「社会」カテゴリーアーカイブ

社会

看護師の謎の規則

10月20日の朝日新聞夕刊に「看護師の現場、謎ルールだらけ 靴下は白・上着ダメ・水分補給ガマン」が載っていました。

・・・職場にある様々なルール。でも、それが納得できないものだとしたら……。看護師の現場で考えた。そもそも、ルールはどうあるべきなのだろう。
東京都内の大学病院。ある日、看護師の女性(27)は職場で上司に呼び止められた。「その靴下の色って何色ですか? なんで黒なんですか」
「靴下を切らしてしまって……」。連日の勤務に疲れ果て、洗濯もままならなかった。くるぶしまでしかないタイプで、ズボンの裾から、ほんの少し黒みが見えるだけだ。「靴下は白」がこの病院のルール。だが、医師は好きな色の靴下をはいている。「どうして看護師だけ、だめなんでしょうか」

納得できないルールはほかにもあるという。看護服は半袖しかないが、冬の寒い日でも、患者の前ではカーディガンを羽織ることを禁じられている。夜勤の時は「すごくつらい」。
ナースステーションでは水分補給をしない。そんな「暗黙のルール」もある。勤務中はがまんをして、昼休みに休憩室で水を飲む。「水分補給はこまめに、と呼びかける側なのに。理屈に合ってなくておかしいですよね」
この女性は最近、なぜ靴下は白なのか、上司に尋ねてみた。返ってきた答えは「私もわからない。伝統だから」だった・・・

笑ってはいけませんが、これは面白いお話です。「前例通り」には、時に不合理なことがあります。
少し違いますが、半ズボンが決まりだった小学校で、寒いから長ズボンをはいたら、先生に叱られたという話を読みました。「先生は長ズボンなのに」と言って、さらに叱られたそうです。

大学卒業後の進路を考える時期

10月18日の日経新聞夕刊「就活のリアル」、栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長の「卒業後の進路考える時期 日本は海外より遅く」から。

・・・日本では「新卒一括採用」という独自の就業システムが長く続けられてきた。そうした背景から、就職活動を始める時期が「自分の進路を考え始める時期」と重なっている学生も少なくない。では、世界の若者と比べ、進路を決める時期にはどのような特徴があるのだろう。
リクルートワークス研究所が2012年に行った「Global Career Survey」では、日本を含む世界13カ国の20代、30代の大卒者に「大学卒業後の進路を決めた時期」を聞いている。
日本は「大学生の後期」との回答が66%と他国よりも圧倒的に多く、「大学生の前期」は12%。「高校時代」は2.3%だった。一方、米国で「大学生の後期」と回答した人は21%、ドイツでは19.1%で、オーストラリアやインド、マレーシア、インドネシアなど多くの国で2割前後だった。
日本と比べて、「大学生の前期」「高校時代」に卒業後の進路を決定したという割合が多い。米国は32.5%が「大学生の前期」、20.2%が「高校時代」と回答。ドイツでは「高校時代」が33.6%を占めた・・・

・・・では、卒業後の進路について考え始めた時期は、働く意欲にどう影響するのだろうか。
リクルート就職みらい研究所では22年大卒生を対象に「卒業後の進路について具体的に考え始めた時期別の就職活動開始時点での働く意欲」を調査した(就職白書2022)。働く意欲が「十分ある」と答えた学生は、高校生以前に進路を考え始めた学生では36.5%、大学1、2年時に考え始めた学生は30.6%だった。大学3年前期になると23.5%、大学3年後期では16.8%と減少傾向にあり、早い段階から自分の将来を意識して学ぶ学生のほうが、より意欲が高くなることがうかがえる。
世の中にはどんな仕事があり、その仕事についている人はどんな勉強をしてきたのだろう。そう考え、早い段階から仕事についての情報に触れることで、学業と将来のキャリアを結び付けて考えられるようになるのではないか・・・

良い学校に進学することが人生の目標になっていたことが、この問題の背景にあると思います。かつては、良い学校を卒業すれば良い職業に就けるという人生が読めたのですが、高校進学率がほぼ100パーセント、大学進学率が50パーセントになると、良い学校を出ると良い職業に就けるとはならなくなりました。原点に戻って、各々の人生を考え、どのような職業に就きたいのかを考え、それから学校を選ぶ形に変える必要があります。

