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社会

京都市の外国人観光客数、50万人から800万人へ

3月18日の朝日新聞夕刊「現場へ!世界遺産の人々1」「京都登録30年、静かな節目」から。

「古都京都の文化財」が世界遺産に登録されて、今年で30周年を迎えます。その課題を追った記事ですが、ここでは、急速な外国からの観光客を取り上げます。
記事によると「統計方法の変更で単純比較はできないが、登録時に年間50万人ほどだった京都市の外国人観光客数は、今や800万人」とのこと。

外国人観光客が増えたなあと感じていましたが、こんなに増えていたとは。京都市民は140万人余り。路線バスはいつも混雑し、迷惑に感じている人も多いようです。
詳しくは記事をお読みください。
世界的観光地になったことはうれしいことですが、住民との共存を考えないといけませんね。

「憧れの東京」に異変?

3月12日の読売新聞解説欄に「「憧れの東京」に異変?」が載っていました

・・・そろそろ桜の便りが届く季節だ。新生活を始める若者の中には進学のため期待と不安を胸に上京する人もいるだろう。かつては地方から東京に行き、立身出世や自己実現を図るというのがロールモデルの一つとなっていたが、近年は首都圏の大学に通う地方出身者の割合が減っている。上京への憧れは薄れつつあるのか・・・

夏目漱石の「三四郎」は、約百年前に九州から東京帝国大学へ、小生は約50年前に奈良の明日香村から東大へ。東京に向かいました。50年前は現在と比べ、奈良から東京は遠く、また大学も「遠いところ」にありました。百年前は、なおさらです。

記事では、文部科学省の統計で、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)にある大学の新入生のうち、首都圏以外の高校出身者は1973年度に50.3%を占めたが、2023年度は32.6%まで減ったとのことです。
生活費が高額になったことを、理由の一つに挙げています。

そのほかに、地方にも大学がたくさんできたこと、かつては大学進学は一部の人に限られていたこと、そして日本の人口の東京集中もあるでしょう。人口の3割が東京圏ですから、地方出身者が減ります。

大企業の2割が博士採用なし 

2月17日の日経新聞に「大企業の2割「博士採用ゼロ」 経団連調査、競争力低下も」が載っていました。

・・・日本企業で博士人材の活用が進んでいない。経団連が16日発表した調査によると、2022年度に博士課程修了者の採用数がゼロだった企業が23.7%に上った。能力に見合った仕事や待遇に向けた環境整備が遅れている。欧米に比べ高度人材の不足が目立ち、競争力が劣後する恐れがある・・・
・・・文部科学省などの調査では、博士号の取得者数を米国や中国など主要7カ国で比べると、人口100万人あたりで日本は20年度に123人だった。ドイツ(315人)や英国(313人)の4割にとどまる。
企業の博士号保持者は日本が2万5386人(22年)で米国は20万1750人(21年)と大きな開きがある。
米国では巨大IT(情報技術)企業群「GAFA」が博士人材を大量採用し、新技術を生み出している。アサヒグループホールディングスの小路明善会長は「博士人材は環境変化の激しい時代に新規事業の開発などで活躍できる。日本の産業強化に不可欠だ」と話す・・・

これまでの日本の労働慣行、特に事務系では、新卒を一括採用し、さまざまな部署を経験させて育てていくことが基本でしたから、大学院卒を採用する利点がありませんでした。
大学に教えに行っていたときに、公務員志望の学生から「大学院に行った方が良いでしょうか」と相談を受けることがありました。「悪くはないけど、特に勉強したいことがないなら、大卒で公務員になって、それから自分の分野を深めたらどうですか」と答えていました。
大学院卒を採用して、どのような仕事でその能力を発揮してもらうかをはっきりしないと、この状況は変わらないでしょう。

幼少からの英語熱、異常な状態

2月22日の朝日新聞「早期教育へのギモン3」「幼少からの英語熱「異常な状態」 認知科学者・大津由紀雄さんに聞く」から。

グローバル化に日本経済の衰退。子どもの将来を思って「英語を身につけさせたい」と考える保護者は多いです。英語の早期教育の広がりに、言語の認知科学が専門の大津由紀雄・慶応大名誉教授は「異常な状態」と警鐘を鳴らします。

――英語を使って未就学児の保育を行うプリスクールに子どもを通わせる親も増えています。
母語がまだ確立されておらず、自分で母語をコントロールできない子どもに、大人が英語だけの環境を人為的に与えるのはどう考えてもおかしな話です。(英語教育の過熱ぶりは)率直に言って、異常な状態だと思っています。
「子どものために」といいますが、親の傲慢ではないですか。人為的に英語環境に置くことが子どもにとっていいことなのか、親は冷静に考えるべきです。子どもの心の発達にとって重要な時期を、英語でかき乱されてしまうのは子どもも親もかわいそうです。

――外国語を本格的に学び始めるのは、母語をコントロールできるようになってからでも遅くはないということですか。
決して遅くはありません。極端な話ですが、ただただ英語を話せるようになってほしいという親には「一刻も早く英語圏に移住してください」と助言します。子育て中の親で「英語を話せればそれでいい」と考える人はいないと思いますが。
小学校では、日本語で書かれた本を通じ、言葉の仕組みや働きを理解することが重要です。言語学習の基礎ができたら、今度は外国語の文法の仕組みや働きを学ぶ。外国語を本格的に学び始めるのは、中学校からでも遅くはありません。

高校生、まじめ化進み安定志向に

2月20日の日経新聞教育欄に、尾嶋史章・同志社大学教授の「高校生像、40年間の変化 「まじめ化」進み安定志向に」が載っていました。詳しくは記事を読んでいただくとして。
真面目になっているのですね。もう一つ、学校への不満が少なくなっています。ほかの居場所を持てるようになったからということ、学校側の対応も変わったからとのことです。

・・・兵庫県内の高校十数校の3年生を対象とした調査を1981年から40年以上継続し、東京大学の多喜弘文准教授や広島大学の白川俊之准教授らとともに分析を進めている。その結果から読み取れる高校生の変化について、4回続けて調査できた8校のデータ分析を通して考えてみたい。
調査は81年に始まり第2次が97年、第3次が2011年、そして第4次が22年に実施された。第1次と第2次の間にはファストフード店やコンビニエンスストアが街に広がり、ポケベル・PHSという情報ツールの普及で生徒は親や教師から逃れ、自分たちの居場所を持てるようになった。
そのことと学校の生徒対応の変化が相まって生徒の学校への強い不満を中和させ、自己実現や自分らしさを表現できる場へと高校生活を変えていった。

第3次調査以降にみられた90年代からの大きな変化は、それ以前の高校生とは異なる姿だ。勉強や部活動に熱心で、クラスメートとも協調して物事に臨む「優等生的」な生徒が増えた。
第1次・第2次調査では「授業や勉強に熱心である」と回答した生徒は3割台にすぎなかったが第3次では56%に達し、第4次でも5割以上を保っている。
授業に充実感が「いつもある」「しばしばある」という生徒も第2次以前は2割程度だったが、第3次以降は半数近くまで増えた。部活動に熱心な生徒が増加し、遅刻や校則違反をするような生徒は減少した・・・

・・・もう一つ、第4次調査からみえてきたのは進学動機の変化だ。大学進学希望者に限ってみてみると「学生生活を楽しむ」や「自分の進路や生活を考えるための時間」を選択する生徒が減少し、「希望する職業に必要」や「進学する方が就職に有利」を選択する生徒が増えている・・・