カテゴリーアーカイブ:人生の達人

定年まで勤めたいは2割

2023年12月15日   岡本全勝

12月1日の日経新聞「伊藤忠商事、新事業生む「複業」 週5時間で崩す縦割り」の記事に、「Z世代はキャリアの多角化重視、「定年まで在籍」2割」という文章がついています。

・・・総合商社は大学生の人気就職先ランキング上位の常連だ。だが近年は「一人前」までの下積みの長さや年功序列的な社風に嫌気がさし、外資系やスタートアップへの転職、起業を選ぶ若手も目立つようになった。
リクルートが26歳以下のZ世代に実施した調査では「どこの会社でも、ある程度通用するような能力が身につくこと」を重視する比率が上昇し、23年は18年比4.5ポイント増の75%だった。また現在在籍する企業で「定年・引退まで働き続けたい」との回答は全体の2割にとどまる。
人事制度に詳しいリクルートの藤井薫HR統括編集長によると、Z世代を中心に「1つの産業や職務でキャリアを終えたくない」という意識が強まり、複業や起業の需要が高まる・・・

「どこの会社でも、ある程度通用するような能力が身につくこと」を重視する人が増えることは、頼もしいことです。

作る技術と閉じる技術

2023年12月12日   岡本全勝

新しい課題に対応するため、法律を作ったり、新しい政策を作ったりします。それを実現するには、いくつかの技術が必要です。発想し企画書にする。組織内で了解を得て、外部の関係者に同意を取るなどなど。公務員も会社員も、そのような部署にいると、先輩たちを見たり前例を見て技術を身に付けます。

他方で、使命を終えた政策や優先順位が落ちた政策を閉じる必要も出てきます。ところが、これがなかなかやっかいな仕事なのです。時限にしておけば、期限が来ると終了しますが、その場合でも関係者からは「延期を」との要望が出る場合があります。

この閉じる技術は、時に作る場合より難しいことがあります。関係者の反対です。
この閉じる技術については、これまであまり取り上げられてきませんでした。新たに作ることは、担当者の自慢になりますし、周囲も取り上げてくれます。しかし、閉じることについては、周囲はあまり関心がありません。作って後世に残った場合は記録も書かれますが、閉じてしまった場合は記録も残されない場合が多いです。語り継ぐ後継者もいないのです。
戦闘においても、先駆け、先鋒は高く評価されますが、負け戦のしんがりは大変な負担なのに、あまり取り上げられません。

成熟社会になり、新しい課題への対応とともに、それらに予算や人を回すために、既存事業の廃止が必要になりました。これからは、閉じる技術を教える必要があるのでしょう。

人づてに人を褒める術

2023年12月7日   岡本全勝

12月1日の日経新聞文化欄に、道尾秀介さんの「伊集院静さんを悼む、人の気持ちを変える言葉」が載っていました。先日亡くなられた伊集院静さんの追悼文です。次のような話が載っています。

道尾さんにとって伊集院さんは、25歳年上の尊敬すべき先輩だったようです。ある小さなバーでボトルをキープしたら、隣に伊集院さんのボトルがあったそうです。
後に伊集院さんがその店に行き、ボトルの名前を見て、「道尾秀介のものか」と尋ねたそうです。ママさんが「そうですよ」と答えると、伊集院さんは「私は彼の小説のファンでしてね」と言ってくれたそうです。それを聞いた道尾さんの喜びは想像できます。

私が筋だけを紹介しても、深さを表現できません。ぜひ、道尾さんの原文をお読みください。この話以外にも興味深い話が、小説家の筆で書かれています。

近藤和彦先生「『歴史とは何か』の人びと」完結

2023年12月6日   岡本全勝

近藤和彦先生の、連載「『歴史とは何か』の人びと」(岩波書店の『図書』)が、12月号で完結しました。先生のブログ
15回にわたって、カーをめぐる人物を取り上げ、カーの人生に迫るとともに、当時のイギリス歴史学界を紹介してくださいました。先に紹介したように、とても面白かったです。

研究の成果は客観的なものですが、それを生み出す研究者の人生は生身であり、さまざまな付き合い、悩みなど単線的ではありません。もちろん、「このような境遇で、このような人生を送れば、このような成果が出る」というものでもありません。しかし、境遇と付き合いと本人の苦悩が、成果を生むこと、成果に色づけすることも間違いないでしょう。
で、この項目は、「歴史」ではなく、「生き方」に分類しておきます。

顧客からの嫌がらせ、カスタマーハラスメント

2023年12月6日   岡本全勝

11月27日の日経新聞夕刊に「「カスハラ」経験64.5% 土下座強要や居座りも クレーム対応担当者を調査」が載っていました。
・・・顧客からの嫌がらせや迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を直近1年間に受けた人は64.5%に上るとの調査結果を危機管理コンサルティング業「エス・ピー・ネットワーク」(東京)が27日までに発表した。土下座強要や長時間の居座りなどを経験した人もいた。
同社は「従業員を守れないと、人材確保に大きな影響を及ぼす」と指摘している・・・
取り上げられている行為は、執拗な言動や威圧的な言動で、「土下座を強要」「2時間近く居座り」「3時間以上の拘束」などが挙げられています。
カスハラの影響の質問(複数回答)では「メンタル・モチベーション低下」49.2%、「本来の仕事への圧迫」28.3%、「従業員の離職」20.9%です。

12月1日の読売新聞には「カスハラ被害経験52% 人材サービス会社調査 大声で威嚇、謝罪を要求」が載っていました。
求人サイトに登録している女性640人に、客から理不尽な要求などを突き付けられるカスタマーハラスメントの経験を尋ねたところ、52%が被害を受けていたとのことです。
「大声でどなられたり罵倒されたりする」「長時間しつこく問いただされる」「暴言をはかれる」などです。「お客様は神様ではないということを幅広い年代に理解してほしい」という期待や、「理不尽な要求など、正当性のないカスハラはもはや犯罪なので、どんどん警察に通報すべきだ」「法律で取り締まる方がいい。監視カメラなどでチェックが必要だ」と、毅然とした対応を求める意見もありました。

厚生労働省は昨年2月に対応の手引を策定しました。今後これを実効性あるものにすることが必要です。
役所では、早い時期から、行政対象暴力が問題になりました。