「社会」カテゴリーアーカイブ

社会

ウケるマンガの男女の違い

5月の日経新聞「私の履歴書」は漫画家の里中満智子さん、18日は「青年誌に挑戦」でした。
・・・少年誌と少女誌には、大きく違うところがあった。
少女誌は、読者の年代別にたくさんの種類があるのに対し、男性は、小学生も30代も、同じ雑誌を楽しむ。
私がよく仕事をした講談社の漫画誌を例にすると「なかよし」は小学生向けだから友情や親子関係、「少女フレンド」では中学生向けに初恋、高校生以上が読む「mimi」では恋の葛藤、など雑誌ごとに漫画を描き分けていた(「少女フレンド」「mimi」は1990年代に休刊)。しかし「少年マガジン」は、ほとんど全世代の男性が手にとっていた時期があった。

少年誌の編集者に、男性の世代別の好みの違いを尋ねたことがある。すると「違いはありません。男子にウケるシーンは全世代で同じです」との答え。「どんなシーン?」「闘って勝つ場面です」
笑ってしまった。常々、男女は平等であるべきだと願っている私だが、この2つの精神構造には、無視できない違いもあるのかもしれない。簡単にいえば、男はいつまでもロマンチスト。女はリアリストで、目の前の現実に関心がある・・・

定住外国人への日本語教育

5月17日の日経新聞教育面に、内海由美子・山形大教授が「地方の日本語教育充実へ 東北3大学連携し教師養成」を書いておられます。

・・・山形県は「外国人散在地域」である。1980年代後半以降、主な外国人は結婚で移住してきたアジア女性だった。同国人コミュニティーもなく、ひとりで日本人の家庭に入り地域社会の一員となっていった。その過程で重要な役割を果たしたのがボランティアの日本語教室だ。日常生活の日本語が学べ、地域の情報が得られ、同じ立場の外国人同士で気兼ねなく話せる居場所であった。
近年、そうした地域事情は大きく変わり、外国人労働者が増えている・・・一方、ボランティアは高齢化が進み、有志に依存する学習支援は限界を迎えている・・・

・・・2019年に施行された日本語教育推進法には日本語教育の機会の最大限の確保と、水準の維持向上に向けた国・自治体・事業主の責務が明記されている。しかし、山形県には日本語学校がなく、日本語教師もその養成をする専門家も少ない・・・

文化庁によると、日本語教室が未開設の市区町村は1133、居住する外国人は50万人を超えるのだそうです(2020年11月)。

世界の頂点で和食を出す

5月13日の日経新聞夕刊に「松山英樹、和のもてなしでも世界魅了」が載っていました。松山選手は、去年「ゴルフの祭典」といわれるアメリカのマスターズ・トーナメントで優勝しました。この記事は彼が今年、歴代優勝者の夕食会の主催者役を務めたことを取り上げたものです。
緊張して、初めて英語で紙を見ないで話をしたことが書かれています。話し終わると、これまた緊張して聞いていた出席者が、立ち上がって拍手をしたそうです。

さてここで紹介するのは、その席で提供された食事が、松山選手が選んだ和食だったことです。寿司、刺身、銀ダラの西京焼き、牛、イチゴのあまおうです。お酒は日本酒です。皆さん、とても喜んでもらえたようです。
うれしいですね。

有償ボランティアへの抵抗

読売新聞連載・時代の証言者、堀田力さん、5月19日はボランティアに取り組んだ初期の頃の思い出です。「堀田力さん、敵は後ろにも

・・・専業主婦を中心にチームを組んで支える動きは芽生えていたものの、「ただで助けてもらうのは気が引ける」という高齢者も少なくありません。そこで少額の謝礼を受け取る「有償ボランティア」活動の普及に取りかかりました。しかし、それほど簡単にことは進みませんでした。
「ボランティアは無償であるべきだ」という強い信念を持つ団体が多くて、私が講演すると「有償はいんちきだ」「新参者が何を言うか」とよく叱られました。また、「ボランティアはしたいが、謝礼は受け取りたくない」という人もいました。そこで謝礼金を団体が一時預かり、将来、その人が助けを受ける時、それを謝礼金として渡す「ふれあい切符」という時間預託型システムを提唱しました・・・

つい最近まで、ボランティア活動は無償だと考える人が多かったのです。非営利活動と無償との区別がつきませんでした。私も、そうでした。

低学歴国日本

5月2日の日経新聞1面に教育岩盤 揺らぐ人材立国①」「「低学歴国」ニッポン 博士減 研究衰退30年」が大きく取り上げられていました。
・・・教育で人を育て国を立てる。日本の近代化と経済成長を支えた「人材立国」のモデルが揺らいでいる。成長に必要な人材の資質が変わったのに、改革を怠るうちに世界との差は開いた。教育の機能不全を招いた岩盤に迫る・・・

・・・大学教育が普及し、教育水準が高い―。そんなニッポン像は幻想で、先進国の中では「低学歴国」となりつつある。
文部科学省科学技術・学術政策研究所によると、日本は人口100万人当たりの博士号取得者数で米英独韓4カ国を大きく下回る。減少は中国も加えた6カ国中、日本だけだ・・・
・・・根っこには大学院への評価の低さがある。どの大学に合格したかが企業の採用基準になる社会では、学びは学部に入った時点で終わり。研究を志す学生だけが集う大学院の魅力が高まるはずはなかった・・・
・・・最大の課題は岩盤を砕くドリルが見えないことだ。文科省は義務教育の管理官庁の性格が強く、高等教育政策の司令塔としての存在感は薄い。多くの企業も院卒採用のノウハウがなく大胆な一歩を踏み出せずにいる。産学官が連携してビジョンを描き、実行することなしに危機は脱せない・・・