カテゴリーアーカイブ:社会の見方

大学での職業教育

2022年12月25日   岡本全勝

12月14日の日経新聞に「キャリア教育、46%が早期化 ジョブ型採用に備え」という、学長アンケート結果が載っていました。

・・・仕事内容と求める能力を明確にする「ジョブ型」を新卒採用でも導入する企業が増えている。即戦力になる新卒学生を求める企業も現れ始めた。日本経済新聞社が実施した学長アンケートで、変わる人材ニーズへの対応策について聞いたところ、157大学のうち5割弱がキャリア教育の早期化と答えた。一方で大学が職業訓練の場になる可能性を危惧する声も上がっている・・・
「職業訓練校化していくことが高等教育機関の使命ではない」という学長の発言も載っていました。

私は、大学とは職業教育の場で、教養も合わせて学ぶ場だと思っていました。私は、公務員になるために東大法学部に進みました。法学部だけでなく医学部も、職業訓練校です。大学に残って研究者になる人もいますが、多くの卒業生は公務員、法曹、医者になります。教育学部を出た人も、教師になるのでしょう。

東大法学部は、そもそもが官吏を養成するために作られました。当初は公務員試験も免除されていました。その後も、公務員試験、司法試験の予備校の機能があります。
この学校は、明治政府が先進国に追いつくために作った学校です。先進国から先進知識を「輸入」する学者と研究者を育成するとともに、社会でそれを実行する職業人を育てました。実用の学である工学部が大学に作られたのも、先進国では日本が最初だと聞いたことがあります。

大学進学率が5割を超えています。その人たちに、一般教養や専門研究教育を教えるだけでよいのでしょうか。
そのような教育を実施するのは、教員側の都合だと、私は思います。

男女賃金格差

2022年12月25日   岡本全勝

12月15日の日経新聞経済教室「ジェンダー格差是正への道筋 上」は、児玉直美・明治学院大学教授の「資本市場の力を生かせ」でした。

・・・日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、職場におけるジェンダー格差が最も大きい国の一つである。労働政策研究・研修機構によると、2020年の女性管理職比率は、米国41%、英国37%、フランス36%、ドイツ28%、デンマーク28%、韓国16%に対し、日本は13%にとどまる。
またOECD統計によると、日本の男女賃金格差は徐々に縮小しているが、21年時点でもフルタイム女性労働者の収入中央値は男性より22%低い。韓国の31%に次ぐ大きさで、デンマーク5%、スウェーデン7%、ドイツ14%、英国14%、米国17%を大きく上回る。
図は筆者が参加する研究グループによる先進15カ国の30~55歳労働者の男女賃金格差を示したものだ。女性の賃金が男性よりどれだけ低いかを示し、マイナス幅が大きいほど男女賃金格差が大きいことを表す・・・
として、2つの図が載っています。図を見てもらうと、日本の男女差が突出していることが一目瞭然です。

・・・左図の横軸は年齢、教育年数、フルタイム・パートタイムを統制した上での男女の年収格差だ。日本の女性労働者の年収は男性より35%低い。基本属性を統制した後でも、男女賃金格差は韓国に次いで大きい。縦軸は基本属性に加え事業所固定効果を統制した後の同一職場内の男女賃金格差だ。日本の同一職場内の女性の年収は男性を33%下回り、突出して低い。国全体としての男女格差が大きいだけでなく、職場内の格差も大きいことを意味する。

右図は時間当たり賃金の男女格差だ。多くの国で女性は男性より労働時間が短いため、時間当たり賃金でみると男女賃金格差は縮小する。だが日本は基本属性を統制した時間当たり賃金でも、女性労働者の賃金は男性より32%ほど低く(横軸)、同一職場内の時間当たりの女性賃金も男性より30%低い(縦軸)。スウェーデン、オランダ、ノルウェーの女性労働者の時給は同一事業所内の男性より8%低い程度にとどまる・・・

