12月20日の日経新聞「日曜に考える」は、塩野七生さんの「揺れる世界と政治 リーダーの条件とは」でした。
「古代ギリシャ人はまさに民主政の創始者です」との問に対して。
・・・結局、市民社会、市民階級がないところには民主政は成り立たない。そのことは現代でも立証されています。持てる力を可能な限り活用するために生まれたのがアテネの民主政であって、やはり中産階級が重要な役割を担ってきた・・・
「欧州以外はどうでしょうか」との問には。
・・・イスラム世界は中産階級をついに作れなかった。それが民主政が成り立たず、社会が安定しない原因でもある。商人階級は作りました。北アフリカのイスラム世界はサハラの黄金を売っていた。今ならばオイルです。原料を輸出する側はそれだけでもうかる。工業製品を輸出する側は、例えばフィレンツェやベネチアだったら繊維業で、色を付ける、織るなどの過程がある。その人たちに職を与えることになった。
イスラム世界は人々に高学歴を与えることはできた。しかし今なお高学歴にふさわしい職場を作れていない。だから軍隊とかバース党(アラブ主義政党)のような所に貧しい秀才が流れてしまうのです・・・
原文をお読みください。
カテゴリーアーカイブ:社会と政治
ビル・ゲイツ講演会
今日15日午後は、ビル・ゲイツさんの講演を聴きに、朝日新聞本社まで行ってきました。彼と奥さんがやっている社会貢献は、有名です。前座に、日本の社会起業家がそれぞれの説明をして、理解と寄付の協力を求めていました。それぞれに、難しい課題に挑戦しています。例えば、フローレンスの赤ちゃん虐待防止。
彼らの社会への貢献を聞いていて、行政の役割を考えていました。行政や政治に、もっとできること、なすべきことがあるのではないかと。
東プロシア
池内紀著『消えた国 追われた人々―東プロシアの旅』(2013年、みすず書房)が、勉強になりました。
東プロシア、第2次大戦まで存在した国というか、ドイツの領土です。現在では、ポーランド、ロシア(飛び地)になっています。有名な都市では、ダンツィヒ(現在ではグダニスク)、ケーニヒスベルク(カリーニングラード)です。中世にドイツ人(騎士団)が植民し、ということは原住民を追い出したのですが、ドイツ人中心の国を作っていました。ケーニヒスベルクは、ベルリンより先に華麗な首都になっていました。
ドイツが大戦に負けたことで、ソ連がまず国境線をポーランドよりに西へ動かし領土を拡大します。その玉突きで、ドイツとポーランドの国境を西に動かしたのです。そして、ドイツ人を追い出しました。その数、千2百万人です。財産をすべて残し、着の身着のまま見知らぬ祖先の地ドイツに移住します。この点は、日本の戦後引き揚げ者と、似ているところがあります。
先生がこの地を3度訪問して、その歴史を調べることになったきっかけは、大戦末期1945年1月に多くの避難者を乗せた客船が、ソ連潜水艦に攻撃され沈没したことに興味を持たれたからです。ヴィルヘルム・グストロフ号、1万人を越えるドイツ難民を乗せ、9千人程度が死亡したと推定されます。戦争中のことであり、その後も封印されて、正確なことはわかりません。タイタニック号が史上最大の海難事故といわれますが、犠牲者は千5百人ほどです。それに比べはるかに大きいのですが、ナチス批判の陰に隠されたようです。
膨大な避難民と大勢の海難犠牲者、とても悲しい話ですが。政治が多くの人の人生を変え、人命を奪う事例です。お薦めします。
韓国での日流
韓国との国交正常化以来、今年で50年になります。私が60歳ですから、現代史です。一時の韓流ブームで、国民レベルでは交流が広がり、相互信頼の時代が来ると期待したのですが、最近は政治的対立がマスコミで報道されます。ところが、韓国の国民の間では、政治対立は別にして、「日流」がさらに広まっているのだそうです。7月30日の朝日新聞が伝えています。「歴史さておき韓国日流」。ソウルの繁華街には、日本の飲食店がたくさん並んでいます。ラーメン、ハンバーガー、豚カツ、スパゲッティ、居酒屋。日本酒と日本製ビールの輸入量も急激に増えているとのこと。高校生が選ぶ第2外国語は、中国語を抑えて日本語が1位です。詳しくは、原文をお読みください。
現代のフランス、3
ドイツとフランスは、両国首脳が相手国の国内政治に直接介入することがあります。
2012年2月に、メルケル首相が、フランスのテレビに出演して、サルコジ大統領の再選支持を呼びかけました。現職大統領でありながら、サルコジ氏が劣勢で、有力対立候補のオランド(現大統領)が、EU各国で合意された協定の見直しを主張していたからだそうです。
遡ると、1992年9月にフランスで、マーストリヒト条約を批准するための国民投票が実施される直前に、コール・ドイツ首相がフランスのテレビに出演しました。2002年末、シラク・フランス大統領とシュレーダー・ドイツ首相が一緒にテレビ出演して、イラク戦争反対の意志を確認しました。2009年5月には、サルコジ大統領がドイツを訪問し、欧州議会選挙でドイツのCDU(キリスト教民主同盟)の候補者リストを支持しました。p194。
ここまで交流、融合がすすでいるのかと、驚きます。これまでの常識なら、「内政干渉だ」と批判されることでしょう。日中韓に置き換えてみると、首相や大統領、国家主席が相手国の選挙の際に、出かけていって特定候補を応援するのですから。