カテゴリー別アーカイブ: 社会

社会

国際成人力調査、24歳で頭打ち

国際成人力調査、日本は一流」の続きです。喜んでばかりいられない分析もあります。12月11日の日経新聞「日本人の知力、24歳で頭打ち 「学べぬ大人」手薄な支援

・・・数的思考力の平均点を年齢層別でみると、若年層の16〜24歳(298.7点)が最も高かった。文科省担当者は「大学への進学率が上がり、より高度な学びに触れる機会が増えたことが背景にある」と話す。一方で25歳以降は低下の一途をたどった。

OECD平均は25〜34歳の層(272.7点)が最高点で、上位に名を連ねる北欧諸国もピークが日本より遅い。1位のフィンランド、3位のスウェーデンは35〜44歳の平均点が最も高く、同じく3位のノルウェーは25〜34歳がピークだった。
北欧諸国では、大学でのリスキリングへの経済的な支援が手厚く、学び直したい社会人向けに職務経験を評価する入試を行うといった取り組みも進んでおり、再教育を受ける人が多い。
21年発表のOECDの報告書によると、25〜65歳の仕事に関する再教育の参加率がフィンランド(56%)やスウェーデン(同)、ノルウェー(58%)では50%を上回った。OECD諸国の中でトップ層で、労働生産性も高かった。
リスキリングの先進地と呼ばれるスウェーデンは1974年に「教育休暇法」を制定。修学のために休暇を取得した場合、休暇前と同等の労働条件、賃金で復職することを保障する・・・

・・・一方、日本は出遅れが目立つ。再教育の参加率は北欧諸国を約20ポイント下回る37%で、OECD平均より3ポイント少ない。生産性は北欧諸国の半分程度で、37カ国中21位にとどまる。
企業の投資も見劣りする。厚生労働省が18年に公表した資料によると、日本の職場内訓練(OJT)を除く能力開発費は国内総生産(GDP)比で0.1%にとどまる。米国の2.08%、フランスの1.78%、ドイツの1.20%に大きく水をあけられている。
日本能率協会が23年1〜2月に約600社を対象に実施した調査では、リスキリングを「経営課題」と位置づける企業は76%に上ったが、「取り組みを始めている」という社は16%と低水準だ・・・

国際成人力調査、日本は一流

2024年12月11日の各紙が、「国際成人力調査」の結果を報道していました(遅くなってすみません)。朝日新聞「「成人力」日本トップ水準、だけど 思考・解決力、OECD調査

・・・経済協力開発機構(OECD)が10日、成人の社会生活スキルをはかる「国際成人力調査」(PIAAC〈ピアック〉)の結果を公表した。日本は全3分野で1~2位。3分野中2分野で1位だった前回に引き続き、世界トップ水準を維持した。
PIAACは2011~12年に初めて行われ、今回が2回目。22~23年に31カ国・地域の約16万人が参加し、日本は無作為抽出された5165人が、タブレット端末で解答した。3分野は、(1)読解力(2)数的思考力(3)状況の変化に応じた問題解決能力。

日本の分野別の平均得点(500点満点)は、「読解力」が289点(OECD平均260点)で2位、「数的思考力」が291点(同263点)で2位、「問題解決能力」は276点(同251点)でフィンランドと並んで1位だった。フィンランドは全3分野で1位だった。
OECDの分析では、参加国・地域の大半で10年前より「読解力」が横ばいか低下していた。日本も約10人に1人が基礎的読解力が足りていないと指摘。また日本を含む多くの国で、10年前より、親の学歴に比例して読解力の差が広がっているとした。

OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は、日本について「高学歴の労働者でも『職場で必要とされる具体的なスキルが足りない』と考える人が多い」と指摘。リスキリング(学び直し)の必要性を主張した・・・
この項続く

コロナ死者、5年間で国内13万人

1月15日の読売新聞が「コロナ死者 国内13万人 初確認5年 高齢者が96%」を伝えていました。

・・・新型コロナウイルスの感染者が2020年1月に国内で初めて確認されてから15日で5年となる。昨年8月までの死者数は累計で13万人に上り、このうち65歳以上の高齢者が96%を占める。高齢者が重症化しやすい状況は変わっておらず、引き続き感染対策が求められる・・・

尾身茂・元対策分科会長の発言も載っています。
・・・政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂・結核予防会理事長が読売新聞のインタビューに応じ、日本の新型コロナ対応について「政府の検証が十分とは言えない」と述べ、徹底的な検証を求めた。

