カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

こんな会社は潰れるわなあ

4月13日の朝日新聞「「石」に魅せられて5」は、「失われた「匠」の誇り、事業切り売り」でした。
・・・2023年11月22日、上場企業としての東芝の「最後の株主総会」が開かれた。日本を代表する総合電機メーカーの上場廃止が正式に決まった。
東芝に30年勤めた横浜市の50代男性は、仕事の合間を縫って会場に足を運んだ。「ここで言わなければ、一生思い残すと思って」。質疑応答で思いの丈を述べ、会場を出て、ひと言つぶやいた。「上場廃止、ざまあみろ」
男性はこの7年半前、東芝にリストラされた。
1986年、半導体の設計エンジニアとして入社した。東芝の半導体は当時、世界トップクラスを誇った。USBメモリーなどに使われる「NAND型フラッシュメモリー」を世界で初めて開発した・・・

・・・2010年ごろから、本社の「社長直轄」で新規事業の立ち上げに携わった。社内に憤りを抱き始めたのはこのころだ。
同僚は出社して朝食を取りながら、世間話で時間をつぶしていた。上司に新しい事業を提案すると反対され、うまくいけば手柄を横取りされた。「世の中の役に立ちたい」と目を輝かせていた人が、変わっていく。社内の権力争いは、目を背けたいほどだった。
「純粋なエンジニアが評価されなくなった。一から生み出し、創造する、日本の『匠(たくみ)』が失われた会社になった」
15年、その後の上場廃止にもつながる不正会計の問題が発覚した。男性の部署は経営陣の辞任とともに事実上、解体され、真っ先にリストラの対象になった・・・

東芝は名門企業でしたが、経営陣は不正経理を繰り返し、職場がこの状態では。ある人曰く「潰れますわな」。

情報機器での情報漏洩

4月3日の日経新聞「クラウド漏洩、「凡ミス」多発」が参考になりました。
・・・人材管理システムのカオナビ子会社が運用するクラウドサービスで、個人データの漏洩が判明した。運転免許証やマイナンバーカードの画像を含む15万人超の情報が流出。個人情報の漏洩リスクが高まる中、誤った設定や操作など企業側の「凡ミス」も目立つ。
カオナビは3月29日、子会社が運用するシステムのクラウドで管理していた氏名や性別、住所、電話番号のほか、マイナンバーカードや運転免許証など身分証明書の画像が外部から見られる状態だったと発表した・・・
サーバーには本来なら外部からアクセスできないように設定しなければならないのに、誤設定で第三者から閲覧可能な状態になっていて、既に15万人の情報がダウンロードされていたとのことです。

記事では、情報漏洩のケースとして、次の3つが挙げられています。
・不正アクセスなどによる「被害型」
・社員が情報を持ち出す「不正型」
・今回のような設定ミスや誤操作による「過失型」
人間がすることですから、失敗もあります。しかし、情報機器は大量の秘密情報を扱っている場合があり、失敗が大きな被害をもたらします。

社員の技能を可視化

3月20日の日経新聞に、「日本特殊陶業、全社員7000人のスキル可視化」が載っていました。

・・・エンジンの点火プラグで世界首位の日本特殊陶業は全社員、7千人のスキルを可視化している。プラグがいらない電気自動車(EV)の普及とともに市場は縮む見通しだ。車部品業界トップの収益力がゆえに、危機感の浸透や事業転換が壁となる。一人ひとりの目指す姿と今のギャップを鮮明にする仕組みで、学ぶ意欲や新事業への攻めの志を養う・・・
ソフトウェア開発、セキュリティー技術など6項目で、1(未経験)から5(社外で講師ができる)の5段階があります。社員が自ら評価し登録します。上司が修正します。

私が職員研修などで取り上げている、「採用されれば、人事異動や昇進は人事課任せ」「自ら技能を磨かない」という日本型職場慣行の欠点を埋める、よい取り組みだと思います。

新社会人の皆さんへ

今年は、4月1日が月曜日。新しい年度が始まりました。新しく社会人になった人、職場を異動した人も多いでしょう。大きな希望と少しの不安を抱えての出発だと想像します。私も若いときは、そうでしたから。初志を持ち続けて、成長してください。

悩みについては、一人で抱えないでください。
電車の車内広告で、新採社員向けに「悩まず先輩に相談しましょう」「先輩も相談されることを待っています」というものがありました。その通りです。一人一人にとって初めてのことであり大きな悩みですが、経験者にとって「みんなが通ってきたこと」です。その基本を『明るい公務員講座』に書きました。

「若い人に『明るい公務員講座』を渡したいので、署名してください」との依頼もありました。お役に立てればうれしいです。不安そうな新人を見かけたら、拙著を紹介してください。
『管理職のオキテ』も、売れているようです。連載している「公共を創る」でも書いているように、各職場での管理職研修(といっても、ほとんどが「先輩を見て覚えよ」であり、管理職の育成は特段のことをせず優秀な職員から選んでいます)が、現実の変化に追いついていません。こちらの本も、管理職になって悩むことに対して助言をしています。

管理職を目指さない日本の社員

3月18日の日経新聞夕刊に「管理職は「なり損」?」が解説されていました。

・・・管理職は責任も伴う役割です。その部署が進む方向を決断し、成果を上げなくてはいけません。それを自分では担えない重責だと感じる人もおり、日本では特に管理職を敬遠する風潮が顕著になってきています。
パーソル総合研究所がアジア太平洋地域(APAC)の14カ国・地域を対象に実施した働く人の意識調査によると、管理職を目指す人の割合は日本は男女平均で21.4%でした。14カ国・地域中、最下位です・・・

理由として、処遇が責任に見合っていないことが挙げられています。戦後日本の平等志向で、諸外国と比べ管理職の給料が高くないのです。
そして、私が指摘している「管理職に必須の職場管理知識」が増えていることも原因としてあげられています。
・・・一方で役割は広がるばかりです。1999年以降、セクハラ、パワハラなどへの法的な対応が企業に課せられました。65歳までの継続雇用も始まり、年上の部下を持つケースも増えています。働き方改革で残業削減にも目を光らせなくてはいけません。
いずれも大切な取り組みですが、その役割は現場を預かる管理職が主に担います。管理職に必要なマネジメントスキルはますます複雑化し、難易度が上がっています・・・

記事では、各国の「管理職を目指す人の割合」が図になって載っています。インド、ベトナム、フィリピンなど東南アジア各国では男性も女性も7割から8割です。日本の低さ、特に女性の低さが目立っています。
これは、社員に原因があるのではありません。職場が魅力のない管理職を作っているのです。会社側に原因があります。
対策はそんなに難しくありません。
・給与を引き上げ、社員と差をつけること
・できる社員を管理職に昇進させるのではなく、管理職を意図して育成すること。
・管理職研修をしっかりやること