カテゴリーアーカイブ:人生の達人

管理職は罰ゲーム?

2024年1月8日   岡本全勝

「管理職は罰ゲーム」という話を聞きます。例えば、日経ビジネス連載「管理職 罰ゲーム」(2023年10月6日から)。
・・・企業の中核を担う管理職に異変が起きている。グローバル競争に勝つための新事業創出、働き方改革、コンプライアンス(法令順守)の強化──。あらゆる課題がその双肩に重くのしかかる。そう。心身共にすり減っているのだ。疲弊した管理職が「割に合わない」と働く意欲をなくしてしまえば、組織全体の活力は低下する・・・

2023年10月28日の朝日新聞、岡崎明子さんの「中間管理職は罰ゲーム? 働き方改革の成否占う炭鉱のカナリアは」に、問題点の指摘があります。
・・・最近、「管理職は罰ゲーム」といった記事をよく見かける。日本能率協会マネジメントセンターが今春、一般社員約1100人にアンケートしたところ、77%が「管理職になりたくない」と答え、その割合は5年前より増えていたという。
パーソル総合研究所が企業の課長など2千人を対象に実施した調査では、組織で「働き方改革が進んでいる」と回答した管理職の方が、「進んでいない」と回答した管理職に比べ、自身の業務量も、組織の業務量も増えていたそうだ。
残業規制されても仕事の量は減らず、人手も足りない。そんな負担感が高い管理職は意欲の低下、学ぶ時間が取れないなどの悩みを抱えていた。4年前の調査だが、今も状況は変わらないだろう・・・

かつては多くの人がなりたかった管理職が嫌われる。働き方改革の進んだ職場の方が、管理職の業務量が増える。私は、この原因は大きく二つあると考えています。

一つは、上司から新しい課題(新規事業や新規政策)を考えるように指示され、それを考えなければなりません。他方で働き方改革、法令遵守、男女共同参画、個人情報保護など職場と職員管理にこれまでにない要素が乗ってきています。

もう一つは、管理職が管理職になるための経験や研修を受けていないのです。日本の多くの職場で、優秀な職員が選抜されて管理職になります。かつては、それで管理職が務まっていたのです。部下たちは、大部屋で係単位で助け合って仕事をしてくれました。管理職が指示を出さなくても、引継書と経験者が教えることで仕事は処理されました。経験者が仕事の遅い職員を支援し、片付かない場合は残業をしてやり遂げてくれました。
しかし、新しい事業を考える際には、大部屋制は機能しません。一人に一台パソコンが入り、係単位での仕事も、一人一人で行うように変わってきています。管理職は部下に指示を出し、部下の相談に乗らなければなりません。その訓練ができていないのです。

職員が増えないのに仕事が増える。部下は働き方改革で残業をさせられない。すると、管理職に「つけが回ってくる」のです。

ケーキ破損、原因が特定できない

2023年12月31日   岡本全勝

12月に高島屋がネット販売したクリスマスケーキが、崩れた状態で客に届いた事件がありました。その原因について会社は、特定できないと公表しました。
・・・製造委託先や配送会社に調査した結果「原因の特定は不可能」と結論付けた。製造や保管、配送工程での温度管理は適切だったとしている・・・(日経新聞12月27日)。

これは困ったことです。原因がわからないと、今後も同様の事故が起きる可能性があります。2800個あまりを売って、そのうち約800個が壊れていたのです。1個や2個なら原因究明が難しいこともあるでしょうが、800個も、そして4個に1個が壊れているようでは、何か原因があるでしょう。少しでも、原因を絞り込めないのですかね。

それがわからないままに、今後も商品を売るのでしょうか。私が担当社員だったら、怖くて同じものは売れませんね。製造会社などを変える必要も出てきます。

在宅勤務でも会議は減らない

2023年12月28日   岡本全勝

ワシントンポストに、興味深い記事が載っていました。”Tired of too many meetings? These companies helped cut the excess. From no-meeting Wednesdays to focus weeks, companies are finding new ways to lessen workers’ Zoom overload” 12 月 26 日
登録すると無料で読めます。

パソコンが翻訳した日本語では、「会議が多すぎてうんざりしていませんか? これらの企業は過剰分の削減に貢献した。会議のない水曜日から集中週間まで、企業は従業員のZoomの過負荷を軽減する新たな方法を見つけている」です。
本文も、パソコンに翻訳してもらって読みました。まあまあ意味はとれます。