給食の役割

2022年12月24日   岡本全勝

12月14日の朝日新聞「給食の役割は、費用は誰が」、藤原辰史・京都大准教授「公が担う「家族の枠組み出たケアの場」」から。

――無償化に対して「みんなが無関心になって質が下がる」「給食費を払うことで当事者意識が芽生える」などという声もあるようです。
「確かに一理ありますが、税金そのものだって私たちが払っているのですから、給食費を支払うのと同じことですよね。だからその税金を使って、子どもたちにおいしい給食を食べさせてほしい。学校給食法を、子どもの貧困が深刻化した今の時代に沿った形にしていくべきです」

――今に沿った形とは?
「例えば、朝や夏休みの給食の導入を進めてほしい。おにぎりとみそ汁だけでもいいんです。いろいろな事情で、朝ごはんを家で食べてこない子もいます。夏休み明けにガリガリに痩せて登校してくる子もいます。しかし、せめて学校でおなかいっぱい、1食でも食事をすることができれば『地獄の夏休み』を何とかクリアできる。地域の人と食べたり、子ども食堂とつなげたりしてもいいですよね」
「給食に期待される機能も増えています。バランスの良い食事をとる、人と食べる、家庭以外の味を知る……。給食は、子どもをケアするのは家族だけではない、自治体や国や調理師などいろいろな人と協力して一緒に育てようというプロジェクトなんです」

――給食には多様な役割があるのですね。
「もちろん、無償化は進めるべきだと思いますよ。でも、給食を舞台に、子どもの福祉や教育も一緒に整えることが大切なんです。誰からも見守ってもらえているという意識を感じるために給食が必要であるならば、夜も、子どもと保護者が一緒に食卓を囲めるようになればもっと効果があらわれます。そうすると、労働のあり方も見直さなければなりません」

発達障害の子8.8%、

2022年12月23日   岡本全勝

文部科学省の調査で小中学校の児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があることが分かりました。

12月14日の朝日新聞「「発達障害」の子8.8%、4割は支援受けず」から。
・・・全国の公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の8・8%に、発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査でわかった。35人学級であれば1クラスあたり3人程度いることになる。このうち4割強は、授業中に丁寧な指導を受けられるようにする配慮・支援を受けていなかった。識者は、専門知識がある教員による個々の児童生徒の特性に応じた支援態勢の強化が必要だと指摘する。

調査は10年ごとに行われ今回は今年1〜2月に実施。全国の公立小中高校の児童生徒から約8万9千人を抽出し、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、高機能自閉症に関する質問が当てはまるかを担任教員らが回答。回答率は84・6%だった。この調査では、医師による発達障害の診断は行われていない。
調査結果によると、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた、発達障害の可能性がある小中学生の割合は8・8%(男子12・1%、女子5・4%)だった。今回と前回の調査は一部の質問内容が異なるため単純比較できないが、2012年の前回調査時の6・5%より増えた。今回から調査対象になった高校生は2・2%だった・・・

近年、そのような子どもや人が増えたのでしょうか。昔からいたのですが、隠れていた、隠されていたのでしょうか。
いずれにしろ、「優等生を育てる教育」だけではダメで、「ついて行けない子どもや人を支援する教育と社会」をつくる必要があります。連載「公共を創る」での、私の主張です。

物の豊かさより心の豊かさ

2022年12月22日   岡本全勝

12月10日の読売新聞「岐路の資本主義 共感すれば買います ファンが市場動かす」に「モノ消費」から「コト消費」」へ移っていることが書かれています。

・・・経済成長を経てモノが飽和する現代は、生活者の価値観が多様化している。同時に、人々の間に「共感」を抱こうとする姿勢が広がりつつある。他者とのつながりや社会への配慮を意識した行動が、新しい資本主義を考える際のカギになる・・・

内閣府国民生活に関する世論調査が図になって載っています。重視したいのは心の豊かさか物の豊かさかを聞いた調査です。1977年には双方が40%程度と並んでいましたが、その後差が広がり、近年では「物の豊かさ」が30%に対し、「心の豊かさ」が62%です。
もっとも、現実生活でそのような行動が取られているかは、わかりません。格差が広がり低所得で不安定な職業では、心の豊かさを望んでも困難な場合があります。