カテゴリーアーカイブ:社会と政治

海外で身を守る

2012年11月26日   岡本全勝

11月11日の日経新聞「暴動・テロから身を守るには」。
喜多悦子・日本赤十字九州国際看護大学学長の発言から。
「海外で日本人が巻き込まれる事件や災害が続発しています。危機に対処する上での心構えは」という問に対して。
・・心配性であることだ。危険な経験はしないに越したことはない。ただ、危険を避け、起きた危機から迅速に脱出するには、ある種の敏感さが必要だ。動物的な感性と言ってもいい。平和な時代が長く続いた結果、今の日本人はそうした感性が鈍くなり、あまりに無防備になっている。海外では「事態は自分の願う方向にはいかないかも」と考える、ある種のネガティブ思考が必要だ。今の日本人は、逆に善意と楽観的見方でものを考えてしまいがちだ・・
小島俊郎・日立製作所リスク対策部長の発言から。
「企業にとっての海外でのリスク管理の要諦は何でしょうか」という問に対して。
・・いい意味で臆病であることではないか。臆病を表に出しては困るが、慎重に行動するようになるし、情報を集めるためにアンテナを高くできる・・
「あるべき体制は」という問には。
・・本社の危機管理組織は「トップに直結したシンプルな組織」が理想的だ。そうした体制なら、必要な情報が必要な人に必要なタイミングで届き、的確な対応がとれる。
一方で、危機管理で最初から満点を狙うのは非現実的だ。危機時には、顧客、従業員とその家族、株主、地域社会や行政など多様なステークホルダーが十分納得してくれる体制を築くことを目指したい。それができれば、結果的に完璧な危機対応ができなくても、関係者には「やむを得なかったな」と思ってもらえる。満点は取れなくても、合格点はとれる・・

中国、もう一つの変化

2012年11月11日   岡本全勝

11月7日の朝日新聞オピニオン欄、賀衛方・北京大学教授の発言から。
・・毛沢東時代は、権威ある祖父と孫のようなもので、毛がやるといえば、良いことでも悪いことでも何でもできた。ほかの政治家を圧倒する力があった。鄧小平の時代は父と息子。一部の長老に配慮しながら、完全に意見が一致しなくても、たいていのことはコントロールした。
しかし、胡錦濤の時代は、明らかに違う。トップリーダーたちは、胡を長男とした兄弟のように見えます。全国人民代表大会(国会に相当)、宣伝、治安、経済など、それぞれが自分の担当分野を持ち、強い権限を行使するシステムです。しかも、兄弟どうし率直に議論をするというより、他人の領域には口を出さないようです。毛時代の文化大革命のような大きな間違いも起こりにくい半面、関係する領域が幅広い決断は避けてきたのではないか。体制の核心であり、強い抵抗も予想される政治改革には手をつけなかった・・
(これは、後継者指名にも現れている)
毛が選べば完全に決まった。鄧も江沢民、胡錦濤まで決められた。いまは、誰が決めているのか分かりづらくなっている・・
組織が大きくなると、各部門間の調整が、課題になります。また、当初の単一の目標を達成した後は、次なる目標しばしば広く多様なものとなるので、それら目標間の優先順位付けも、課題になります。
大きな組織は、いわゆる官僚制の弊害に陥り、それらをどう統合するかという問題でもあります。より上位の権威あるものが裁くのか、ドングリ同士が調整するのか。霞ヶ関でも、内閣でも、総合家電企業でも、中国共産党でも同じですね。これは、私のライフワークの1つです。日々、実践と勉強を重ねています。悩みも(苦笑)。
(日中対立での民衆の動き、社会の管理について)
・・中国政府は、民衆の声が怖いのです。日本と交流することで誰かに責められるのではないか、と。人々から選ばれて統治を担っている正統性がないから、対立が怖い。
・・当局は、治安維持の予算も人手も増やし、強化することで封じ込めてきました。しかし、あまりに強大化した部隊の怖さは、民衆だけでなく、権力者たちも気づいているでしょう・・
・・治安・警察、軍隊が大規模となれば、それを管轄する長の権力も強大になります。社会を管理しようと作ったものが、いまの秩序に対抗しうる存在になり、いつか最高権力に向かってくるのではないか。その恐怖から脱するには、健全な批判勢力を抱えながら、人々の声を政治に反映するシステムを作るように本気で取り組むことではないでしょうか・・

リーダー待望論は敗北主義

2012年10月20日   岡本全勝

10月17日の朝日新聞オピニオン欄、米倉誠一郎・一橋大学教授の「リーダー要りますか」から。
「なぜリーダー待望論に反対なのですか」という問に対して。
・・僕だって、白馬に乗ったリーダーが現れて、ええいっとすべての問題を解決してくれたら、こんなにありがたいことはないと思います。でも、現実には、そんな人はいません。強いリーダー、カリスマのようなリーダーを待望するのは敗北主義・・
世界を見て下さい。アメリカのオバマ大統領はとても有能な人だし、ブレーンも悪くない。カリスマ性もあった。でも今度の選挙で再選できるかどうか、大変苦労していますね。フランスのサルコジ前大統領も、カリスマ性でリーダーになったけれど、再選できなかった。今は、一人のカリスマリーダーで物事が解決できる時代ではないのです・・