政府は、コロナ禍の反省を踏まえ、感染症対応の司令塔となる内閣感染症危機管理統括庁を2023年9月に設置し、24年7月には次の感染症危機に備えるための行動計画を改定した。
尾身氏はこうした動きを評価しつつ、「医療逼迫が起きた理由は何か。医療体制を根本的に見直す必要があるのかなど、本質的な問題をもっと深く分析する必要がある」と述べた・・・

長時間労働、女性正社員に壁

12月22日の朝日新聞1面は「長時間労働、女性正社員に壁 「育児と両立困難、非正規に」 67職種調査」でした。

・・・男性の労働時間が長い職種ほど、正社員として働く女性の割合が少ない傾向にあることが、朝日新聞の分析でわかった。結果からは、長時間労働を前提とした正社員の働き方が、子育て世代や女性の負担になっていることが浮かび上がる。

朝日新聞は、慶応大学の山本勲教授(労働経済学)の監修のもと、総務省の就業構造基本調査(2022年)で集計された計67の職種別に、男性正社員の週平均の労働時間と、女性正社員割合の関係を調べた。働き方の変動要因がより小さいとみられる男性の労働時間でみた。
その結果、男性正社員の労働時間が長い職種ほど、女性正社員の割合は低い傾向があった。

就業者が最も多い「一般事務職」は、労働時間が約45時間で女性割合は48・8%と高い。一方、労働時間が約46時間の「営業職」は女性割合が19・6%だ。
山本教授は「男性が長く働いていない方に女性が多くなる傾向が出ている」と説明する。
ソーシャルワーカーなどの「社会福祉専門職」や「介護サービス職」は約43時間、「会計事務職」は約44時間で、女性割合が6割を超えた。
労働時間が約50時間の「医師」は女性割合が24・9%で、約53時間と最も長いトラックドライバーなどの「自動車運転従事者」は、女性割合が2・8%とほかの職種に比べて著しく低かった。

総務省の労働力調査(2023年)によると、女性(15~64歳)の就業率は73・3%で、国際的にも高かった。ただ、非正規雇用者の割合は男性が17・3%なのに対し、女性は50・2%と高い。
また、女性の正社員の割合をみると、20代後半をピークに下がり続ける「L字カーブ」を描くという特徴がある。
一方、世界では長時間労働に依存せず、生産性を上げる働き方が広がっている。日本生産性本部によると、2023年の日本の就業1時間あたりの「労働生産性」は、経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中29位。ドイツの年間労働時間は1343時間と加盟国の中で最も短く、労働生産性は日本よりも7割近く高かった。
山本教授は「長時間労働が当たり前になっている日本では、育児と仕事の両立が難しいために、非正規雇用を選ぶ女性が多い。長時間労働や硬直的な働き方は、女性活躍の最も大きな阻害要因となっている」と指摘する・・・

大学教育、教える教育から育てる教育へ

12月18日の日経新聞大学欄、日色保・経済同友会副代表幹事の「経済界が求める大学教育とは」から。

大学が実学教育を重視するなど、ビジネス界で活躍できる人づくりを進めている。その一方で若手社員の相次ぐ離職など、人材活用が進んでいない面もある。経済界は日本の大学教育に何を求めているのか。日本マクドナルドホールディングス(HD)社長兼最高経営責任者(CEO)で経済同友会副代表幹事を務める日色保氏に聞いた。

――今の大学生をどうみていますか。
「今の学生は昔に比べると、たくさんの情報が外にあることもあり、客観的に自分のことやキャリアについて捉えていると感じる。その一方で、知識に偏りがあり、大学で本来習得するべき深い思考能力を得られていない。そういった能力の開発を企業は大学に期待しているが、大学の教育はやはり『教える教育』であり、『育てる教育』になっていない。そこがやはり一番の問題なのではないか」
「ただ、どういう人材がほしいか、大学側と十分な意思疎通を今までしてこなかったという企業側の反省もある。企業側は特に、人との議論の中で問いを立てて、仮説を検証し、深く学んでいくようなコミュニケーションスキルなどを企業に入る前に身につけてほしいと考えているが、大学側はどういう教育をしたら企業で活躍できるような人材になるか、よくわかっていない状態に陥ってしまっている」

―一部の大学は即戦力の育成との言葉を使っています。
「昨日の即戦力が明日の即戦力になるとは限らない。例えば、プログラミングの知識を持っていて、多少のコードを書けるくらいの人は山ほどいる。変化が激しい中でもフレキシブルに対応できるような学び方や自分のやり方を形成できる。それこそが即戦力なのではないか」