10月20日の日経新聞夕刊に「日本語教師が足りない 外国人留学生「6割増目標」に影」が載っていました。世界から日本に来てもらうためには、日本語教室は必須です。これまで、もっぱら欧米に行って文化を「輸入」をしてきて、外国から来てもらう文化の「輸出」には取り組んでこなかったからでしょう。
・・・新型コロナウイルス禍が収束し各所で人手が足りない状況が目立ってきた。外国人が日本語を学ぶ場に関しては教師不足が深刻さを増す。岸田文雄政権が掲げる「共生社会」の実現に向けて足かせとなる可能性がある・・・
・・・留学生らが日本語を学べる場は「日本語教育機関」と呼ばれる。文化庁によると、各地の大学やインターカルトのような日本語学校、地方自治体が独自に設けている教室などを含めて合計すれば全国に2700カ所超ある。
日本語を学ぶ人の数は直近2022年度の時点で21万9千人だった。あくまでコロナ禍からの回復途上の数字だ。19年度実績でみると27万人超いた。
教える人は慢性的に足りないといわれてきた。日本語教師の数はこの10年で3割増の4.4万人ほどに増えてきてはいる。
それでも生徒の数に比べれば伸び率は小さい。日本語学校や大学が東京や大阪など大都市部に集中しているため、地域間の偏りがあることが分かってきた・・・
・・・政府は教師の数や待遇を直接テコ入れするよりも「教育の質」を担保する施策に比重を置いてきた。
日本語教育機関認定法が5月に成立した。日本語教師を民間の資格から国家資格に格上げする方針を柱に据え「登録日本語教員」という資格の新設に動いた。
新たな制度は24年4月に始まる。基礎・応用の筆記試験の合格と実践研修(教育実習)の修了が付与の要件になる。国がお墨付きを与えた人と機関のみが原則教えることができる仕組みに変えた。
日本語教育の水準のばらつきを改善し、統一の基準を設けて質を底上げする。法整備の狙いに異論は少ない。
それでも現場からは人手不足を和らげる効果は見込みにくいとの声があがる。資格取得の負担の重さなどから現役教師の離職を招く懸念は残ったままだ。職種のハードルが上がったとの受け止めが広がり、なり手不足に拍車がかかる恐れもある。量と質の両面の模索はまだ続く・・・