カテゴリーアーカイブ:経済

建物の維持管理費

2016年2月24日   岡本全勝

建物を建てると、その後の維持運営費が必要になります。建設を議論する際や、建物ができた際には、建設費が明示され、予算書やパンフレットに載ります。しかし、毎年の運営費は、パンフレットに載るのはまれで、議会でも余り議論になりません。
ビルを建てた場合の運営管理費を、鹿島建設が分析していることを、教えてもらいました。事務所、学校、ホテル、商業施設ごとに分析しています。単純化すると、建設費の4倍から5倍の経費がかかります。これは、50年間の試算のようです。
ただし、これは建物の維持管理費で、電気代とか修繕費です。役所が作る建物は、建物だけで終わりではありません。例えば、図書館だと、本を買い、司書を置きと、人件費やサービスのためのその後の経費が大きいのです。というより、毎年のサービスが主体で、建物は入れ物でしかありません。私の経験では、文化会館など箱物をつくると、年間の電気代などが1億円かかりました。その他に人件費は1人当たり1千万円ですから、10人置くと1億円が加算されます。そして、これは毎年かかります。
いったん建物を建てると、住民も議員さんもその運営費を忘れてしまいます。維持管理費にマイナスシーリングをかけると、電気代とか雨漏りの補修、さらには新刊書の購入費が、毎年1割ずつ削減されます。5年後の状況を想像してください。余り話題にならないので、財政課長も切りやすいのです。
バブル期に大きな箱物を建てた市で、後任の財政課長が「これなら建物を建てずに、飲んでくれた方がよかった」と言ったという笑い話があります。同じ金額を飲み代に使うと、何も残りませんが、維持費もかかりません。場合によって、建物は負の遺産になるのです。もちろん、飲むことは、お薦めではありません。

インターネットの威力

2016年1月19日   岡本全勝

朝日新聞1月19日夕刊、「スゴイのに売れない…おじいちゃんのノートいかが 孫がツイート、注文3万冊」。70歳代の印刷業の方2人が作ったノート。
・・・どこのページを開いても、真ん中がふくらみにくく平らになる。手で押さえなくてもきれいに開き、コピーの時などに真ん中が黒くならないのが特長で、製造方法に関して会社で特許も取った・・・
でも売れずに、在庫の山。お爺ちゃんは、孫娘にノートをまとめて渡し、「これ、学校の友達にあげてくれ」。受け取った孫娘は。「学校じゃノート必要そうな人いないしなー」。で、軽い気持ちでツイート、「うちのおじいちゃんのノート、費用がないから宣伝できない」「欲しい方あげるので言って下さい」。あとは、本文をお読みください。

経済成長戦略

2015年10月25日   岡本全勝

10月24日の朝日新聞オピニオン欄「成長を取り戻すには」で、経済成長に関する国家の関与について、積極派と消極派の2人の主張を載せていました。坂田一郎・東大教授は「国家の関与なくして革新なし」で、小幡績・慶應大学准教授は「経済政策の中身は空がいい」です。
新自由主義的改革が華やかな時代は、政府の市場経済への介入は少ない方が良いという主張が主流でした。しかし、リーマンショック時の世界金融危機への対応、デフレ経済からの脱却、格差の拡大への対応など、政府の介入が求められる場面が出てきています。ここで論じられている経済成長については、TPPのようなルール作りと、新しい成長分野への助成と、2つの方法・場面があると思います。さらには、女性や高齢者が働きやすい環境を作るといった、労働法制や社会環境作りなどもあります。あなたはどう思われますか。ぜひお読みください。

浅川財務官の活躍

2015年10月15日   岡本全勝

10月15日の日経新聞に、OECD租税委員会議長の浅川雅嗣氏のインタビューが、かっこよい写真付きで載っていました。本人によれば、「実物通り」とのことです。
浅川君は、財務省の財務官(財務省で国際政策を総括する事務次官級のポスト。黒田日銀総裁も経験者)です。麻生内閣で、一緒に総理秘書官を勤めました。現在は、OECDの租税委員会議長も兼務しています。先日ペルーのリマで開かれたG20で、多国籍企業が税金逃れをしないようなルールを定めました。その立役者です。それについては、この記事を読んでいただくとして。日本国内では、あまり認識されていないようです。
財務省の広報誌『ファイナンス』9月号に、「頭を柔らかくすること-グローバリズムとリージョナリズムとの狭間で」を書いています。体験に裏打ちされた、絶対だと思っていた価値観が、あっという間に変化することを紹介しています。このホームページをご覧の方の多くは、国内派でしょうが、このような世界もあるのだということを勉強してもらいたくて、紹介します。
その文中に、2008年秋のリーマン・ショックの際に、麻生総理がIMFに対し最大1000億ドルの融資を行うことを表明した話が、出てきます。この効果は大きかったのです。残念ながら、その意図と効果を理解できる記者さんが少なかったようです。資料は、例えば「G20での麻生総理資料」。なおその頃の資料は、官邸のホームページで見ることができます。

不正経理

2015年8月10日   岡本全勝

『帳簿の世界史』にも、第13章「大恐慌とリーマン・ショックはなぜ防げなかったのか」として、不正経理を防げなかったこと、そしてそれが会社をつぶしただけでなく、世界経済を危機におとしいれたことが、書いてあります。『バランスシートで読みとく世界経済史』の第9章は、「会計専門職の台頭とスキャンダル」です。どうも、会計には、不正がつきもののようです。
エネルギー会社のエンロンは、帳簿の上では超優良企業でしたが、不正経理がばれて倒産します。それだけでなく、経営者は倒産の前に自社株を売り抜いて、大もうけをします。ご関心ある方は、お読みください。犯罪者と警察の追いかけっこと同じと思えばよいのでしょうが、企業会計、会計監査とは何なのか、疑問になります。まじめにやっておられる関係者の方には、申し訳ないのですが。どこに、問題があるのでしょうか。
さて、エンロンの事例では、電力価格を高値で維持するために、電力会社に発電を停止するように要請したり(それで住民はえらい迷惑を被ります)、森林火災が起きると、高圧線の鉄塔が焼け落ちるのを見ながら、職員が「燃えろ」とはやしたてたそうです。企業利益を優先し、モラルに欠ける行動に出るのです。これは、企業会計とは別の次元の問題です。