カテゴリーアーカイブ:社会の見方

サイバー攻撃を予防するサービス

2018年7月26日   岡本全勝

サイバー攻撃・サイバー犯罪が問題になっています。情報を盗まれたり、お金を盗られたりします。個人や会社のパソコンが乗っ取られて、パソコンが使えなくなったり、知らないうちに悪事に加担させられたりとかも。
一般人にとって、パソコンやインターネット自体が「便利だけど、仕組みはよくわからない装置」です。世界中と簡単につながる便利さが、危険を伴います。
新しい社会のリスクの一つです。とはいえ、パソコンやスマートフォンなしの生活は、ほぼ考えられません。

では、どのようにしてリスクを防ぎ、損害を減らすか。利用者の教育、プロバイダーなどによる規制と制限、犯罪者の摘発などが考えられます。
しかし、パソコンとインターネットの普及が近年のことであり、また急速に技術が進歩することから、対策は容易ではありません。
私自身が、サイバー攻撃というものを知ったのは、近年のことです。職場で、危険性と対応の研修を毎年受けることで、勉強しています。でも、このような職場は少ないでしょう。学校教育では、どれだけ組み込まれているのでしょうか。

企業が抱えるリスクを予防する、サービスを教えてもらいました。
損保会社が提供する、「サイバーインテリジェンス情報分析サービス」です。
攻撃の兆候がないか、データ漏えいが発生していないか、フィッシングが起きていないか、偽情報でブランドを棄損されていないかなどを、調べてくれるそうです。
犯罪にあってからでは遅い(被害救済はむつかしい。警察に届け出ても対応はむつかしい)ですから、このような予防が効果を持ちます。
これも、企業の(本業による)社会貢献です。

その説明についてる図が、勉強になりました。インターネット空間には、3層のものがあるのですね。
1 グーグルなどで検索可能な「公開空間」。Clear Web。
2 検索はできず、パスワードがないとみることができない「関係者限りの空間」。Deep Web。
3 匿名性が保たれる「見えない空間」。Dark web。ここが犯罪に利用されます。

社会はブラウン運動1 人類の進化は偶然の積み重ね

2018年7月25日   岡本全勝

歴史を見る時、「単線的思考では視野が狭い」という議論を続けてきました。その続きです。しばらく、放ってありました。この分野「ものの見方」は不定期連載です。

今回は、歴史はある法則に従って進んでいるのではなく、ジグザクに動くという話です。その基礎には、人の動きはブラウン運動的であることがあります。
ブラウン運動は、微粒子が不規則に動き回ります。人の動きは、このブラウン運動に似ています。各自の考えや好き嫌いで、各々が思う方向に動きます。もっともブラウン運動は、微粒子は自分の考えて動いているのではなく、液体の方が動いていて、その上に浮かんでいる微粒子が動いているのが観察されるのですが。
この反対は、指導者の指示を受け入れて、各個体が一定の方向に動きます。あるいは、歴史の法則に沿って、社会が発展します。しかし、実際はそうではないのです。

この考えを説明する前に、人類の進化について触れます。
人類の進化の解説書を読んでいると、人類も神様が作ってくださったのでもなく、一定の法則や道筋で進化したものでもないようです。
アフリカの森に暮らしていたサルの一種族が、森を追い出されました。暮らしやすい森を追い出されたのは、弱かったからでしょう。競争相手に負けたのです。
弱い動物ですから、肉食獣に食べられたものも、たくさんいました。その過程でたくさん死んでいます。死に絶えた種もあります。
彼らが、生きていくために、いろんなことに挑戦しました。二本足になったり、手を使ったり。家族で協力したりと。幸運に、生き残ったのが私たち人類です。

人類に限らず、生物の進化は、偶然の積み重ねです。進化は、ある目的を持って進んではいません。突然変異が繰り返され、その中で生き延びたものが、生き残っていく。さらに変化が繰り返され、うまく適合したものが生き延びます。
法則があるとするなら、これが法則でしょう。

脱線すると、人類は強いが故に生物の頂点に立ったのではなく、弱いが故に強くなったようです。道具を使うようになり、智恵を使うようになってです。人類もまた、偶然の中からできたのです。森の中で苦労せず、おいしい木の実を食べていた強いサルたちは、そこから進化はしませんでした。しなくても、暮らしていけたのです。
その後の社会の発展も、同じです。故郷を追われた(弱い)人たちが、新天地で新しい生活を始めます。例えば、イングランドを出て、アメリカ大陸でニューイングランドをつくった人たちです。もちろん、全員がうまくいったわけではなく、冬を越せなかった人たち、失敗した人たちも多かったのですが。
この項続く

