カテゴリーアーカイブ:社会の見方

企業の社会的責任

2017年6月8日   岡本全勝

6月20日に仙台で、講演します。河北新報社主催の、フォーラム「トモノミクスが拓くあした 被災地と歩む企業」です。詳しくは、「お知らせのページ(6月20日)」をご覧ください。
慶應大学法学部、公共政策論でも、ちょうど企業の役割を講義しているところです。CSR、CSVという言葉が、広がりつつあります。復興では、それも重要でしたが、その前に本業を再開してもらうことが重要でした。生活に不可欠なサービスを再開してもらい、そして働く場を再開してもらう。それが、街での生活を取り戻したのです。

オランダの歴史

2017年5月30日   岡本全勝

桜田美津夫著『物語オランダの歴史』(2017年、中公新書)を読みました。偉大な小国の500年の歴史が、コンパクトにまとめられています。随所にそうだったんだと、いろんなことを教えられます。
ところで、オランダの歴史と言えば、岡崎久彦著『繁栄と衰退と―オランダ史に日本が見える』(1991年、文藝春秋。文春文庫に収録)が出版されたときに、興味深く読みました。

桜田さんの本も、新書版に良くまとめてあるのですが、欲を言えば、オランダの盛衰をもう少し書いて欲しいです。17世紀に、小さな国土で先進国、大国だったのが、その後追い抜かれて、トップの座から転落しました。その要因を知りたいのです。
その際には、オランダだけでなくイギリスやフランスなど他国や新大陸、植民地についても書かなければならないでしょう。しかし、一国の歴史を、その国内のことだけで記述するには限界があります。「物語オランダの歴史」の限界でしょうか。

イスラム教、スンニ派とシーア派の違い

2017年5月18日   岡本全勝

先日、高岡さんの新著『外交官が読み解くトランプ以後』を紹介しました(5月2日の記事)。いろいろと教えられることがあったのですが、ここでは宗教について取り上げます。
中東を議論する際に、イスラム教は外せません。そして、スンニ派とシーア派の2大宗派があることも有名です。サウジアラビアはスンニ派、イランはシーア派です。何度も聞いたり読んだりしたのですが、その違いを覚えられません。高岡さんの本で、すっきりしました(p177~)。

時代とともに変化する日常生活を律するために、コーランを解釈する必要がでてきます。その際に、スンニ派は、9世紀までに確立した4代法学派に固定し、その後の新たな解釈を禁止します。イスラム法学者の解釈を経て、人間生活の法的規範「シャリーア」に詳細化します。そして信者は、ひたすらシャリーアを守ることで、天国への道が約束されます。他方で、シーア派はコーランなどの字面にこだわるのは形式主義過ぎると考えます。霊感を受ける能力のある聖職者から、コーランの秘密の意味を教えてもらいます。
これを高岡さんは、プロテスタントとカトリックとの違いと比べます。プロテスタントは、聖書を通じて神と直接交わることができます。対するカトリックは、神と信者との間に、ローマ教会が介在します。
教典を尊重するのか、聖職者を介在させるのかの違いです。
ここでは、ごく簡単に紹介しましたが、原文をお読みください。

お客さんの要求にどこまで答えるか

2017年5月18日   岡本全勝

5月17日の朝日新聞オピニオン欄、「世の中、便利すぎ?」、古屋一樹さん・セブン―イレブン・ジャパン社長の発言から。
・・・1974年に1号店を東京・豊洲に出して以来、コンビニエンスストア(便利なお店)という名前の通り、店では新しい商品やサービスを次々に加えてきました。
新しいものを始めるときに気をつけることは、二つあります。一つは、お客さまの要望を2歩も3歩も先取りしないことです・・・
・・・もう一つは、店員の負担を大きく増やさずに、全国どのお店でも24時間365日、同一のサービスを提供できるのか、見極めることです。公共料金は、どんな種類もバーコードを2回スキャンするだけで支払えるようにシステムを開発しました。公共料金がコンビニの店頭で払えるのは、おそらく日本だけでしょう。いれたてのコーヒーは、導入までに5年かけました。お客さまが自分でいれてもストレスを感じない方式をつくるのに、試行錯誤しました。
一方で、飛行機のチケットや電車の指定席券の販売は、要望は多いのですが、お断りしています。事故や運行の乱れがあったときに店で対応しきれず、ご迷惑をおかけする恐れがあるためです・・・

製品の新陳代謝

2017年5月16日   岡本全勝

6月16日の日経新聞オピニオン欄、アメリカの3M会長のインゲ・チューリンさんのインタビューから。3Mはアメリカの素材メーカー、ポスト・イットなどが有名です。
・・・3Mの商品は工業用の研磨材から医療材料、「ポスト・イット」のような文房具まで幅広いが、総じて言えば、既存の商品は陳腐化によって毎年4%程度売り上げが逓減していく。その結果、5年経つと2割減る。その穴を埋め、さらに会社全体の売上高を押し上げるには、切れ目なくイノベーションを起こし、製品群の新陳代謝を活発にしないといけない・・・
・・・当社のイノベーションには2種類ある。一つはカスタマー・インスパイアード(顧客触発型)イノベーションと呼んでいる、お客さんと一体になって新しいモノを創る仕組みだ。日本での最近の成果としては、電車の外装を丸ごとラッピングする特殊フィルム素材がある。東京メトロやJR東日本向けに開発した・・・
・・・(もう一つのイノベーションの類型は)社内用語でインサイト・ツー・イノベーション(洞察による革新)と名付けたもので、これは特定顧客向けというより、もっと幅広く新たな市場の創出を狙ったものだ。例えば従来製品に比べて耐久性を4倍に高めた内装用の研磨材や「アイガード」という患者の血液などから医療従事者の目を守る防護具は、日本の建設現場や病院でも広く使われている・・・

西條都夫・編集委員の言葉
・・・近年、経営学で「トランザクティブ・メモリー」という概念が注目されている。企業は膨大なメモリー(記憶=知)を蓄積しているが、それが活発にやりとり(トランザクト)されることで、イノベーションの生産性が上がる、という考え方だ。逆に言えば、せっかくの「知」もたこつぼ的な組織に埋もれたままでは有効に活用されず、宝の持ち腐れに終わる。
優れた文化は一朝一夕には生まれない。3Mは1951年から社内の技術見本市を毎年開き「誰が何に取り組んでいるか」の情報を共有してきた。異分野の技術者が集まるイベントや研究発表会も多く、組織内の「知の巡り」が向上する・・・
全文をお読みください。