カテゴリーアーカイブ:社会の見方

衰退途上国

2022年9月8日   岡本全勝

8月31日の日経新聞経済コラム「大機小機」は「「衰退途上国」から脱却するには」でした。

・・・本年5月に行われた日本経済学会春季大会のパネル討論でパネリストの1人が、日本は「衰退途上国」になってしまったと指摘していた。「発展途上国」が先進国よりも高い経済成長率を続けて先進国に追いついていくのに対して、「衰退途上国」は低い成長率を続けて世界から取り残されていく、そんな国になってしまったというのだ。
今日、日本の1人当たり国民所得は、かつてアジアの小竜といわれたシンガポール、香港などに抜かれてしまっている。このままでは、タイやインドネシアに抜かれるのも時間の問題だろう・・・

「発展途上国」「先進国」という言葉は、これまでよく使いましたが、「衰退途上国」という言葉は初めて聞きました。しかし、良くできた言葉だと思います。
それが実現しないように、しなければなりません。

日本経済停滞の原因、大企業の保守化と起業の低調

2022年9月7日   岡本全勝

8月28日の日経新聞1面は、「設備投資、ルーキー不在 企業の新陳代謝鈍く成長停滞」でした。
・・・日本企業の設備投資が低迷している。過去最高水準の利益の下でピークに届かず、米欧と比べても伸び悩む。金額のトップ10を集計すると、通信や電力、鉄道などインフラ系が目立つ。エレクトロニクス関連企業は順位を下げた。次の成長をけん引するルーキーは見当たらず、日本経済の活力の低下を印象づける・・・

経済協力開発機構の調べでは、過去30年間の企業の設備投資は、アメリカが3.7倍、イギリスが1.7倍、ドイツが1.4倍ですが、日本は1%増と横ばいです。日本企業は儲けていても、新規投資に慎重なのです。

他方で、開業率と廃業率を足し合わせた「代謝率」は、アメリカ、イギリス、ドイツが20%前後で推移しているのに対し、日本は5%程度です。新しい企業が出てこないのです(他方で廃業も少ないのですが)。
アメリカの大企業ではGAFAが有名ですが、これらも新しい企業です。老舗大企業は伸び悩むか、つぶれています。すると、日本の経済活性化に必要なのは、経団連加盟企業のような老舗大手企業の頑張りではなく、新しい企業の出現でしょう。
ここには、日本の若者が就職に際して大企業を目指す風潮、親も社会もそれを良しとする風潮も寄与していると思います。

「東京暮らしは身分が上」意識

2022年9月6日   岡本全勝

8月23日の読売新聞、藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員の「地方で実現 新生活スタイル」から。

高度成長の頃から、地方の若者が首都圏の企業や大学を目指す流れが生まれ、若者はそのまま居着きました。しかし、今は都会でないと手に入らない物はほとんどなく、住環境や自然環境はむしろ貧しい。
それでも若者が首都圏を目指すのは、地方より東京の方が上という思い込みがあるのでは。誰にでもわかりやすい、一種の「身分」を手に入れたいと望む人が多いからだと私は考えています。

テレワークが普及し、どこでも仕事ができる環境がIT企業を中心に整いつつあります。「地方には仕事がない」という人は、都会で書類を作る仕事の方が減り始めていると気付くべきです。反対に、農業や林業の産出額は、2010年から20年の間にそれぞれ10%、13%と大きく伸びました。世界的な木材不足や、高付加価値の農産物の輸出増加などが要因です。
つまり、地方の経済発展の可能性が高まっているのです。安い家賃で広い住宅に住めて、祖父母との交流もあり、子育てしやすい環境もあります。自然を満喫し、子育てや食文化を楽しみながら働ける時代になったのです。実際、妻の出身地に戻って新たな事業を始める「嫁ターン」という言葉をよく聞きます。

魔の交差点?

2022年9月4日   岡本全勝

わが家の近くの地下鉄丸ノ内線は、東西に延びる青梅街道の下を走っています。新高円寺駅の二つの出口は、その道路の両側、すなわち南と北にあります。駅の真上に横断歩道があり、信号があります。

この横断歩道を渡るには、注意が必要です。信号が青になると、左右を確認して渡ります。ところが、渡り終わる頃に左側から、自転車が走り抜けるのです。
当然、自転車側の信号は赤です。だから、車は停止線で止まっています。その横から突然自転車が現れて、私の前を横切るのです。これには冷やっとします。ぶつかると怖いしケガをするので、立ち止まります。すると、私の前か後ろをすり抜けていきます。
「信号は赤ですよ」と叫ぶのですが、効果はありません。そのような運転をしていると、いつか事故を起こすだろうなと、心配になります。

もう一つ怖いのは、信号が赤の場合に車道から歩道に乗り上げて、歩道を走る自転車です。横断歩道を渡り終わって、歩道にたどり着いたら、危険が待っているのです。
また、地下鉄の駅を出るときも、冷やっとすることがあります。電車の駅には駅前広場があるのですが、地下鉄の駅にはありません。階段を上がって駅を出たところで、歩道を走る自転車に出会うのです。これも怖いです。

地下鉄にも駅舎をつくって、駅前広場を整備できませんかね。雨の日は、出口で傘を広げなければなりません。混雑します。バスやタクシー、送り迎えの自動車が道路に駐停車しなければなりません。歩道も広ければ良いのですが、多くの場合、そんなに広くありません。歩道に出口があるだけというのは、貧しいですよね。

脱・昭和時代

2022年9月4日   岡本全勝

8月18日の日経新聞夕刊生活面に「日本社会 なるか「脱・昭和」」が載っていました。

もはや昭和ではない――。内閣府は6月に公表した男女共同参画白書にこんなフレーズを載せて「脱・昭和」を呼びかけた。令和のいま、働き方や女性活躍といった文脈では「昭和たたき」とも言える表現が噴出する。脱・昭和の現状と課題を識者らに聞いた。

「新しい上司が頭昭和でほんとやだ」「滅私奉公で昭和的な働き方」――。ツイッターにあふれる職場への愚痴を見ると、「昭和」は1つのキーワードになっている・・・
・・・「昭和の社会モデルをアップデートしてこなかったばかりに、ひずみがあちこちで起きている」。こう話すのは健康社会学者の河合薫さん(56)だ。著書「コロナショックと昭和おじさん社会」では、新卒一括採用で終身雇用の男性正社員が企業の中心メンバーだった昭和のモデルと実態の食い違いが、コロナ禍で明るみに出たと記している。
2020年2月に政府は感染拡大を防ぐため、全国の小中学校などの一斉休校を要請した。河合さんは子どもの世話で仕事を続けられないと困惑する母親たちの姿を見て、「これが女性活躍を掲げる令和の姿か」と疑問を抱いたという。
昭和時代は専業主婦の妻が介護や育児を担う役割分業が主流だった。今も女性が家族のケアを中心的に担う構造が続くことに、河合さんは「共働きが主流になって久しいのに、価値観もシステムも昭和のまま」と指摘する。

「長時間労働で休みが取れない」「社内飲み会に参加が必須」は昭和的イメージ――。企業向けのビジネスチャット機能サービスを手掛けるワークスモバイルジャパン(東京・渋谷)が22年4月、全国の中小企業に勤める20~59歳の正社員に行った調査では、39.4%が自身の勤め先を「昭和的」だと評価した。