カテゴリーアーカイブ:社会の見方

フランスの経済エリート

2020年1月28日   岡本全勝

小熊英二著『日本社会のしくみ』で引用されていたので、葉山滉著『フランスの経済エリート カードル階層の雇用システム』(2008年、日本評論社)を、斜め読みしました。
官僚の社会的地位が高く、また主導的機能を果たしている国として、フランスには興味を持っていました。この本は、産業界の官僚ともいうべき、企業のカードルについて書かれたものです。カードルは、企業だけでなく官庁を含め、管理職や高度専門職に就いている人たちです。

一般的に西欧では(実体的には日本でも)、職業は次のように分類されます。
まず、自営業者と雇用者に大別されます。自営業者の中は、農業経営者と、企業主・商人・職人とに二分されます。雇用者の中は、管理職・高度専門職、中間的職業、職員、工員の4つに分けられます。

この「管理職・高度専門職」がカードルです。この言葉は、元は「枠」という意味のフランス語で、1870年代の軍隊から用いられたようです。士官学校出身の将校(士官)たちです。彼らが戦略を練ります。その方針を実践に移すべく現場で指揮を執るのが、下士官です。その指揮の下で、実践するのが兵です。
管理職・中間管理職・職員という三層構造は、たいがいの組織で当てはまります。

関心ある方は、本を読んでいただくとして。あらためて、次のようなことを考えました。
・働き方や雇用慣行は、その国の社会のかたちや個人の生き方を規定する。
・そして、教育の仕組みもそれと連動すること。フランスのエリート教育は有名です。
続きは、別途書きます

この本を探したら、杉並区の図書館にありました。このような専門的な本も所蔵しているとは、たいしたものです。図書館の蔵書は、インターネットで簡単に検索できて、近くの分館まで届けてくれます。通読しようとしましたが、他に読まなければならない本がたくさんあるので、断念。また必要がでたら、借りましょう。
アマゾンで探したら、中古はとんでもない値段がついていました。

外国語の日本語表記

2020年1月24日   岡本全勝

新聞社を始め出版社には、表記の定めがあります。外国語を日本語に移す際もです。
「ヴ」「ヴァ」「ヴィ」を、「ウ」「バ」「ビ」に変えることが多いようです。
するとどうなるか。
マックス・ヴェーバーがマックス・ウェーバーに、
アレクシ・トクヴィルがアレクシ・トクビルに、
カレル・ヴァン・ウォルフレンがカレル・バン・ウォルフレンになります。

それでなのですね、マックス・ウェーバー(Max Weber)は。
私は学生時代に、マックス・ウェーバーと習いました。でも、ドイツ人の彼が、なぜ英語風にウェーバーと表記されるのか不思議でした。日本の社会学は、戦前はドイツやフランスをお手本にしましたから、英語経由で入ってきたはずはないのに・・・と。
これまでの出版業界での表記が、ヴェでなくウェだったのですね。

日本美術を見せる

2020年1月24日   岡本全勝

以前から疑問に思っているのですが。
日本美術を専門にした大きな美術館がありません。山種美術館三井記念美術館泉屋博古館など、小ぶりで良い民間の美術館は、いくつもありますが。

国立には、東京国立博物館、国立西洋美術館、国立近代美術館はあるのです。国立日本美術館はないのです。たぶん、こういうことだと思います。
文物については、博物ということで、国立博物館でも集めた。美術は、西欧の美術を紹介するために、力を入れた。他方で、日本美術は、国家が集めなくても、身の回りにたくさんある。ということではなかったのでしょうか。

欧米でも、美術館、博物館は、よその国から集めてきた珍しいものを展示したようですから。美術品は、購入者や支援者がないと、政策は成り立ちません。スポンサーです。王侯貴族やお金持ちです。
で、日本でも、藩主や財閥、お寺が持っていました。いくつかの美術館はその系統です。維持できなかったものは売られて、散逸あるいは美術館に収まりました。

なぜ、このようなことを指摘するのか。海外からの訪問者に、「日本美術を見るならここに行きなさい」と紹介する場所に悩むからです。
日本美術をたくさん所蔵している美術館は、東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館のようです。
東京国立博物館は、それなりに日本の文物を紹介するには良いのですが、分野が広すぎます。ハニワから刀までありますからね。近年開かれる特別展も良い企画があるのですが、焦点を何に絞っているのか、わかりにくくなっています。日本人を相手に、珍しいものを見せるのか。その際に、外国人はどう扱っているのかです。

外国人、あるいは日本人でも若い人に、日本美術を見せる施設や工夫が欲しいです。実物はいくつもの美術館に分散保管されているとして。系統だって見せる施設。そしてこの時代ですから、インターネットで多くのものを見ることができる仕組みです。
日本美術だけでなく、伝統芸能の世界も、外国人観光客に近寄りやすくなっているのでしょうか。

聖徳太子の絵姿

2020年1月23日   岡本全勝

日経新聞朝刊文化欄の「美の十選」、ある主題で専門家が選んだ古今東西の美術品を10点見せてくれます。「へえ、こんな視点があるのだ」と、楽しみにしています。
今回は、八條忠基・綺陽装束研究所主宰の「装いがまとう意」です。

1月22日は「聖徳太子及び二王子像(唐本御影)」でした。皆さんご存じの、聖徳太子の絵です。読んでもらうとわかりますが、聖徳太子の姿とは、全く違うようです。
太子が被っている冠が黒い「漆紗冠」になったのは、682年。手に持つ笏は719年からです。聖徳太子が亡くなったのは622年です!
また、平安時代後期に、「唐の人が描いた」といわれていたとのこと。
ええ加減なものですね。まあ、そもそも太子は、生前には「聖徳太子」とは呼ばれていなかったようですし。

聖徳太子が生まれたとされる橘寺は、わが家の近くでした。飛鳥川をはさんだ隣の集落です。お寺の庭で、遊びました。

建物の「センター」という言葉

2020年1月23日   岡本全勝

アルファベット日本語」の続きにもなります。
施設につけられる「センター」という名称は、紛らわしいと思いませんか。
文化センター、ショッピングセンター、保健センター、コミュニティセンター、研修センター・・・あなたの周囲にも、たくさんあるでしょう。

国民生活センター、シルバー人材センター、子育て支援センター、年金相談センター、ビジターセンター、血液センター、医療センター、研究センター、就職情報センター、このような公共的なものの他に、会社の名称や支店などにつけている場合があります。
建築住宅センター、××会社サービスセンター、コールセンター、××フラワーセンター、××メモリアルセンター、××チケットセンター、

英語のcenterからきたのでしょう。辞書を見ると、「多くのものごとが集まること。集中」「ある地域の特定の業務を集中させた場所、施設、部門を示す語」とあります。
かつては、このカタカナ語は目新しく、格好良く見えたのでしょう。しかし、このように多用されると、「普通名詞」に近くなっています。そして、陳腐に感じます。
何か良い日本語への切り替えは、できないでしょうか。多くの場合は、「会館」「所」「窓口」などで置き換えができそうです。

若い人は「センター」と聞くと、大学入試のセンター試験か、AKBの最前列中央(センターポジション)に立つ女性を思い浮かべるのでは(私はAKBを知らないのですが)。