カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

職場でのやる気

10月5日の日経新聞夕刊に、「定年「65歳」波及へ やる気どう維持」が紹介されていました。
・・・人生100年時代を迎え、65歳への定年延長が現実味を帯びてきた。人手不足解消に有効とはいえ、課題はシニア社員のモチベーション。想定外の定年延長で緊張の糸が切れてしまっては職場の“お荷物”になりかねない。シニアの意思改革に加えて、やる気を促す工夫が勤務先にも求められる・・・
・・・「あと7年も働くのか」。2017年初夏、明治安田生命保険の静岡支社総務課長、寺田康子さん(59)はため息をついた。19年4月から定年が65歳になると会社から知らされた。寺田さんはちょうど第一世代。あと2年に迫っていた定年が突然遠のいた。「何をするの?」。不安でいっぱいだった。
それから1年余り。今は逆にやる気にあふれている。意欲をつなぎ留めたのは、職場での役割だ。役職を解かれ補佐業務に回ると心配していたが、職務は変わらず、昇進・昇格も可能だと説明を受けた・・・

この記事は、定年延長や高齢者(他に良い表現を思いつかないので。記事では「シニア」と呼んでいますが)のやる気についてですが。普通の職場での、職員にやる気を出させることにも通じます。
成績に応じて給料を上下させることが一つの方法です。しかし、やる気をなくした職員は、その方法では仕事をしないでしょう。特に役所では、給料に大きな差はつきません。そして、「そこそこ給料をもらえれば良いわ」と考えている職員にも、効き目がありません。
職員のやる気は、役割があることと、成果を出すと評価してもらえることによって出てきます。そして、同僚との一体感も重要です。いま、『明るい公務員講座』第3巻で、職員の指導の項で、そのようなことを書いています。

仕事の悩みの方程式

明るい仕事講座」で、仕事での悩みの解決方法をお教えしました。この原本は、『明るい公務員講座』です。
では、なぜ悩むのか、悩みが深くなるのか。そして、どうしたら悩みは減るか。職員から質問を受けたので、2人で考えました。

悩みが深くなるのは、彼や彼女にとって「難しい課題」だからです。この場合、「難しさ」は本人にとっての、主観的なものです。上司からすると「簡単なこと」でも、本人は悩むことがあります。
それだけでなく、「解決方向が見えないこと」が、悩みを深くします。大変な仕事でも、片付ける方向性が見えていたら、そんなに悩まなくてもすみます。それを数式(まがい)に当てはめると。
悩みの深さ=「課題の難しさ」×「先行きの不透明さ」

まあ、足し算でもかけ算でも、どちらでも良いのですが、先行きが見えないことが悩みを増幅するので、かけ算にしました。
そして、悩みを深くしない項を入れると、次のようになります。
職場での悩み=[悩みの深さ(課題の難しさ×先行きの不透明さ)]-「相談相手」

深い悩みでも、相談相手がいて助言してもらえると、仕事が片付かなくても、悩みは軽くなります。
この方程式のうち「悩みの深さ」は本人の主観です。「相談相手」は外部要因です。周囲の人が助言することで、悩んでいる職員を救うことができます。逆に、それがないと、本人はますます悩みの深みにはまっていきます。

カサノバ・日本マクド社長のリーダー論

10月4日の日経新聞夕刊、私のリーダー論、日本マクドナルドHDのサラ・カサノバ社長兼CEOのインタビューから。社長就任は、マクドナルドの業績が落ち込んでいる時期でした。

――何から手を付けたのですか。
重要なのはお客様とのコミュニケーションです。お客様の声を直接聞き、マクドナルドに何を望んでいるのか正しく理解することです。同時に、フランチャイズのオーナーや各店舗の店長、現場のスタッフの意見にも耳を傾けなければなりません。時間の許す限り、各地の店舗に足を運び、お客様やスタッフと直接、対話することから始めました。

――イスにどっかと腰をおろし、司令塔に徹するのもCEOの役目では。
確かにそれも重要かもしれません。しかし、マクドナルドのようなレストラン事業を展開する会社にとっては、最も重要な場所はオフィスではなく現場、すなわち店舗です。ビジネスは常に店舗から生まれ、問題を解決する場も店舗なのです。
私は「Go! GEMBA」という言葉を好んで使います。英語と日本語を組み合わせた造語で、現場に行けという意味です。何か起きたらまず現場に行きなさい。周りにもそう指示していますし、私自身も現場に行きます。問題がなくても、できる限り現場に行くことにしています。今年もすでに京都や大阪、青森、神奈川などの店舗を回りました。

