カテゴリーアーカイブ:社会の見方

チャーチル著『第二次世界大戦1』

2023年8月30日   岡本全勝

ウィンストン・チャーチル著『第二次世界大戦』が、完訳版で出版されます。みすず書房から伏見威蕃さんの訳です。
まず、『第二次世界大戦 1――湧き起こる戦雲』が今年8月に出版され、これから毎年1巻ずつ出るそうです。

チャーチル・元イギリス首相は、この本でノーベル文学賞を受賞しました。本人は、ノーベル平和賞を欲しかったそうですが。首相退任後、関係書類を持ち帰る(独占する)ことを許可され、それを元に執筆したとのことです。
20世紀の一番大きな出来事の、当事者の記録です。それだけの価値があります。

私は、河出書房文庫の縮約版で読みました。英語版もいつか読もうと買ってあるのですが・・。今回出版された第1巻だけでも、900ページ近くの分厚いものです。

人類の成長と格差の理由

2023年8月29日   岡本全勝

オデッド・ガロー著『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』(2022年、NHK出版)を、これまたかなり前に読み終えました。

出版社の宣伝には、次のようにあります。
「30万年近く前にホモ・サピエンスが誕生して以来、人類史の大半で人間の生活水準は生きていくのがぎりぎりだった。それが19世紀以降に突如、平均寿命は2倍以上に延び、1人当たりの所得は地球全体で14倍に急上昇したのはなぜか?
この劇的な経済成長の鍵は“人的資本の形成"だったことを前半で説く。
それを踏まえて後半では、なぜ経済的な繁栄は世界の一部にとどまり、 今なお国家間に深刻な経済格差があるのかを検討する。制度的・文化的・地理的要因に加え、“社会の多様性"が根源的な要因だったと論じる。人類史を動かす根本要因に着目した〝統一理論〟にもとづいて、究極の謎を解き明かした世界的話題作!」

そこにあるように、前半は「何が成長をもたらしたか」を説明し、後半は「なぜ格差が生じたのか」を説明します。壮大な人類の歴史を遡り、この2つの究極の問に答えようとします。問の立て方が良いですよね。それぞれに筆者の説明には納得するのですが、統一理論といえるかというと・・・。

猛暑、蚊も出てこない

2023年8月29日   岡本全勝

8月17日の日経新聞に「アース製薬、猛暑で動かぬ蚊と株価」が載っていました。

・・・アース製薬の株価がさえない。主力商品である殺虫剤をはじめとする「虫ケア」用品の販売は天候に左右されやすく、春の天候不順の影響で2023年1〜6月期の連結純利益は前年同期比18%減った。株価は年初からほぼ横ばいで値動きが乏しい。巻き返しのカギを握るのは入浴剤などの日用品と海外市場になる。
夏に活発になる蚊は、実は猛暑に弱い。一般に気温25〜30度を好み、35度を超える猛暑では活動が鈍る。暑すぎると蚊と遭遇する機会は少なくなる傾向にあり、対策商品の売れ行きにも悪影響を与えかねない・・・

とはいえ、セミ取りに行く公園の日陰、散歩の途中の神社、朝夕水まきをする庭先には、たくさんの蚊が待ち受けていて、あっという間に刺されます。「新・3秒ルール

生涯子供なし推計女性4割、男性5割

2023年8月25日   岡本全勝

8月9日の日経新聞に「生涯子供なし現18歳女性で最大42% 欧米の2倍水準 男性は5割も」が載っていました。

・・・生涯にわたって子供を持たない人が2005年生まれの女性(23年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計されることがわかった。男性はさらに多く5割程度になる可能性がある。先進国でも突出した水準だ。子供を持たない人の増加は少子化による人口減少を招くだけでなく、家族による支え合いを前提とした社会保障制度にも変更を迫る・・・
・・・最新の推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研)がまとめる23年将来人口推計報告書に盛り込まれる見通し。

05年生まれの女性(23年に18歳)の場合、子供を持つ人が最も少ないという仮定(低位仮定)では50歳時点無子率が42%になる。最も多いと仮定(高位仮定)しても24.6%。両者の間の中程度の仮定(中位仮定)は33.4%で、3人に1人は子供を持たない人生を送ることになる。
男性の場合、女性より未婚率が高いことから、およそ1割程度、生涯無子率も高いと見られる。男性では最大5割程度、2人に1人が子供を持たない可能性がある。

欧米の先進国でも子供を持たない人は増えてきた。子供を持つことを最優先せず、自己実現を重視するといった価値観の変化などが背景にあるとされる。
1970年生まれの女性(2023年に53歳)で見ると、日本以外の主な先進国での生涯無子率はそれぞれ1〜2割程度だが、日本は27%とすでに突出して高い。欧米が現状のまま推移すれば、今後、日本の無子率はその2倍以上になる可能性がある。
英米やドイツでは近年、生涯無子率上昇の勢いが収まりつつある。仕事と子育てが両立しやすい環境が整い、「少なくとも1人」は子供を持てるようになってきているとの見方もある・・・

外国人労働者の虐待

2023年8月24日   岡本全勝

日経新聞夕刊連載「人間再見」、8月7日からは、外国人支援NPO代表の鳥井一平さんの「彼ら彼女らも日本で働く同僚です」でした。

・・・日本の在留外国人は2022年末に307万人と30年前の2.4倍に増えた。NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平・共同代表理事(69)は30年以上にわたり、労災や賃金不払いなどのトラブルに遭った外国人労働者を支援してきた・・・

記事には、日本企業が外国人労働者を虐待する事例が載っています。次のような記述も。
・・・91年に千葉県野田市で業務中に大けがをしたバングラデシュ人の青年から、会社が労災申請してくれないという相談がありました。主治医に状況を聞こうと訪れた病院で驚きました。包帯をした外国人が待合室にたくさんいるんです。大変なことが起きていると実感しました。
当時、中小零細企業で働く人は「弁当とケガは自分持ち」と自嘲するくらい、労働災害に遭っても泣き寝入りする状態でした・・・

・・・90年代に観光ビザで来日し成田空港に降り立った人々は、付近の町工場のドアをコンコンたたいて「仕事はありませんか」と尋ねて回ったのです。本来は就労できない資格なのに企業が雇うのは、彼ら彼女らなしではこなしきれないほど仕事があったからです。
路上で警察官の職務質問を受けてオーバーステイだと判明しても、工場の社長が交番まで走っていって「連れていかれると工場が止まってしまう」と訴えれば放免される。おおらかな時代でした。

93年には約30万人のオーバーステイ労働者がいました。入管当局が「本気」で取り締まれば、これほどの規模になることはありえません。日本経済を支えるため政府が「不法就労」を実質的に容認していたのが実態なのです。
23年6月に出入国管理法が改定され、非正規滞在者の強制送還が強化されました。私たちはずっと反対してきました。「不法滞在者」を送還して何が悪いんだと考える人もいるかもしれませんが、かつて政府はオーバーステイを黙認し、彼ら彼女らが日本経済を支えてきた面があるんです。そうした経緯を踏まえた議論が必要です・・・