不正がばれたとき

2018年7月24日   岡本全勝

7月23日の朝日新聞朝刊1面トップは、「品質認証機関が不正 JIS、無資格や手抜き」でした。
国家規格JISや国際規格ISOの認証機関が、不十分な審査で企業に認証を与える不正をしていたとのことです。
認証機関が適正に活動しているかをチェックする公益財団法人「日本適合性認定協会」が見つけたとのこと。そんな仕組みがあるのですね。

詳しくは、記事を読んでいただくとして。興味を引いたのは、次の部分です。
・・・LRQA(問題となっている認証機関)は不正や処分について「お客様との守秘義務の関係上、情報をご提供することは差し控えます」としている・・・

わかりやすい対応ですが。
認証機関にとって、「顧客は契約相手の会社であって、世間や国民はその次」という考えでは、信頼回復は難しいでしょうね。

原真人記者、リーマンショックを考える

2018年7月23日   岡本全勝

7月21日の朝日新聞読書欄に、原真人・編集委員が「リーマンショックから10年 人類史レベルで変化を考える」を書いておられます。

・・・世界経済を震撼させたリーマン・ショックから今年で10年。「百年に1度」と言われたあの危機は多くの教訓を残した。だが、のどもと過ぎれば熱さ忘れるの例えどおり、住宅バブルの崩壊で痛い目にあった反省はどこへやら。いま私たちが目の当たりにしている世界経済はリーマン直前をもしのぐ資産バブルのふくらみようである。
率直に言って、近い将来、世界規模でのバブル崩壊が再び起きる可能性は小さくない。10年前の教訓をいま改めてかみしめておく価値は十分ある・・・

として、リーマンショックを考える図書を紹介しておられます。それも、単に羅列するのではなく、それら図書の持つ意味も解説してあります。例えば、関係者の回顧録は貴重ですが、自分の行動を正当化しがちです。
近過去の歴史を勉強することは、難しいです。教科書にはまだ載っておらず、定番の解説書がどれなのか。一般人には、わかりません。このような読書欄での紹介は、役に立ちます。

そして、最後に次のように締めくくっておられます。
・・・リーマン後の経済状況を短期でなく、もっと長い時間軸でとらえ直そうという本の出版が増えているのも最近の傾向だ。
『世界経済 大いなる収斂』は、ICT(情報通信技術)革命でアイデアの移動コストが極端に下がり、世界の富と知識の分布が急激に変わる姿を描く。
経済成長やグローバル化を当たり前のものでなく相対化してとらえ、人類史レベルで世界経済の変化を考える。そんな機運が生まれたのも、一種のリーマン効果と言えるかもしれない・・・

政策の検証

2018年7月23日   岡本全勝

7月12日の日経新聞に「成長戦略、検証なき膨張  工程表3倍でも目標達成率は低下」が解説されていました。
・・・政府の成長戦略への関心が下がっている。安倍政権で6回目となる今年の戦略は世界的なデジタル革命への対応などを打ち出したが、株式市場はほとんど反応しなかった。新たなテーマを毎年加えたことで目標実現への工程表は初回から3倍に膨らんだが、目標達成が厳しくても検証が不十分なままの政策も多い・・・

・・・成長戦略は規制緩和など制度改革を伴うので金融・財政政策よりも成果が出るまで時間がかかる。このため、戦略に盛った政策はKPI(重要業績評価指標)と呼ぶ目標を設け、達成までの数年間の工程表を示す。
工程表は肥大化している。2013年に安倍政権が初めてつくった成長戦略の工程表は48ページだったが、新たな政策が加わり続けた結果、18年版は147ページもある。
政府が1月に評価したKPIの進捗状況をみると、目標達成に向けて順調な項目は全体の45%と前年の51%から下がった。目標を引き上げたことで未達になった項目もあるが、工程表に新たな目標が加わったことも達成率を押し下げている。
過去の検証はおざなりだ。例えば産業の新陳代謝を促す観点から掲げた開業率・廃業率の引き上げ。「米英並みの10%台に高める」という目標を最初の戦略から掲げてきたが、直近16年度の廃業率は3.5%と15年度よりも下がった。それでも目標達成への補完策は打ち出していない・・・

検証の重要性を示す、良い解説記事だと思います。
もちろん、打ち出す政策が、すべてうまくいくとは限りません。このような批判に、政府はどう答えるか。それによって、政策がよいものとなっていきます。
マスコミはとかく、政府の政策について、会社の商品について「新しく打ち出した」といったニュースを書きますが、その政策がどのような結果になったか、どのような成果を生んだかは伝えません。特に、うまくいかなかったものについては、政府も会社もだんまりを決め込みますから。
記者が、省庁や会社の「記者発表」を追いかけている限りは、そのような「提灯記事」になる恐れがあります。