カテゴリーアーカイブ:社会の見方

知らないことを知る

2024年1月2日   岡本全勝

知るは楽しみであり、力をつけることでもあります。知らないことを知るには、二つのものがあります。

一つは、これまで見たことがないものを見る、知らなかった事実を知ることです。初めての場所に行く、学校で習う、本を読んで学ぶなどなど、これはわかりやすいでしょう。
もう一つの知るは、すでに知っていることについて、別の見方を知ることです。専門家の解説や、違った意見を持つ人の話を聞くと、これまで自分が考えていたこととは違った見方があることを知ります。

新聞などは、ニュースで知らないことを伝えてくれますが、それら多くは1日後には忘れるようなことです。それより重要な機能は、後者の解説です。いろいろな出来事も、背景や隠された意図を説明されるとよくわかります。また、情報操作に操られそうな場合に、立ち止まることができます。
「なるほど、そう見るのか」と唸らせる解説記事が、ありがたいです。

経済学者の権威

2023年12月30日   岡本全勝

12月14日の日経新聞夕刊1面コラムは、根井雅弘・京都大学教授の「松の廊下」でした。

・・・「松の廊下」といっても、浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつけた江戸城のことではない。京都大学法経本館をエレベーターで3階まで上がると、そこに昔「松の廊下」と呼ばれた空間が広がっている。帝国大学時代、この3階には威厳のある教授たちの研究室が並んでいたのだろう。
もちろん、当時この目で見たわけではないが、私の大学院時代も、なんとなくその雰囲気は残っていた。というのは、「松の廊下」には、経済学部教授の伊東光晴研究室(ケインズ研究の権威)、菱山泉研究室(スラッファ研究の権威)、平田清明研究室(マルクス研究の権威)が並んでいたからである。学界の権威者ばかりである。壮観というほかない・・・

う~ん。経済学の権威は経済の様々な分野、例えば金融、産業、労働、物価、マクロ経済、ミクロ経済などの権威だと思うのですが。ここにあげられている方々は、ヨーロッパの経済学者についての権威なのですね。日本の学問が、欧米の輸入だったことを象徴しているようです。

タクシー免許試験、20言語対応

2023年12月26日   岡本全勝

12月12日の日経新聞に「タクシー試験 20言語対応」が載っていました。
・・・タクシーやバスの運転手に必要な第2種運転免許の試験が外国語で受けられるようになる。現行は日本語のみだが外国人にとってハードルが高い。警察庁は例題を20言語に翻訳し、各地の警察が実施する試験で多言語対応できるようにする。旅客輸送の分野で外国人材の確保につなげる狙いがある。
人手不足の業種で働く在留資格「特定技能」はタクシーやバスのドライバーを対象としていない。国土交通省が2023年度中にも自動車運送業を加える方向で関係省庁と協議している。試験の多言語化と合わせて実現すれば外国人の就労環境が整う・・・

12月25日の朝日新聞1面には「2種免許試験、20外国語OK 各警察判断で問題作成 タクシー・バス運転手不足対策 警察庁方針」が載っていました。そこには、20言語が列記されています。
<欧米> 英語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、ウクライナ語
<アジア> 中国語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、インドネシア語、ネパール語、クメール語、ミャンマー語、モンゴル語、韓国語、ウルドゥー語、シンハラ語、ヒンディー語
<中東> ペルシャ語、アラビア語

かつて北欧を旅行したとき、タクシーの運転手が中東から来た人たちでした。「そうか、外国人が就きやすい職種だ」と思ったことがあります。カーナビ、スマートフォンが広まった現在では、より就業しやすいでしょう。
また、外国語と言えば英語を思い浮かべることが多いですが、この20カ国語を見ると世界は多様だと気づきます。日本も国際化が進みますね。その過程では、さまざまな戸惑いや軋轢が生じるでしょう。

現実の経済を理解しているのは誰か

2023年12月24日   岡本全勝

12月7日の日経新聞オピニオン欄、ポール・コリアー英オックスフォード大教授「マスク氏と習氏、危うい集権」に、次のような文章が載っています。

・・・私たちの世界は不確実性に満ちている。
経済の統治をめぐり、1970年までを振り返ると「政府こそがものごとを一番理解している」という官僚たちの過剰な自信の時代があった。それが徐々に「市場が一番理解している」という考え方に変わっていった。そして「最高経営責任者(CEO)が一番理解している」という話になった。
政府も市場も経営者も万能ではない。いまは多くの大きな問題について答えが分からないということを受け入れる必要がある・・・

リスクをとらない日本の経営者

2023年12月22日   岡本全勝

12月6日の日経委新聞経済教室は、岡田正大・慶応義塾大学教授 一條和生・IMD教授の「平成日本企業の失敗 変革導く経営人材、育成急務」でした。
「日本企業と経営者の消極性(リスク回避性向の強さ)が、世界市場における成長機会を看過するという機会損失を生みだした。その解決には、根本的な経営人材の強化・育成が必須だ。」

世界主要27カ国の調査では、日本企業のリスクテイク度は26位、収益性は最下位です。
リスク回避性向の強さは、次のような現象を引き起こしています。
・攻撃的設備投資ができない
・途上国や新興国市場に慎重な戦略しか打てない
・革新的ビジネスへの脱皮ができない、など

それは、企業価値を生み出す能力の低い経営人材が多いからと思われます。スイスのビジネススクールの調査では、シニアマネージャー(上級管理職でしょうか)の国際経験で、日本は64か国中最下位です。多く著名経営者を輩出してきたアメリカのトップ大学で経営学修士号を取得する日本人留学生が、この10年でほぼ半減しています。