サッカー、Jリーグの試合で、横浜F・マリノスのサポーターが相手の外国人選手にバナナを振りかざす差別的な挑発行為を行った問題で、Jリーグは、F・マリノスを制裁金500万円などの処分とすると発表しました(NHKニュース)。F・マリノスは、行為者に対して無期限入場禁止処分を課しました。
Jリーグの発表には、次のように書かれています。
・・横浜FMサポーターが試合中に相手チームの選手に対しバナナを掲げ、振った挑発行為は、国際社会では人種差別を象徴する許されがたい行為であり、実行者はそのことを認識していた。本行為は人種差別的行為といえる。
横浜FMは当該試合が神奈川ダービーであることから事前にサポータートラブルの発生を想定し、ソーシャルメディアを中心とする監視体制を強化しており、本件を素早く把握するとともに、発生後は速やかに実行者を特定し、事実関係を確認した上で無期限入場禁止処分を科し発表した。また川崎Fに対しても速やかに謝罪を行った。これらにより、横浜FMの当該試合に対する監視体制や本件発生後の対応は適切であったといえる。しかしながら、クラブは人種差別的行為の発生を予防する高度な責務を負うところ、クラブのファン・サポーターへの啓発活動が十分であったとは言えず、たとえ本件が当該サポーターの単独行為であり、クラブとして予見することが困難であったとしても、啓発をつくして本件の発生を予防すべき義務をつくさなかった責任はクラブにある・・
これを読んで、人権意識の高まりを思うとともに、大学時代に芦部信喜先生の憲法の授業で習った「憲法の第三者効力」「私人間効力」を思い出しました。国家(裁判や行政)でなく、私的な団体による制裁(クラブによるサポーターに対する制裁と、リーグによるクラブに対する制裁)です。
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中国での日本報道
毎日新聞「隣国のホンネ」7月29日は、李ビョウ・香港フェニックステレビ東京支局長の「関係冷え込む今こそ客観的な報道を」でした。
・・震災発生時の東京からのリポートで、津波が沿岸に押し寄せる映像を紹介していたら涙があふれ、途中で声を詰まらせてしまいました。これは中国のインターネット上で「なぜ日本人のために泣くのか」と批判されましたが「感動した」「被災者を早く救援すべきだ」といった声も少なくありませんでした。
毎年8月15日には靖国神社で取材していますが、中国語でリポートをしている最中に石を投げられたり、「出て行け」と追いかけ回されたりしました。靖国神社を取材するのは勇気がいりますが、中国での関心は高く、欠かすことができません・・
中国版ツイッターでも、発信していることに関して。
・・短い発信でも短時間で数百のコメントが寄せられるのですが、2012年9月以降、私に対する批判はどんどん増えてきました。私は報道をする時、日本政府の発表をよく引用しますが、事実関係を伝えるだけでも「売国奴」「中国に帰ってこなくていい」などと書かれます。最近は数が多すぎて、見ないようにしています。中国国内でナショナリズムがますます強まってきたことの表れでしょう・・
・・両国でより強硬な政策を求める世論の圧力が高まっており、それに政府やメディアが押されているように見えます。両国に潜む「内圧」とも言えると思いますが、これこそ最大のリスクではないでしょうか。この圧力を乗り越えていくためには、一人でも多くの人が相手の国の事情や考え方を深く理解する一方、日本での過激な排外的言動や中国での反日デモで見られた暴力などに対する危機感を持ち続けることだと思います・・
空き家が820万戸も
7月30日の各紙が、空き家が過去最高の820万戸、13.5%になったことを伝えていました。総務省が発表した「住宅・土地統計調査」です。5年前に比べて、63万戸も増えたそうです。すごい数ですし、増え方もすごいです。今や、10戸に1戸どころか、7戸に1戸が空き家です。1戸あたり住人が2人とすると、120万人分です。政令都市1つ分です。
これは、日本社会の変化を、表しています。1つには高齢化や人口減少です(社会全体)。もう1つには過疎化と集中です(地域間アンバランス)。もっとも、都会でも空き家は増えています。
国や自治体の政策も、変化せざるを得ません。かつては住宅が不足していて、「増やすこと」が主眼でした。数が揃うと、次は「質の向上」です。劣悪な家を壊して、部屋数が多くて広い家、快適な家を供給することでした。
そして今は、空き家をどうするか。特に問題は、放置された空き家です。318万戸もあります。そのままにしておくと、地域の環境が悪くなります。このページでも、「地域の空き家対策」(2014年2月10日)を紹介しました。そして、より根っこにあるのは、過疎化(地域政策の問題)と、高齢者が亡くなった後に管理する人がいないこと(家族のあり方の問題)です。
政策の意外な副作用
日経新聞1面連載「規制、岩盤を崩す」7月18日は「空き家放置が合理的。新築優遇、人口減で裏目に」でした。東京都大田区の木造2階建てアパート大和荘、築46年で10年以上前から誰も住んでいません。朽ち果てて、危険な状態なのでしょうね。区役所は、再三、持ち主に対処を求めましたが、らちがあかないので、同意を得ずに代執行で取り壊しました。
なぜ放置されているか。持ち主の男性(94歳)に聞くと、「取り壊して更地にすると、土地の固定資産税が跳ね上がるから」だそうです。
・・固定資産税には、住宅が建っている土地の税額を本来の6分の1に抑える優遇措置がある。大和荘の約150平方メートルの土地にかかる固定資産税は今年度まで約8万円だったが、更地になる来年度からは優遇が減って約30万円になる。
税の優遇措置が始まったのは高度成長期の1973年。人口増に住宅の供給が追いつかず、農地などの宅地化を進める目的で取り入れた。それが「いまでは空き家を撤去せずに放っておく誘因になってしまった」(富士通総研の米山秀隆上席主任研究員)・・
私も、この優遇措置を受けています。それが、意外な副作用を生んでいるのですね。
危険な任務の命じ方。命令、要請、自発。2
これに関連して、かつて「公務員のスト権」について議論したことを、思い出しました。国家公務員と地方公務員は、ストライキが禁止されています。しかし、業務の内容を見たら、民間企業の中に、もっと国民生活に不可欠な部門=ストをされたら困る部門があります。
サービスの提供が停まると、個人の生活や社会の活動に大きな被害を及ぼすものです。たとえば、電気やガスの供給、銀行や通信、運輸のシステム、医療などです。そこで、公益事業については、ストをする場合に、事前の届け出が必要です(労働関係調整法)。医者の場合は、病人が来たら診察義務があります(医師法)。事前にストがあるとわかっておれば、国民も予定を立てて備えることができます。計画停電は、東日本大震災の直後に東京電力が実施しました。もっとも今の社会では、通信会社がストをして電話や電子メールが使えないとなると、大変なことになるでしょう。
しかし、もう一つ、より深刻な部門があります。危機管理や危機対応の部門です。例えば、ガス漏れを修理に行くガス会社の部門、電力会社の原発運転部門、民間病院でも救急部門などです。ガス漏れを修理に行く部門がストをしたら、ガス漏れがあったときに大災害を招きかねません。原発運転部門が予告どおりストをして、そのときに事故が起こったら、大変なことになります。このような場合の備え(法的規制)は、どうなっているのでしょうか。また、インターネット上でサイバー攻撃などを監視して、ソフトに穴があったらそれを防ぐ仕事をしているIT会社も、今や重要な危機対応部門です。
なお、冒頭に「公務員と比べたら」と書いたのは、これらの業務に比べて、××省の職員給与を計算する部門や統計部門などは、重要ではありますが、少々ストをしても国民生活には直ちには影響はないだろうということです。