――理想のリーダー像を教えて下さい。
リーダーはやはり、目標を立てて戦略を描くだけでなく、目標達成のためにチームをまとめ上げ、チームの力を最大限引き出すことが大切だと思います。
具体的には、教育の場を用意して能力開発を応援し、キャリアアップの機会を作り、失敗を許容し、常に鼓舞し、士気を高めることが大切です。
そうやって気持ちよく仕事ができれば、みんな、より一生懸命、仕事に取り組むようになります。それができるかどうかが、よいリーダーと偉大なリーダーとの違いではないでしょうか。

井上亮・オリックス社長、部下に「やりたい」と言わせる

井上亮・オリックス社長「私のリーダー論」(9月26日)の続きです。9月27日の日経新聞夕刊「部下に「やりたい」と言わせる」から。

・・・井上さんはほとんど残業をしたことがないそうですね。
「しなかった理由は単純です。入社したときに私がマージャンができるということで、先輩からどんどん誘われたからです。だいたい夜6時15分にジャン荘集合ですから、必死で仕事を終わらせていました(笑)」

――生産性を上げるコツは何でしょうか。
「自分で仕事をコントロールして、他人にコントロールされないことです。上司からは期日を指定されるでしょうが、それまでの進捗管理は自分で責任を持ってやる。その代わり自由にやらせて下さいと言えばいいんです」
「逆に、上司の側は、部下にやらせるんじゃなくて、『やりたい』と言わせないといけない。もし部下に稟議(りんぎ)書の作り直しを指示して嫌そうな顔をされたら取り上げて、上司が自らやると言えばいい。そうするとたいていの場合は、『やらせてください』と言ってきます。私も管理職になってからはそうしてきました。部下が自分でやるという責任感を持つことが大事です。能動的にやる意識がないと成長しないんです」・・・

会社の飲み会2

会社の飲み会」の続きです。9月30日の朝日新聞オピニオン欄から。

・・・上司と部下では飲み会で話したい話題に違いがある――。クラフトビール製造の「ヤッホーブルーイング」(長野)が今年、社会人800人に実施した「飲み会実態調査」で興味深い結果が出ました。
上司が話したい話題は「趣味」(38・6%)がトップなのに対し、部下が最も聞きたいのは「会社の展望・将来」(49・6%)でした。部下から見ると、上司は自分より1・7倍多く話していると感じているという結果も・・・

三菱総合研究所プラチナ社会センター・松田智生主席研究員の発言から。
・・・僕の本業は地域活性化や地域創生です。企業や自治体、大学や地域の人たちと関わる中で、職場によって飲み会の雰囲気が違うことをこれまで実感してきました。
ダメな飲み会は上司が主に発言し、皆がヨイショ。「あいつは」「あの部署は」と主語は他人で、述語は過去形の会話ばかりです。他人へのダメ出しや愚痴、過去の自慢話が多く、不毛な気分になります。
良い飲み会での会話は、主語は自分で、述語は未来形か現在形。発言者は偏らず、出席率も高いのが特徴です。仕事の意味や理想について、青臭い議論もされたりします。
良い飲み会が開かれる職場は、仕事への姿勢も未来志向で会議も有意義ですが、悪い飲み会になる職場は、その反対でした・・・

この点も、反省します。いつも、私一人でしゃべっています。

「今夜一杯どう?」という誘い方は、なくなりつつあります(9月30日の記事で、タラコさんと書きましたが、穴子さんの間違いです。読者から指摘を受けて訂正しました。指摘ありがとうございました)。
県庁に勤務した際、このように誘うと「車通勤なので、事前に予約してください」と言われました。ある女性職員は「夫とどちらが先に帰って、子どもの面倒を見るかを決めているので、予約制です」とも。
企業の方に、「どのようにしているの?」と聞いたら、「毎月、課の人たちと飲む日を決めてあります。課員は、それにあわせて予定を組みます。当然、出席できる人だけです」という職場もありました。

「職員に義務づけずに、可能な人、好きな人だけ参加すれば良い」という説もありますが、これも問題を生む可能性があります。参加したくても、家庭の事情で参加できない人がいます。参加する顔ぶれが固定すると、親密度に差が出ます。飲み会で仕事の話で盛り上がり、翌日職場でその話が出ると、参加できない人は疎外感を持つでしょうね。