「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

社会人1年生の苦手と好き

12月18日の読売新聞夕刊1面コラム「よみうり寸評」から。

発信者の知れないベルが突然鳴り、切っておく仕組みはないと、電話を批判した後で。
・・・世は移り、令和の社会人1年生を対象にしたシチズン時計の調査で、会社での「苦手な時間」の1番手に電話応対(37・0%)があがった◆携帯の登場で解消された古い性質は、一方で職場の電話に受け継がれている。出たくなくても切っておくわけにはいかない。電話応対ベタはかねて指摘されるスマホ世代の特徴だが、昭和の昔も嫌われた性質を苦手にしていると考えれば少し見方は変わる◆ちなみに「好きな時間」の1位は同僚・上司との雑談(37・3%)だった。忘年会で話しかける勇気を得た黒電話世代もあろう・・・

私は、管理職研修の話で、若い人は固定電話になれていないことを説明しています。
好きな時間の第一位が、同僚や上司との雑談ということも、研修で使いましょう。
シチズン時計の調査」には、ほかにも興味深い結果が載っています。

企業の出社回帰

12月14日の朝日新聞東京版に「出社回帰、オフィス需要堅調 優秀な人材確保へ、立地と設備重視」が載っていました。

・・・コロナ禍で広がった在宅勤務の流れが弱まり、出社回帰の傾向が一段と強まっている。オフィスで快適に働いてもらおうと企業は、オフィスの立地や設備をこれまで以上に重視し始めている。オフィスの立地として注目が急速に高まるエリアも出てきている。

不動産大手「森ビル」(港区)が5日に発表した「オフィスニーズ調査」(主に東京23区に本社を置く企業が対象)によると今年、出社率の平均は78%で、前年より2ポイント上昇。出社率は新型コロナウイルスの感染拡大後の2021年、62%まで落ち込んだが、急速に回復している。
背景には企業側の意向があるとみられる。ロイター通信が今年10~11月、国内の企業に社員の働き方を聞いた調査では、83%の企業が「従来型の出社が望ましい」と回答。「できるだけリモートを増やすほうが望ましい」とする回答(17%)の4倍超だった。意思疎通やコミュニケーションの点から、出社を求める企業が多いとみられる・・・

JR九州高速船の浸水隠し

11月7日の読売新聞に「高速船浸水隠し 安全二の次」が載っていました。

・・・JR九州の完全子会社「JR九州高速船」(福岡市)が、博多港―韓国・釜山港間を結ぶ旅客船「クイーンビートル」で浸水を隠蔽しながら3か月以上運航していた問題は、海上保安庁が10月に船舶安全法違反などの容疑で強制捜査に乗り出すなど波紋を広げている。背景には安全意識の著しい欠如と、親会社・JR九州のガバナンス(企業統治)の機能不全がある。同社は運航再開を目指すが、ハードルは高い。

なぜ浸水は隠されたのか――。JR九州高速船(社員約70人)が10月31日に国交省に提出した改善報告書に詳細が記された。
発端は2月12日。釜山港で船長が船首に約3リットルの浸水を確認した。報告を受けた運航管理者は「浸水量が少ないことなどから経過観察とし、関係機関へ報告は不要」と判断。安全統括管理者も「安全運航に支障はない」などと考えた。2人は船員経験が長い。
翌日、当時の田中渉社長(56)と両管理者、運航管理者代行の4人が打ち合わせをした。田中氏は両管理者から「(国に)報告すれば運航停止が必至」と聞き隠蔽を決めた。
船は1月にも浸水し、約2週間の運休後に再開したばかりだった。報告書は、田中氏の判断には予約のキャンセル対応で営業社員に再び相当の負担がかかるのを避けたいという思いもあったと記した。安全より会社の都合を優先した形だ。田中氏はJR九州の人事課長や長崎支社長などを経て2023年6月にJR九州高速船社長に就任。田中氏は今年8月13日に、両管理者は10月31日に解任された。

運航管理者は浸水が確認された翌日の2月13日、船長に外部に出さない裏管理簿に浸水量を記載するよう指示。量が増えた5月28日には運航管理者代行の指示で浸水警報センサーを上部にずらした。社長らも問題ないと判断した。
報告書によると、船長は疑義を持っても指示に従わざるを得ないと考えた。船員の多くも疑問を持っていた。2日後にはずらした警報センサーが鳴るほど浸水し、社長らは「営業運航不可」と判断。初めて浸水を把握したように国交省に虚偽報告をした。