「震災後の日本では、強いリーダーを求めがちなような気がします。なぜだと思いますか」との問については。
・・簡単だからですね・・
誰か立派な人が現れて、任せてしまえれば簡単でしょ。情報を集めたり判断したりしなくていい。ついていけばいいわけですから・・

私は、リーダー待望論を、「水戸黄門主義」あるいは「水戸黄門病」と呼んでいます。テレビの時代劇「水戸黄門」では、8時40分頃になると黄門さんが出てきて、一挙に問題を解決してくれます。でも、世の中はそうならないので、ドラマの中でスカッとしているだけです。テレビの水戸黄門は放映が打ち切られたようですが、仮面ライダーにしろドラえもんにしろ、「スーパーマン」は、漫画かドラマの世界にしか出てきません。
リーダー待望論はまた、「お任せ民主主義」です。有能なリーダーや信頼に足るリーダーは、育てない限り出てきません。「新人だから期待できる」は、根拠のない無責任な話です。スポーツの世界にしろ、会社経営の世界にしろ、教育の世界にしろ、「新人だからやらせてみよう」というところはないでしょう。通常は、時間をかけて育てて、選抜して、「これなら使える」とわかった人を、責任あるポストに就けるのです。
「あの政治家はダメだ」「この政治家もダメだ」と言って使い捨てにしているようでは、政治家も育ちません。

サイバー攻撃・その2

2012年10月17日   岡本全勝

青木節子慶応大学教授は、次のように述べておられます。
(国際的な取り組みに関して)
・・北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの政府・軍関係者や研究者、産業界などがエストニアの首都タリンに集まって、過去4回にわたり「サイバー紛争会議」を開いている・・ここでは、サイバーに関する問題を既存の国際法に当てはめていくとどうなるか、という問題を話し合っている。たとえば、サイバー攻撃でどれほど甚大な被害に遭えば、国家が(同様のサイバー攻撃力や通常の防衛力を使って)自衛権を行使してよいのかといったことだ・・
ただ、条約を作るわけではなく、西側の国々がこうした被害を受けたら自衛権を行使するぞ、という一つの基準を示すことで、一定の抑止力を生み出すことを狙っている。会議に中国は参加していない。

(サイバー攻撃を仕掛けた組織や人物を割り出すことは可能か)
・・各国は詳細を明らかにはしていないが、サイバー攻撃がどこから来たものなのかは、瞬時にとはいかないが、かなりの確率でわかるようになっているようだ。攻撃のルートをたどるサイバー鑑識という手段に加え、(スパイなどを使った)従来型のインテリジェンスの手法も組み合わせて攻撃主体を割り出しているとみられる。このため、攻撃を受けた国は、自国の情報収集体制の全容を相手国に知られないようにするため、どの国が攻撃してきたかをつかんでも、あえて公表しないことが多いようだ・・

ところで、今日の夕方、復興庁のインターネットやメール機能が停止しました。「すわ、サイバー攻撃か」と緊張しましたが、しばらくして、電源の一部が停電したことが原因とわかりました。
なにせ、明日は参議院決算委員会が開かれ、復興予算の使い道などが審議されます。夕方は、ちょうど質問通告が次々と出ている時間帯で、国会と文書のやりとりを行っていました。これから、答弁案作りに入るところでした。「パソコンが使えないと、困ったことになるなあ」と、対策を考えました。
私が若いときは、メールもファックスもなく、電話で聞き取り、手書きで答弁案を作っていました。あの状態に戻るのか、それとも内閣府のビルに移動してパソコンを使わせてもらうのか・・。それにしても、これまでの答弁資料や各種の資料が、パソコンから取り出せません。これは困ります。
迷惑メール対策は、いろいろと打っているのですが、今後は、本当の攻撃や事故にも備える必要があります。

サイバー攻撃

2012年10月16日   岡本全勝

10月14日の日経新聞「サイバー攻撃、どう対処」から。
名和利男サイバーディフェンス研究所情報分析部長は、
・・2000年代の前半ごろまでは、いわゆるハッカーが自らの技術力を単に誇示するための攻撃が多かった。攻撃者は少なく、実害も大きくはなかった。これに対し、近年は攻撃の傾向が変わった。まず、20代から30代の若者が、職がないとか、収入が少ないといった不満を解消するためにサイバー攻撃に走っている。彼らは「ハクティビスト」(ハッキングする活動家)と呼ばれ、実害も大きい。
以前は、多くの人が同じ種類のコンピューターウイルスに感染した。だから共通のワクチンソフトが有効だった。これに対してハクティビストは、特定の目的のために標的型攻撃メールというマルウエア(悪意あるソフトウエア)を作って、政府や企業など特定のネットワークに潜入し、データ抜き取りやシステム破壊をしている。こうした攻撃は、簡単には発見されない仕組みになっている。存在が判明しているマルウエアは、全体の数%しかないと、多くの専門家は見ている。
(最悪の場合は)
・・インターネットが使えなくなったり、エネルギーの安定供給が阻害されたり、金融が混乱するなどの事態が想定される。当たり前のサービスが受けられなくなる。医療システムが攻撃を受ければ、生命にかかわる事態にもなる・・