カテゴリーアーカイブ:人生の達人

自分で市場価値を高める社員

2024年2月22日   岡本全勝

2月5日から、日経新聞2面に「ワクワク働いていますか」という連載が載っていました。6日の第2回は「働くZ世代「頼れるのは自分」 市場価値向上に貪欲」でした。

・・・都内のシステム開発会社に勤めるエンジニアの日高僚太(24)は午後7時半に仕事を終えた後、再びパソコンに向き合う。ここからは副業の時間。クラウドを使って働きたいエンジニアのメンターとして、IT(情報技術)スキルを教えている・・・本業ではプロジェクト責任者として働く。
「社内外で多くのことを吸収し、成長するのが喜び」と日高。目まぐるしく必要な技能や知識が変わるITの世界で「頼れるのは自分」とも強調する・・・

・・・若者は仕事で何に成長を感じるのか。取材班が働くZ世代(1990年代半ば〜2010年代初頭生まれ)50人に聞くと、「知識や経験値が増えること」と「結果を残すこと」との回答がそれぞれ約3割にのぼった。
Z世代は多感な時期にリーマン・ショックや東日本大震災を経験した。最近は新型コロナウイルス禍が起き、経済や社会の不安定さを目の当たりにした。芽生えたのは組織に身をすべて委ねることへの不安。目に見える実績や数字を追い求め、自分の市場価値の向上に貪欲だ・・・

・・・機能性衣料品を手がけるスタートアップ、TENTIAL(テンシャル、東京・中央)で働く石川朝貴(28)は中国の消費者に熱心に問いかける。石川は同社の海外展開の責任者。現地の消費者のニーズを聞き取る市場調査に奔走する。「自分にしか出せない結果を残したい」と目を輝かせる。
販売職で入った前職の大手メディアは残業がないなど職場は「ホワイト」だった。うんざりしたのは何をするにしても色々な上司の承認が必要な「はんこリレー」。仕事のスピード感が遅く3カ月で退職した・・・

・・・今の若者は成長に「タイムパフォーマンス」(時間効率)も求める。
転職サービス「doda(デューダ)」では、入社直後の2023年4月に転職サイトへ登録した新社会人が11年から23年にかけて約30倍に増えた。スキル向上や責任ある仕事の機会を与えなければ、熱意ある若者は企業から去っていく・・・

仕事の進め方、市町村アカデミー

2024年2月19日   岡本全勝

市町村アカデミーでの仕事についてです。
昨年から、運営に関して新しく大きな仕事を始めました。専門家を交えて、1年間の検討の結果です。仕事を増やしたのは私なのですが。これについては、紹介する機会もあるでしょう。

この仕事は方針を決めてあるので、担当者たちに任せておけばよいのです。とはいえ、気になるので、時々状況を聞きに行っていました。すると、職員が定期的に報告してくれるようになりました。さらに、それを様式にして、日を決めて電子メールで送ってくれるようになりました。ありがたいですね、効率化を考えてくれるのは。

もう一つは、先日書いた動画配信です。「まずは試行してみよう」と言ったのは私ですが。誰を対象に、どのような内容にするか、見ることができる範囲はどうするか、その仕組みはどうするかなど、いろいろ課題はあるのですが、それを解決してくれました。
で、私に「出演しろ」と要求してきました。断るわけにはいきませんね。

市町村アカデミーの任務は、市町村職員への高度な研修の実施です。それは変わりません。「百年一日の研修をしているのだろう」と思われる方もおられるかもしれませんが、そうではありません。市町村現場での課題は、急速に変化しています。
研修主題、内容、講師などは、毎回、受講生の意見と教授陣の検討を元に、見直す仕組みができています。さらに今回書いたような、業務運営や研修方法なども、社会の変化に応じて変えていかなければなりません。資料を、紙から電子情報に変える試みも始めています。
職員が積極的に取り組んでくれるのは、うれしいです。

人生の意味は誰が決めるのか3

2024年2月18日   岡本全勝

人生の意味は誰が決めるのか2」の続きです。自分の人生の意味を考えることについてです。人生が自己発見の過程であるとすると、最初から目標があり、物差しがあるわけではありません。

私が心がけてきたことは、その場その場で精一杯生きることことです。
官僚という職業を選んだので、仕事が社会の役に立つことは疑う必要はありませんでした。仕事の中で判断に迷うこともありましたが、「後世の人に説明できるか」「閻魔様の前で胸を張れるか」を判断基準にしてきました。もっとも、いつもいつも正々堂々と立派に行動してきたとは言えません(恥ずかしいです)。

どのような職業を選ぶか、そしてどのような生活を送るかは、人それぞれです。しかし、棺桶に入ったときに「私は精一杯生きた。悔いはない」と言える人生が「善い人生」なのではないでしょうか。
希望して努力してもうまくいかない場合も、偶然や不条理なことで夢が実現しないこともしばしばあります。いえ、そのようなことの方が多いでしょう。
結果がうまくいくことはうれしいことです。しかし、うまくいかなくても「私は努力した」ということに価値があると思います。「心情倫理と責任倫理」、私の言葉では「努力倫理と結果倫理」です。