航海士の養成経験が長い神戸大の若林伸和教授は「前代未聞で言語道断だ。航行中に亀裂が広がり浸水が急増すれば、沈没の恐れもあった。安全意識が欠如している」と非難する。14年に約300人が犠牲になった韓国のセウォル号沈没事故や、22年に26人が死亡・行方不明となった知床半島沖の観光船沈没事故に触れ、「根底にあるのは利益優先。甘い考えで悲惨な事故が起きてきた」と話す。
JR九州は16年に株式を上場。配当金支払い(昨年度は計146億円)など株主への利益還元の圧力にさらされていることが、問題の背景にあるのでは、との見方もある・・・

上司代行サービス 管理職なり手不足

11月9日の読売新聞に「上司代行サービス 管理職なり手不足 外部人材活用」が載っていました。

・・・会社の中核を担う課長や部長を外部から送り込む人材紹介の新たなサービス「上司代行」が注目を集めている。働き方や雇用形態が大きく変わる中で、管理職への昇進を断る若手社員が増えているためだ。かつては出世の登竜門であこがれの対象だった管理職に、何が起きているのか。

「上司代行」サービスを行っているのは東京都渋谷区の「Hajimari(ハジマリ)」。プロのフリーランス人材の紹介を手がけていたが、2年前から専門家を「上司」として企業に紹介するサービスを始めた。紹介先の上司に取って代わるのではなく、補佐して業務の推進や部下の育成にあたる。新入社員を指導する「メンター(教育係)」の管理職版ともいえる。
紹介する人材は大企業で新規事業の立ち上げに携わったり、組織の活性化で実績をあげたりした人ばかり。最近では大企業への紹介も増えており、中でも「代行上司に将来の管理職候補を育成してほしい」という依頼が多い。人材豊富なはずの大企業も、社外から上司を招き、将来の管理職候補の育成を委ねるほど、中間管理職の「なり手不足」は深刻になっている。
日本能率協会マネジメントセンターが昨年、従業員300人以上の企業に勤める一般社員1116人に行った調査では、77%が「管理職になりたくない」と答えている。32%は「今の仕事は楽しいが、管理職はいやだ」と答え、なりたくない理由のトップ(複数回答)は「自分には向いていないから」(52%)。以下「負荷が報酬と釣り合っていない」(30%)、「責任が重い」(26%)と続く。負担や責任の大きさから、管理職を目指す前から自分には不向きだ、と考えていることがうかがえる。

経営幹部と部下の板挟みに悩む「中間管理職の悲哀」は以前からあった。しかし、最近の管理職は、自ら現場に出る「プレーヤー」としても、部下を管理する「マネジャー」としても、以前より格段に負荷が増している。
働き方改革によって社員の残業時間は10年前の半分に減り、部下と分担していたプレーヤーの仕事を一人で背負うことが増えた。マネジャーとしてもパワハラ、セクハラに神経を使い、SDGs(持続可能な開発目標)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、コンプライアンス(法令順守)といった職場環境の変化にも対応しなければならない・・・

社員や職員と管理職に求められるものは異なります。社員や職員の全員が管理職に向いているわけではなく、また望んでいるわけではありません。
記事には、次のようなことが書かれ、諸外国との年収比較も載っています。日本の管理職の年収の低さは驚くばかりです。
・・・にもかかわらず、日本の管理職の報酬は国際的にも低い。米コンサルティング大手、マーサー社の昨年の調査結果によると、日本の一般的な管理職の年収は先進7か国(G7)では最低で、タイや中国よりも低い。マーサージャパンの伊藤実和子プリンシパルは、「終身雇用、年功序列の考え方が残る日本企業では、管理職は給与を上げなくても辞めないと見られているのではないか。忙しくなっても報酬が増えなければ、社員が管理職になるメリットを感じにくいのも無理はない」と話す・・・

稲継裕昭著『自治体人事評価Q&A』

稲継裕昭著『よくあるお悩みからレアケースまで 新版 自治体人事評価Q&A』(2024年、ぎょうせい)を紹介します。
国家公務員に新しい人事評価制度が導入され、2018年度から地方自治体でも本格的に導入されています。この評価制度がなくても、「勤務評定」はされていて、出世する人とそうでない人の選抜は行われていました。
人事評価は、能力や業績を見て、給与や昇進に生かすことだけが目的ではありません。対象職員の能力向上、やる気の発揮、そして組織の目標達成に活かすことです。

とはいえ、職員を評価することは難しいことです。通常の業務なら、上司や先輩のやり方を見て覚えることができるのですが、評価はそのような「予行演習」をしにくいのです。また、部下を低く評価することは、嫌なことですよね。
この本には、基礎的なことから、おちいりがちな問題なども、丁寧に解説されています。