カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

3つの疲れ

あなたの限りある1日」の続きにもなります。
「疲れる疲れる」と言いますが、私たちの疲れには、3種類のものがあるようです。体(肉体)の疲れ、頭(脳)の疲れ、心(精神)の疲れです。

体の疲れは、わかりますよね。運動したり農作業をすると疲れます。頭の疲れは、勉強をしたり文書事務をしたときの疲れです。いすに座って、体を動かさないのに疲れます。この二つはわかりやすいです。しんどくなって、やめたくなります。眠くなります。

三番目の心の疲れは、少々わかりにくいです。対人関係などに疲れ、心の病になることがあります。同じ仕事でも、淡々とこなしているのと、上司のプレッシャーがあるときでは、疲れ方が違います。同じ内容を話すとしても、大勢の前で話す場合や、厳しい上司の前で話す場合は緊張して疲れますよね。緊張や不安がストレスになり、それが原因になるようです。

最初の二つは、自分でも疲れたとわかり、休憩を取り回復させます。難しいのは、三番目の心の疲れです。休憩を取っても、回復しないことがあるのです。常に頭の隅に残って、本人に負担をかけます。そして、自分では気づかない。何が原因か、周囲の人はわからない。また、同じような原因でも、心の病になる人とならない人がいるのです。
参考「疲労の原因は脳

階統制組織と平等的組織、その2

階統制組織と平等的組織」の続きです。組織には、構成員が平等な組織と、上下関係をつくる組織があります。前者がホラクラシーで、後者がヒエラルキーです。

会社や役所では、ホラクラシーではなく、ヒエラルキーが採用されます。あわせて、各人の任務が明定される官僚制が用いられます。それは、次のような理由です。
全体の方針を決める、あるいは課題が生じた際に、全員が集まって議論をして結論を出す必要があります。これは、時間がかかります。議会がそうです。また、組織が大きくなると、全員集会はさらに時間がかかります。
方向性が決まれば、ホラクラシーでは構成員の自主性によって、よい成果が出ることが期待されます。ヒエラルキーでは、上司の命令によって、嫌々仕事をする場合もありますから。しかし、各人の任務が明確に規定されていない場合は、どこまでやれば達成したことになり、どの程度では不十分なのかの評価もあいまいになるでしょう。不熱心な構成員がいると、うまく機能しません。各選手の自主的行動が重要なサッカーとの違いです。

ホラクラシーは、各人の参加意識を高めることで業務執行に有効なのですが、それが機能するためには少人数であること、参加者みんなの参加意識が高いことが必要です。また、方向性を参加者が決めることができるような組織でないと、機能しません。
日本型職場の、全員一致・社員平等慣行は、ホラクラシーに近いのです。前例通りなど方向性が共有されている場合は効率的なのですが、決定に時間がかかる、方針転換ができない、職員の任務と評価があいまいなどの欠点を持っています。

なお、ここでは触れませんが、議会や同好会のような平等組織は、議長や会長を構成員が選ぶので、構成員によって解任される恐れがあります。「みんなに選ばれた」という強固な基盤とともに、「いつ解任されるかわからない」という不安定性があります。

階統制組織と平等的組織

組織構成員の分類その3。階級の区別」の続きにもなります。
人が集まって、ある目的を達成するために集団を作ります。その際に、構成員が平等な組織と、上下関係をつくる組織があります。
前者は、議会や組合、同好会などに見ることができます。後者は、会社や役所などです。

後者の仕組みを「ヒエラルキー」と言いますが、会社組織にあっても前者のような仕組みをがあり、それを「ホラクラシー」(holacracy)というそうです。
ホラクラシーでは、対外的に会社を代表する社長・役員はいますが、会社内では肩書や役職が存在しません。仕事上のリーダーはいても、役職に基づく上司や部下がありません。経営方針なども、トップダウンで決定するのではなく、社員同士が相談して決めます。
ホラクラシーでは、自分たちで決めた規則に基いて行動します。その規則を守っている限りは自由度が高いです。サッカーを例えに説明する場合があります。「危険なプレーはいけない」「手を使ってはいけない」といった規則を守れば、どういうプレーをするかはチームも個人も自由に決められます。この項続く

 

心理社会的なストレスによる病気

7月26日の読売新聞、中井吉英・関西医大名誉教授の「心療内科の神髄 体と心 患者さんに触れる」から。
「社会が複雑化し、ストレスであふれた現代。先の見えないコロナ禍も重なり、今後は心身の調子を崩す人がじわじわと増えることが予想される。ストレスが背景にある病気は、検査で異常が見つからないことも多く、診断と治療が難しい」

「ベッドサイドで手を握る。体をさする。大人もそれで安心します」
・・・心療内科医になって50年がたちました。でも、いまだに心療内科は多くの人に誤解されています。
精神科は、統合失調症やうつ病、不安症などの精神疾患が対象。神経内科は、パーキンソン病や脳梗塞こうそくなど脳神経系の病気を診ます。
一方、心療内科は、「体と心を分けずに診療する内科」です。主に心理社会的なストレスの影響で、体に不調が表れたり、もともとあった病気の症状が悪化したりした身体疾患(心身症)を診る「心身医学」を、内科の領域で実践します。心療内科医は名前の通り、内科医なのです。

1995年の阪神大震災の時、避難所の体育館に70代の男性がいました。被災後に血圧が高くなり、降圧剤を飲んでも上の血圧が180から全然下がらない。話を聴くと、地震で家が倒壊し、親友が目の前で亡くなった。その場面が何度もフラッシュバックとして現れ、1か月間、ほとんど眠れなかったといいます。私は彼の脈を診ながら手を握り、じっくりと話に耳を傾けました。その後に睡眠薬を処方すると、男性はぐっすり眠れるようになり、血圧も120台にまで下がりました。

人間関係の悩みからじんましんが度々発症していた30代の男性。夫の言葉による暴力から胸痛が表れていた50代女性。幼少時から親に甘えられず大量の飲酒を繰り返して慢性膵炎すいえんになった40代男性――。こうした患者さんたちは、医師が身体所見を正確に診た上で、心理面をはじめ、家族、学校、職場などの社会・環境まで見据えた「全人的医療」を行うことで症状が改善されるのです。
このような心療内科の診療で特に大切なのは、患者さんに「触れること」です・・・

「明るい公務員講座」の活用

何人かの人から、「明るい公務員講座に世話になっています」と報告をもらいました。民間企業の方からもです。新しく管理職になった人に、活用してもらっているようです。

・以前読んだときは「なるほど」と思うだけでしたが、管理職になって読み返すと、「そうそう、これだ」と思い当たるところがいくつもあります。
・数ヶ月に一度、読み直しています。そのたびに、違う発見があります。自分が悩んでいる事案にぴったりの文章に出会うときです。
・職員として事務を処理していた頃が懐かしいです。部下の仕事ぶりを見て、自分で処理した方が絶対早いのですが。ぐっとこらえて、見守っています。
・部下の仕事ぶりに、思わず怒りたくなります。「怒ってはいけない」と自分に言い聞かせています。
・自分が課長になってみて、かつての上司が何に苦労していたかがわかりました。事務処理だけなら楽なのですが、出来の悪い部下の指導ばかりです。