カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

管理職は罰ゲーム?

「管理職は罰ゲーム」という話を聞きます。例えば、日経ビジネス連載「管理職 罰ゲーム」(2023年10月6日から)。
・・・企業の中核を担う管理職に異変が起きている。グローバル競争に勝つための新事業創出、働き方改革、コンプライアンス(法令順守)の強化──。あらゆる課題がその双肩に重くのしかかる。そう。心身共にすり減っているのだ。疲弊した管理職が「割に合わない」と働く意欲をなくしてしまえば、組織全体の活力は低下する・・・

2023年10月28日の朝日新聞、岡崎明子さんの「中間管理職は罰ゲーム? 働き方改革の成否占う炭鉱のカナリアは」に、問題点の指摘があります。
・・・最近、「管理職は罰ゲーム」といった記事をよく見かける。日本能率協会マネジメントセンターが今春、一般社員約1100人にアンケートしたところ、77%が「管理職になりたくない」と答え、その割合は5年前より増えていたという。
パーソル総合研究所が企業の課長など2千人を対象に実施した調査では、組織で「働き方改革が進んでいる」と回答した管理職の方が、「進んでいない」と回答した管理職に比べ、自身の業務量も、組織の業務量も増えていたそうだ。
残業規制されても仕事の量は減らず、人手も足りない。そんな負担感が高い管理職は意欲の低下、学ぶ時間が取れないなどの悩みを抱えていた。4年前の調査だが、今も状況は変わらないだろう・・・

かつては多くの人がなりたかった管理職が嫌われる。働き方改革の進んだ職場の方が、管理職の業務量が増える。私は、この原因は大きく二つあると考えています。

一つは、上司から新しい課題(新規事業や新規政策)を考えるように指示され、それを考えなければなりません。他方で働き方改革、法令遵守、男女共同参画、個人情報保護など職場と職員管理にこれまでにない要素が乗ってきています。

もう一つは、管理職が管理職になるための経験や研修を受けていないのです。日本の多くの職場で、優秀な職員が選抜されて管理職になります。かつては、それで管理職が務まっていたのです。部下たちは、大部屋で係単位で助け合って仕事をしてくれました。管理職が指示を出さなくても、引継書と経験者が教えることで仕事は処理されました。経験者が仕事の遅い職員を支援し、片付かない場合は残業をしてやり遂げてくれました。
しかし、新しい事業を考える際には、大部屋制は機能しません。一人に一台パソコンが入り、係単位での仕事も、一人一人で行うように変わってきています。管理職は部下に指示を出し、部下の相談に乗らなければなりません。その訓練ができていないのです。

職員が増えないのに仕事が増える。部下は働き方改革で残業をさせられない。すると、管理職に「つけが回ってくる」のです。

定年まで勤めたいは2割

12月1日の日経新聞「伊藤忠商事、新事業生む「複業」 週5時間で崩す縦割り」の記事に、「Z世代はキャリアの多角化重視、「定年まで在籍」2割」という文章がついています。

・・・総合商社は大学生の人気就職先ランキング上位の常連だ。だが近年は「一人前」までの下積みの長さや年功序列的な社風に嫌気がさし、外資系やスタートアップへの転職、起業を選ぶ若手も目立つようになった。
リクルートが26歳以下のZ世代に実施した調査では「どこの会社でも、ある程度通用するような能力が身につくこと」を重視する比率が上昇し、23年は18年比4.5ポイント増の75%だった。また現在在籍する企業で「定年・引退まで働き続けたい」との回答は全体の2割にとどまる。
人事制度に詳しいリクルートの藤井薫HR統括編集長によると、Z世代を中心に「1つの産業や職務でキャリアを終えたくない」という意識が強まり、複業や起業の需要が高まる・・・

「どこの会社でも、ある程度通用するような能力が身につくこと」を重視する人が増えることは、頼もしいことです。

顧客からの嫌がらせ、カスタマーハラスメント

11月27日の日経新聞夕刊に「「カスハラ」経験64.5% 土下座強要や居座りも クレーム対応担当者を調査」が載っていました。
・・・顧客からの嫌がらせや迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を直近1年間に受けた人は64.5%に上るとの調査結果を危機管理コンサルティング業「エス・ピー・ネットワーク」(東京)が27日までに発表した。土下座強要や長時間の居座りなどを経験した人もいた。
同社は「従業員を守れないと、人材確保に大きな影響を及ぼす」と指摘している・・・
取り上げられている行為は、執拗な言動や威圧的な言動で、「土下座を強要」「2時間近く居座り」「3時間以上の拘束」などが挙げられています。
カスハラの影響の質問(複数回答)では「メンタル・モチベーション低下」49.2%、「本来の仕事への圧迫」28.3%、「従業員の離職」20.9%です。

12月1日の読売新聞には「カスハラ被害経験52% 人材サービス会社調査 大声で威嚇、謝罪を要求」が載っていました。
求人サイトに登録している女性640人に、客から理不尽な要求などを突き付けられるカスタマーハラスメントの経験を尋ねたところ、52%が被害を受けていたとのことです。
「大声でどなられたり罵倒されたりする」「長時間しつこく問いただされる」「暴言をはかれる」などです。「お客様は神様ではないということを幅広い年代に理解してほしい」という期待や、「理不尽な要求など、正当性のないカスハラはもはや犯罪なので、どんどん警察に通報すべきだ」「法律で取り締まる方がいい。監視カメラなどでチェックが必要だ」と、毅然とした対応を求める意見もありました。

厚生労働省は昨年2月に対応の手引を策定しました。今後これを実効性あるものにすることが必要です。
役所では、早い時期から、行政対象暴力が問題になりました。

転職希望者1000万人

11月28日の日経新聞に「転職希望者1000万人突破 転職実績は横ばい」が載っていました。
・・・転職はしたいが、実際にはなかなか踏み切れない。総務省の労働力調査によると、そんな就業者の実態が浮かび上がる。2023年7〜9月平均の転職希望者は初めて1000万人を上回った。一方、実際に転職した人はほぼ横ばいだ。人手不足は深刻だが企業もやみくもに採用に走っているわけではない。
労働力調査によると、23年7〜9月平均の全国の就業者が6768万人。このうち15%にあたる1035万人が転職希望者だ・・・

しかし次のような指摘もあります。
・・・リクルートワークス研究所の調査によると、転職希望者の1年後の転職率は2割未満だ・・・

世界の転勤事情

11月27日の日経新聞夕刊「ニッキィの大疑問」に、「転勤、必要なの? 本人同意・説明が大前提に」が載っていました。

当たり前だった転勤を見直す動きが出ています。ある会社では、一般社員について同意のない転勤を廃止しました。転勤辞令を出すにしろ、必ず本人の意向を確認します。詳しくは記事を読んでいただくとして。

各国の事情が図になって紹介されています。
日本は、本人同意がなくても業務命令で転勤があるが約2割、本人同意があれば転勤があるが約2割で、合計約4割です。
アメリカでは、同意なくても転勤があるが5%未満、労働組合が同意すれば転勤があるが1割近く、本に同意があれば転勤があるなどが5割で、合計6割です。フランスは、本人同意なしで転勤ありが1割近く、労組の同意あればが1割、本人同意があればが5割近くで、合計7割です。(リクルートワークス研究所2020年「5カ国リレーション調査」)

日本は本人同意なしでの転勤が多いですが、転勤そのものはアメリカやフランスなどの方が多いのですね。ただしこれは制度であって、実際の社員が何人、何割くらい移動しているのでしょうか。