・・・企業は、コロナウイルスのパンデミックが最高潮に達している間、従業員の多くが自宅に閉じ込められていた従業員とのつながりを保つため、会議を拡大した。
しかし数年後、多くの人が少なくともパートタイムでオフィスで働いているにもかかわらず、圧倒的な数のビデオ会議が残っています。一部の企業は、疲労を軽減し生産性を高めるために、会議の文化を見直し、時間を短縮しています。
2020 年 2 月以降、Microsoft Teams ユーザーは 1 週間あたり 3 倍の会議と通話を行っていると同社は報告しています。労働者らは、会議が多すぎて非効率であることが、生産性に対する障害の上位 3 つのうちの 2 つであると報告しました・・・

記事では、会社が会議を削減し、社員が集中できる時間を確保する努力をしている様子が報告されています。欧米の職場では、文書によるやりとりが主だと聞いていたのですが、そうでもないのですね。
会議が仕事の邪魔だとは、拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』で主張しました。そこでは、集まっての会議を想定していたのですが、オンライン会議が普及しても、問題は同じですね。

役員も大部屋で、決定を迅速に

2023年12月17日   岡本全勝

11月30日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は、川上康・琉球銀行頭取の「役員も大部屋で、決定を迅速に」でした。

――琉球銀行には役員室がないそうですね。
「10年ほど前から頭取以下5人の役員が大部屋で一緒に仕事をしています。前任の頭取が始めましたが、実は20年ほど前、企画課長だった私が提案しました」
「役員ひとりひとりの部屋を回って説明するのは時間の無駄です。個室という密室にこもっていると考える方向性が少しずつずれてしまうと感じていました。目標に向けた価値観や情報の共有が重要なのに、部屋という壁があるとそれができない。提案は長く塩漬けになっていて、導入直後は反発もあったようですが、始めてみるとこれはいいということになりました」

――その効果は。
「意思決定の迅速化です。新型コロナウイルス禍になる前の18年秋の融資方針の転換がいい例でした。当時の県内は大変な好況でした。沖縄に観光客が押し寄せ、住宅建築着工数も伸びていました」「一方でオーバーツーリズムが大きな問題になりつつありました。建築費が上昇しアパート運営も利益が出にくくなっていたし、ホテルは供給過剰が懸念されていました。そして18年7月の観光客数が約6年ぶりに前年同月を下回ったと県が発表しました」
「ちょっと集まってくれ、と目の前に座る役員に声をかけました。景気の変わり目だと思うが、皆さんはどう思うかと尋ねると、彼らもそんな気がしていたという。ならば融資の審査基準を上げようと、その場で意思統一。役員は審査や営業など担当部門に散って融資基準を練り直しました。20年度からの中期経営計画は、不景気を前提に計画を作ることができました」

――そうした環境を作るうえで何が大切ですか。
「強固なチームワークを築き担当役員に仕事を任せることです。一番まずいのが権力の集中。自分の思い通りにできるかもしれませんが個人のリソースは限られます。何でも自分で決めようとすると判断速度が落ち、マーケットにおいてけぼりにされてしまいます。さらに部長や課長は、担当役員を軽視するようになるでしょう」
「担当役員が時間をかけて検討する方がいい結果になる。多少の齟齬は生まれますが、そこは互いが話し合えばいい。その意味でも大部屋は役立ちます」

カレーライス作りの作業手順書

2023年12月15日   岡本全勝

木曜日お昼のNHK「サラメシ」を、職場で弁当を食べながら楽しみに見ています。木曜日夜の番組の再放送ですが、夜は見ることが難しいので。
サラリーマンの昼ご飯を見せてくれるのですが、多くの場合は職場の紹介になっています。私が楽しみにしているのは、そちらの方です。工場などで、こんな風に製品が作られているのだとか、社員はこのような作業をしているのだというのが、興味深いです。

12月14日は福島県の岳温泉の「湯守」(引湯管の中に詰まった湯花を掃除する)のほかに、広島の切削工具を製造する工場での社員全員でまかないカレーを作る話でした。これが勉強になりました。
カレーライスを作るのに、作業手順書を作るのです。用意する食材や器具、何人で何を買い出しに行くか、調理の手順などが書かれています。包丁を使う際には気をつけることまで。そこまでしなくてもと思いますが、この工場では作業手順書は当然のことなのです。初めての社員でも、できるようにしているのです。
当日はその作業手順書に従って、全員が取り組みます。順調に進むのですが、うまくいかないこともあります。隠し味にチョコレートを入れるのですが、暑さでチョコが溶けてしまいました。すると、作業手順書に「溶けないように冷やしておく」と加筆します。なるほど。

工場長は、社員のコミュニケーションを強化するために始めたと語っておられますが、社員に一体感を持たすとともに、作業手順書の重要さを認識させることになるのでしょう。ベテランの経験だけに頼らない、新人でも作業ができるのです。さすがです。役所も見習わなければ。