カテゴリーアーカイブ:社会の見方

国立公文書館特別展「夢みる光源氏」

2024年4月22日   岡本全勝

国立公文書館で特別展「夢みる光源氏―公文書館で平安文学ナナメ読み!」が開かれています。5月12日まで。

公文書館の展示は、動物園とか博物館と違い、書物なので派手さはありません。その分野に興味のある方でないと、つまらないかもしれません。関心のある方には、面白いでしょうね。
1000年前に書かれた小説、しかも王侯や僧侶でなく女性が書いたものが、後の世に伝わったのです。書庫の奥深く眠っていたのではなく、最初は上流階級に、後には庶民にまで読まれます。手で写していたものから、木版印刷、挿絵入りになります。それを江戸幕府が収集し、明治になると内務省が集めます。これも、不思議ですが。

今回の展示は、「夢」を切り口にしています。昔の人は、夢を大切にした、畏れたのですね。夢に出てきた女性が物の怪になり、憑りついて殺すのです。
源氏物語を通読した人は少ないでしょう。「早わかり、源氏物語」のような解説展示もあります。素人向けには、もっと説明があってもよいですね。外国人向けの解説もあると、喜ばれるでしょう。
近くの皇居東御苑の「三の丸尚蔵館」と一緒に、お訪ねください。東京の真ん中で便利です。しかも無料です。

米フロリダ州、14歳未満のSNSアカウント取得を禁止

2024年4月21日   岡本全勝

3月27日の日経新聞夕刊に「米フロリダ州、14歳未満のSNSアカウント取得を禁止」が載っていました。

・・・米南部フロリダ州で26日までに、14歳未満の子供にSNSのアカウント取得を禁じる法案が成立した。14〜15歳の利用には保護者の同意を求める。SNS上の有害なコンテンツなどが子供の心の健康を損なうとの懸念が強まり、米国で規制の動きが広がっている。

同州のデサンティス知事が25日、法案に署名した。2025年1月に施行する。画像などのコンテンツを絶え間なく表示する、動画を自動再生するといった機能を備えるSNSが対象となる。特定のSNSの名指しは避けた。
デサンティス氏は同日の声明で「ソーシャルメディアは様々な形で子供に害をもたらしている。この法案は親に子供を守る大きな力を与えるものだ」と強調した。

州議会は以前に16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決したが、これについては、親の権利を過剰に制限するとしてデサンティス氏は拒否権を発動した経緯がある。
米メタなどが加盟する業界団体のネットチョイスは同州の法案成立を受け、あらゆるSNS利用者が年齢確認を求められる事態を招くとして「州民のプライバシーを危険にさらす」と反発した。

米国では犯罪者が若者をだまして性的な画像を送らせる事案などが報告され、SNS運営会社が子供を守る体制が不十分だとして非難が強まっている。1月末には連邦議会上院がメタや中国発の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」運営会社のトップを呼ぶ公聴会を開き、各社の責任を追及した。
一方で、SNSの管理強化は検閲ともとられかねず、連邦レベルで子供のSNS利用を規制する法整備は難航する。州ごとの動きが先行しており、西部ユタ州や南部アーカンソー州でも18歳未満のSNS利用を制限する法案が成立した・・・

透明な醤油

2024年4月20日   岡本全勝

4月12日の日経新聞に「透明しょうゆは不適切?」が載っていました。

・・・このコラムで以前、片手で食べられる棒状の「豆腐バー」を紹介した。
豆腐メーカーのアサヒコ(東京・新宿)に中途入社したばかりの社員が米国の小売店を視察。すると日本より硬い食感の豆腐が、肉類など他のたんぱく質の食品と一緒に並んでいた。日本でも硬い豆腐を売りたいと意気込んだが「豆腐は柔らかいもの」との固定観念から周りに反対される。
しかし社内を説得し、チキンバーのような硬い豆腐バーを開発した。これがセブンーイレブン・ジャパンなどで飛ぶように売れて、この転職社員は後に社長まで上り詰めた・・・

次に、透明醤油が紹介されています。熊本市の醤油会社フンドーダイが作っています。保育園では、子どもはこぼすし、醤油で汚れた服は洗っても取れにくいので需要があります。さらに海外の料理人が料理の隠し味として使いやすいと歓迎しています。

そんなのが、あるのですね。知りませんでした。「むらさき」という醤油の隠語は、この商品だとどう呼ぶのでしょうか。

日本企業と韓国企業の勢いの違い

2024年4月19日   岡本全勝

4月16日の朝日新聞「「石」に魅せられて6」「もう一度日本で、最後のチャンス」から。

・・・2008年11月、東芝の子会社で役員をしていた宮本順一(74)に一本の電話がかかってきた。「外資系の会社が、宮本さんに興味を持っています」
宮本は、東芝が1987年に世界で初めて発明した「NAND型フラッシュメモリー」に携わってきた技術者だ。
電話口の相手は、自分は本当はヘッドハンターだ、と明かした。社内で話すのはまずいと思い、メールを送ってもらうよう頼んで電話を切った。退職後の職を探していた時だったので、ひとまず会うことにした。後日、待ち合わせの場所に行くと、やってきたのは長年のライバル、韓国サムスン電子の社員だった・・・

・・・退職して1カ月後の2009年9月、フラッシュ開発室の顧問として入社した。
そこから2年4カ月、「サムスン流」を目の当たりにした。
「ダイナミック、アグレッシブ、フレキシブル(大胆、積極的、柔軟)」サムスンを表現する言葉として、宮本はこの三つを挙げる。
サムスンには、李健熙(イゴンヒ)会長(故人)の「妻と子以外は全て変えろ」という言葉がある。変わることが良いことだと考えられているようだった・・・

長期停滞を長引かせたのは、技術や資金ではありません。日本企業と日本人の姿勢、気構えが大きな原因だったと、私は考えています。

和訳されなかった仏典

2024年4月17日   岡本全勝

仏教は日本で庶民に広まりましたが、仏典は読まれることなく、僧侶が独占しました。インドで生まれた仏教は、中国で漢訳されたのですが、日本語には翻訳されませんでした。「ヲコト点」などによって、訓読することは行われていたようですが。
庶民は、「はんにゃはらみた~」「なんまんだぶ」と、意味が分からないままお経を唱え、僧侶の説法と絵解きなどで教えを理解しました。
漢訳でも意訳しきれず、音を宛てた単語もあります。それと同じで、意味が分からなくても唱えることで、ありがたみがあるとしていたのでしょう。

他方でキリスト教は、ヘブライ語から、ギリシャ語にそしてラテン語に翻訳されました。これも中世ヨーロッパの庶民には理解できず、司祭たちが独占しました。教会のステンドグラスは、文字の読めない庶民に絵解きをするための、画像でした。
それに反抗して、ルターがドイツ語に訳し、ほかの言語にも訳されることで、庶民が読めなくても理解できるようになりました。聖書は、世界で一番多く出版された本といわれています。かつては(今もかな)、ホテルに泊まると部屋に聖書がありました。

また、キリスト教徒が少ない日本でも、旧約聖書や新約聖書の断片は出版物に引用されることで、「汝の敵を愛せよ」など日常語にも「聖書の言葉」として知られています。しかし、仏典の用語は、僧侶以外はほとんど知らないのではないでしょうか。
宗教関係者が自らの地位を確保するためもあって、庶民には分からない書物・書き言葉を独占します。それを続けるのか、庶民にも分かるようにして理解者を広げるのか。「販売戦略」の違いでしょうか。

仏典はどう漢訳されたのか』(2013年、岩波書店)を読んで、このホームページでも紹介したはずなのですが、見つかりません。