「世界」カテゴリーアーカイブ

韓国語にある罵倒語

6月1日の朝日新聞オピニオン欄、金承福さんの「怒りの会見、罵倒語が浮き彫りにした膿」から。この欄は、韓国文化を紹介するようです。

・・・日本語で、韓国語との違いを感じることの一つは、「ヨク(ハングル表記)」がないこと。ヨクは悪口などと訳されますが、罵倒語も指します。

韓国で先日、このヨクに満ちた記者会見が話題になりました。K―POPグループ「NewJeans」が所属する会社「ADOR」のミン・ヒジン代表が2時間以上にわたって開いた会見です。ミン代表は、その直前に、ADORの親会社であるHYBEとの内紛が表面化しており、厳しい批判にさらされていました。
会見で、ミン代表は「ケジョシ(ハングル表記)くそ親父」などと罵倒しながら、自身に対する不当な扱いやK―POP界の問題点を訴えました。
ミン代表は女性ですが、もし日本の会見で、とくに女性がこんな発言をしたら内容以前に、言葉づかいを非難する声が高まったことでしょう。ところが韓国では会見後、世論が反転。「本気で仕事をしているからこその怒りだろう」と共感する人が増えたのです。

韓国では昔から、女性でも罵倒語を使うのが当たり前。女性作家、朴景利(パクキョンニ)が26年にわたって執筆した壮大な大河小説「土地」(邦訳はクオン刊)にも罵倒語があふれています。有名なのが、主人公の少女が家族の財産を奪われた際に登場する「八つ裂きにして、飢え死にさせてやる」という台詞。実際の、韓国語のニュアンスはもっと激しい。日本語に翻訳するのは至難の業で、罵倒語の中には省略せざるを得ない部分もあったそうです・・・

へえ、そうなんですね。お隣の国でも、知らないことが多いです。

トランプ氏裁判、陪審員の顔ぶれ

アメリカの前大統領トランプ氏が陪審員による裁判で有罪になったことを、各紙が大きく報道していました。5月31日の日経新聞「トランプ氏裁判、評議開始 陪審員12人、全会一致で結論」に、陪審員12人の顔ぶれが紹介されています。詳しくは記事についている表を見ていただくとして。男女の別、職業、日常の情報源や発言が載っています。

陪審員長は、営業職の男性、ニューヨーク・タイムズやFOXニュースを見ているとのこと。FOXニュースは、共和党寄りだったと思います。
そのほかの人たちは、投資銀行員の男性、企業弁護士の男性、情報エンジニアの男性、英語教師の女性、情報エンジニアの女性、法務担当の男性、元ファンドマネジャーの男性、言語聴覚士の女性、ネット販売企業社員の男性、アパレル企業勤務の女性、理学療法士の女性たちです。
ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを読んでいる人が多いですが、SNSは使わない(企業エンジニア)人もいます。

非国家組織、2億人支配

5月31日の日経新聞1面連載「Polar Shift サウスの論理(5)」は「非国家組織 世界揺るがす 2億人支配、旧秩序に牙」でした。

・・・「無政府状態に陥り、ハマスが再び台頭する可能性がある」。ブリンケン米国務長官は5月12日、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスを攻撃するイスラエルに懸念を示した。
イスラエルはハマス壊滅を誓うが、戦闘終結後に誰がガザを統治するのか明確にしていない。後ろ盾の米国は、戦後構想なきガザでハマスが支配者に居座り続けるシナリオを恐れる。
ガザ住民も国際的に認められたパレスチナ自治政府ではなく、ハマスに頼る人が多い・・・

赤十字国際委員会の推定では、国家ではない武装組織の支配下で暮らす人々は2023年夏時点で世界に1億9500万人だそうです。450以上あるこうした武装組織のうち、41%が徴税し、25%が司法・紛争解決の仕組みを持ち、16%が医療を提供しているそうです。
日本の室町時代、幕府が任命した守護の統制が及ばず、力のあるものが地域を支配したようなものでしょうか。

頼清徳・台湾総統の就任演説

5月20日に、頼清徳氏が台湾総統い就任しました。読売新聞は就任演説の要旨を載せていました。ウェッブでは、全文を載せています。

アメリカ大統領の就任演説は、日本の報道機関も取り上げますが、アジアの近隣各国の大統領などの就任演説は、あまり取り上げないのではないでしょうか。もっと、近隣各国に目を向けるべきでしょう。

インド、経済戦略の失敗

5月6日の読売新聞「竹森俊平の世界潮流 インド 貧困・格差生む「結託」 持続的成長へ 悪弊断つ必要」から。

・・・インドの総選挙が始まった。14億人の巨大市場や2025年に経済規模で日本を抜く見通しになるといった話題で脚光を浴びる反面、貧困や格差など深刻な問題も山積する。持続的な経済成長に必要なのは何か・・・

<戦後の国民会議派政府の政策は社会主義を標榜し、非効率な産業を保護するため経済全体に規制の網を張り巡らした。これで輸出競争力が弱まり91年に経常収支危機が招かれると、政府はようやく規制撤廃に乗り出し、近年の成長率向上を生んだ>
この2008年当時は国民会議派のシン首相の政権下だが、規制撤廃を進めた政権下の04~13年を通じてインドは6・8%の平均成長率を達成する。

<しかし今や政府の介入を減らすだけで成長率が上がる時代は終わり、今後は〈1〉貧困層の失業〈2〉貧困層にとっての公共財の不足〈3〉富裕層による国有資産の収奪――というインド経済の三つの根本問題に政府が真正面から取り組まなければ、さらなる成長は望めない>
戦後、韓国、台湾、中国などアジア新興国・地域は初等教育という「公共財」を政府が充実させて労働力の質を高め、低技術で労働集約的な「繊維」などから高技術で資本集約的な「電機」「自動車」などに徐々に輸出の主軸を移す日本型経済モデルを採用し成功した。これに対しインドは、初等教育を疎かにして高等専門教育に力を入れ、重工業に投資を集中して一気に経済発展を目指す戦略を取り失敗する。

人口の多いインドでの雇用吸収力が弱い重工業への傾斜は、今日まで続く慢性的失業と貧困を生み、中国とインドとの経済格差をもたらした。購買力平価で換算した1990年の中国とインドの1人当たり国内総生産(GDP)はほぼ同じだったが、2023年の中国の1人当たりGDPはインドの2・6倍になった。初等教育という公共財を向上させ、国民の多くを労働集約型産業に吸収して失業と貧困を減らすことこそがインドの重要課題なのだ。