上野誠著『万葉学者、墓をしまい母を送る』

上野誠著『万葉学者、墓をしまい母を送る』 (2022年、講談社文庫)を紹介します。友人が勧めてくれたので、読みました。

上野誠・奈良大学名誉教授による、親族の死と葬式をめぐる考察です。
・半世紀前の祖父の自宅での死と地域での葬式と、最近の母の病院での死と家族だけの葬式。その民俗学的比較。
・遺体を湯灌する際の怖さ。
・祖父がつくったとても立派なお墓と、それが維持できなくなり墓じまいをすること。その民俗学的、経済学的考察。
・両親の面倒を見ていた兄の死で、実家を離れていた弟が高齢になった母を引き取り、見取り、葬式を出すこと。その体験談。
大家族が核家族になり、自営業が勤め人になり、子どもたちが家を離れます。地方都市での商店・問屋が成り立たなくなり、大きな家やお墓を維持できなくなります。私の体験と一部共通することがあるので、身につまされる思いで読みました。

1960年の明日香村、おばあちゃんが死んだときは、親族と隣近所をあげての葬式でした。座棺(丸い風呂桶のようなもの)に収め、籠に乗せて、葬列をつくって、山の上の墓地まで行きます。土葬です。近所の人が集まって料理をつくり、墓を掘りに行きます。仏壇の前で、おばさんたちが念仏を唱え、大きな数珠を繰ります。その輪の中に座らされた記憶があります。
村でも、その後は火葬になり、葬式は家から出すのではなく、斎場を使うようになりました。このあたりは、上野先生と同じです。

お墓は、山の上の埋め墓とお寺の境内の参り墓の二つありましたが、岡本の墓は近年に、参り墓に集めました。村の地主で名家だったので、お寺の境内の一番良い場所に大きな石の墓があります。私の曾祖母が建てたそうです。
本家の当主(伯父)と跡取り(いとこ)が亡くなり、次男だった私の父が本家の屋敷や墓の管理をし、父の死後は私の弟が管理をしています。長男である私は東京にいて、勤め人なので、まったく役に立ちません。弟夫婦に感謝です。
戒名をもらうのに多額のお金が必要であることについて、上野先生はお寺を維持するために必要だと説明しておられます。その点は納得しますが、大きな家やお墓の維持は、地主制度がなくなり、自営業をやめて勤め人になると、子孫にとって負担は大変になります。

「立派な墓をつくると家は栄える」と言うことについて、上野先生は「家が栄えると立派な墓がつくられる」と読み替えておられます。私の若いときも、見合いの聞き合わせ(相手の家の近所に行って、その家がどのような家かを調査する)の際に、お墓を見るとその家の格が分かると聞いたことがあります。昭和は遠くなりました。

優先座席に座るかどうか

障害者などのための電車の優先座席が適正に使われているかを調べた調査があります。「どうすれば「優先席」を優先利用できるのか~罰則? 社会の目? それとも……」(ウェブ論座、10月10日)
全国6地区で比較調査したところ、札幌での適正利用率が飛び抜けて良く、関東は極めて悪いです。札幌市営地下鉄は「専用席」だそうです。

私が利用する地下鉄丸ノ内線でも、元気そうな若者が優先座席に座って、スマートフォンに熱中しているのを見かけます。外見だけでは判断できませんが。テニスの用具を持って、これから練習に行くと見える人が座っているのを見ると、「なんやこの人?」と思います。
私は「あなた元気そうなのに、優先席に座っていますね。あそこの高齢者や子ども連れに譲ってあげませんか」とは、よう言わないので、黙って見ています。根性無しです。
私にできるのは、まずは優先席に座らないこと。普通の座席に座っていて、そのような人が乗ってきたら、座席を譲ることです。

今日も、二人連れの高齢者が乗ってきて、私の隣が一つ空いていたので、二人で座ることができるように座席を譲りました。「すみませんねえ」とおっしゃるので、「いえ、私の方が若いですわ」と笑いました。小さな満足です。

自転車の取り締まり強化

警視庁が、自転車の交通違反の取り締まりを強化するとのことです(10月14日のNHKニュース)。
・・・自転車の悪質な交通違反について警視庁は、これまで「警告」にとどめていた違反にも刑事罰の対象となる交通切符、いわゆる「赤切符」を交付して検挙する方針を固めました。信号無視など自転車の交通違反による事故が相次いでいることを受けたもので今月下旬にも取り締まりの強化に乗り出すことにしています・・・
・・・具体的には、
▽信号無視
▽一時不停止
▽右側通行
▽徐行せずに歩道を通行の
4項目のうち悪質な違反については、これまで「警告」にとどめていたケースでも今後は交通切符を交付して検挙するということです。
交通切符を交付されると検察庁に送られて刑事罰の対象として扱われるうえ、一定の期間内に繰り返し検挙された場合は、講習の受講が義務づけられています・・・

信号無視した自転車が危険なことは、最近このホームページに書いたばかりです「魔の交差点?」。数日前にも、冷やっとすることがありました。「危ない」と叫んでも、自転車は通り過ぎたあとです。
新高円寺駅前交差点での取り締まりも、よろしくお願いします。