃんのノート、費用がないから宣伝できない」「欲しい方あげるので言って下さい」。あとは、本文をお読みください。

数学をめぐる議論が、社会を変える。2

2016年1月14日   岡本全勝

この本の第1部は、昨日書いた、イタリアでのカトリックとイエズス会が、自由な研究を押さえ込み、秩序を維持することに成功します。しかしその代償に、研究が進まなくなります。第2部は、舞台をイギリスに移し、ホッブスが敵役になります。ホッブスは、政治学を勉強した人なら知っている「リヴァイアサン」の著者です。彼が、その思想の延長で、数学を勉強したとは、知りませんでした。彼の主張では、絶対君主がこの世を治めます。それは、教皇に代わる統治者であり、唯一の秩序を維持する者です。それに対し、まだ誕生したばかりの、ロイヤルアカデミーが対抗します。
17世紀のイギリスの政治混乱、2度の市民革命が、この唯一の秩序派と自由な研究派との対立に重なるのです。そして、ホッブスは負け、自由な研究派が勝ちます。それから、イギリスの発展が始まります。
イタリアの自由な思想が終わり、イギリスで自由な思想が始まる。その象徴が、数学をめぐる議論として描かれています。なるほどと思います。もっとも、教皇派・王党派対自由な研究派・市民派を、すべて数学の対立で説明するのは、いささか無理があるようです。しかし、一つの象徴としては、理解できます。マックス・ウエーバーの、プロテスタントが資本主義を発達させた論より、面白いです。
とはいえ、この本は、上下2段組、300ページあります。「挑戦してやろう」という人に、お勧めです。たくさんの知らない人が出てきて、寝ながら読むには少々大変です。