前回の話に戻れば、人生の意味は、本人が考える場合は「夢に向かってどれだけ努力したか」によって測られ、社会からは「どれだけ家族や社会に貢献したか」で測られるものではないでしょうか。
とはいえ、この問題は、人によって考え方が異なるでしょう。また、このような短い文章で語ることには向いていませんね。

目的地にゆっくり行く

2024年2月17日   岡本全勝

2月14日の読売新聞「余白のチカラ」に「近道でなく 寄り道ナビ 絶景・名所巡り 運転楽しく」が載っていました。

・・・「この先で道を一本外れましょう」。スマートフォンからルート案内が流れると、千葉県君津市の山岳道路「房総スカイライン」を走っていた岩下宗伯さん(48)はハンドルを左に切り、林道に入った。
昨冬、妻をドライブに誘い、千葉・房総半島に向かった。川崎市の自宅を出て、木更津市内の道の駅に着くと、道案内アプリ「SUBAROAD(スバロード)」を起動。半島最南端の野島崎を目指した。
このアプリは、カーナビのように目的地までの最短ルートを案内するわけではない。時には脇道にそれ、知る人ぞ知る絶景や名所へとドライバーをいざなう・・・
・・・カーナビなら約70キロ、1時間10分の道のりが、約100キロ、3時間のドライブとなった。「ナビでは案内されない場所に行けて、走りがいがあった」と岩下さんは満足そうに話す・・・

いいですねえ。日本社会も個人も、がむしゃらに走ってきました。仕事は相変わらず「早く」とせき立てられますが、余暇や老後はゆっくりと行きたいものです。
私の休日の孫との散歩も同じです。途中でいろんなところに寄り道して、ゆっくりと時間を過ごしています。
かつて交通安全標語に、「狭い日本、そんなに急いでどこに行く」という名文句がありました。

再雇用職員の戦力化

2024年2月16日   岡本全勝

1月31日の日経新聞経済教室、奥田祥子・近畿大学教授の「人事制度を現役並みに シニア層戦力化の課題」が勉強になりました。多くの職場で、悩んでおられると思います。詳しくは本文を読んでいただくとして。現役世代の給与体系を変えないと、解決しないようです。

・・・まず、定年後の働き方の現状を整理する。労働政策研究・研修機構の「60代の雇用・生活調査」(19年実施)によると、60〜64歳男性のうち「会社、団体などに雇われて」が最多で70.7%を占めた。雇用形態は非正規雇用が58.1%で、正社員(37.1%)の1.6倍である。
賃金と仕事内容はどうか。パーソル総合研究所が21年に行ったシニア従業員への調査によれば、定年後再雇用の人々(男性405人、女性186人)の年収は定年前と比べ、平均して44.3%低下していた。ところが半数が「定年前とほぼ同様の職務」(55.5%)で、「定年前と同様の職務だが業務範囲・責任が縮小」(27.9%)と合わせて8割強がほぼ同じ職務に就いていた。
再雇用の多くが1年単位の契約更新制の非正規社員だが、仕事が変わらないのに正社員と差をつけるのは、本来は「同一労働・同一賃金」の原則(パートタイム・有期雇用労働法)に抵触する。処遇に合わせて仕事の質や責任の程度を下げる企業もあるが、本末転倒な面は否めない。

筆者の長期継続インタビューを中心とする研究では、社会の中枢に位置する男性は、多くが「出世競争に勝たなければならない」「高収入を得て、社会的評価を得るべきだ」といった旧来の「男らしさ」のジェンダー(社会的・文化的性差)規範にとらわれている。その結果、年収や待遇の低下は、モチベーション低下に直結する。
定年前に部長など上位の役職を経験した人ほど不満を募らせ、働く意欲を喪失する傾向が強いことが、筆者の調査からも明らかになっている。具体的には、「元部下にあごで使われるのが我慢ならない」「定年までの実績を否定されたようでやる気が湧かない」といった声が聞かれた。
シニア層の意欲低下には、こうした人生やアイデンティティーに不安や葛藤を抱く「中年の危機(ミッドライフ・クライシス)」が長引き、定年を境に、抑うつ症状などの心理的危機の新たな波が押し寄せるケースが増えていることが背景にある。実際、「仕事にやりがいがない」「自らの働きが会社に認められていない」などの声があった。

この主因として挙げられるのが、定年後のシニア社員に対する人事制度である。定年に達すると、機械的に以前適用されていた職務や役割、能力によってランク分けする等級制度からは対象外となり、人事評価も行われないケースがほとんどだ。成果報酬、多面評価などを取り入れているような企業であっても、定年後は突如、通常の人事制度から排除される。
多くが定年前後でほぼ同じ業務に就いているにもかかわらず、期待される役割や責任が明確に示されず、報酬も激減する。どのように貢献すればよいのかわからないまま、期待役割を担い、会社の役に立っているという実感を抱きにくくさせていると考えられる・・・