カテゴリーアーカイブ:人生の達人

生涯の生活設計

2026年2月7日   岡本全勝

地域社会ライフプラン協会の情報誌『ALPS』1月号の特集は、「シングルライフ」です。「シングルの家計管理」「シングルライフの「不安」や「困りごと」をサポートするサービス」などが載っています。

ライフプランという言葉も、今では普通になりましたが、そんなに古い言葉ではありません。協会のホームページには、次のように書かれています。
・・・『生涯にわたって充実した生活を送るための人生設計』を“ライフプラン”と呼んでいます。広い視野から見ると、その人個人だけでなく、家族を含めた生活設計といえます。
私たちは、「マイホームを持ちたい」「子どもを希望通り進学させたい」「退職後、海外に長期滞在してみたい」など、様々な夢や希望を持っています。
ライフプランとは、自分や家族に関する将来の夢や希望を明確にしたうえで、その実現のために作成する総合的な計画のことです。
このページでは、地方公務員をはじめとする皆様にライフプランに関する基本的な考え方や具体的な作成方法についてのコンテンツを紹介しています・・・

・・・人生100年時代といわれるようになった昨今、退職後にはそれまでの労働時間に匹敵する、あるいはそれ以上の自由時間を持てるようになります。あなたの人生を、現役時代から生涯にわたって有意義で充実したものにするために、「生きがい(仕事・家族・個人・社会)」をもつことと、それをしっかり支える生活基盤である「家庭経済」「健康づくり」の“3つの要素”をバランスよく計画し、実践していくことが大切です・・・

家族や地域社会で支え合って生きていた時代、会社など勤め先が面倒を見てくれた時代が終わり、自分と家族の人生を各自が設計し責任を持たなければならない時代がやってきました。しかし、私たちは、まだそのような状況に慣れていないようです。

ストレスとの付き合い方

2026年2月4日   岡本全勝

1月14日の読売新聞「心身の異変 自分知り改善」から。

・・・「ストレス社会」と呼ばれる現代。2人に1人以上が「ストレスがある」ことを自覚しているとされる。ストレスを抱えて心身に不調をきたしてしまう人も少なくないなか、最新研究からストレスの正体に迫り、上手なつきあい方を探る。

「ストレス」という言葉には原因となる刺激の「ストレッサー」と、受けたときに生じる「ストレス反応」の二つの意味がある。世界的には戦争や病気などを背景に、この考え方が広がり、1936年、カナダ人生理学者のハンス・セリエ氏が学説として発表した。
日本で広く知られるようになったのは95年、阪神大震災でのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、2015年に大手企業の社員が、長時間労働の後に命を絶った問題などとされる。ただ、1990年前後のバブル絶頂期、「24時間戦えますか」のキャッチフレーズの裏でも多くの人が過労ストレスによる不調の末、倒れていたとみられる。

ストレス反応は、敵と遭遇したときの「闘争―逃走反応」として、人間に備わる本能だ。命の危機に対し、心拍数や血糖値を上げ、筋肉を緊張状態にし、その一瞬を乗り切る。現代社会のように、長く続くことは想定されていない仕組みだ。
危険やストレスがあると、恐怖や不安などの感情を作り出す脳内の「扁桃体」が反応し、「視床下部」を介して、コルチゾールやアドレナリンなどの物質が体中に伝わる。自律神経系のうち交感神経が働くと、体は緊張状態になる。人間には、体の状態を一定に保つ「恒常性」があり、副交感神経が体を休める働きを担う。このバランスが崩れると、心身に影響が出る。

症状が表れやすいのは、その人の一番弱い部位と言われる。筋骨格系が弱っていると頭痛や肩こりが起き、呼吸器系ではぜんそくが悪化する。血管が弱って動脈硬化が進むと心臓病のリスクが高まる。免疫に影響して風邪を引く人もいる。
胃腸の異変を経験する人も多い。日本人の10~20%が抱える過敏性腸症候群(IBS)は腸に異常はないのに下痢や便秘が続く。脳と腸は相互に影響し合っており、腸が不調だとネガティブな感情になることもある。
セリエ氏は「ストレスは人生のスパイスである」と語った。ただ、昭和医科大ストレスマネジメント研究所の中尾睦宏所長は、ストレスへの耐性には個人差があるとし、「心身の不調は体が出す早期のサイン。長引くと重い病気や精神疾患につながりかねないので、気づいたら体を休めてほしい」と訴える・・・

反論は3度目に、2

2026年2月3日   岡本全勝

2月1日の「反論は3度目に」について、肝冷斎が教えてくれました。「礼記」曲礼上に、次のようにあるとのことです。

為人臣之礼、不顕諫、三諫而不聴、則逃之。子之事親也、三諫而不聴、則号泣而随之。

人臣の礼たる、顕諫せず、三たび諫して聴かれずんば、すなわちこれを逃る。子の親に事(つか)うるや、三たび諫して聴かれずんば、すなわち号泣してこれに随う。

臣下のやり方としては、あからさまな諫言はしてはならない(隠喩でしなければならないんです)。三回諫言しても言うことを聞いてくれなかったら、その国(会社)を去りなさい。子どもが親に仕えるときは少し違います。三回諫言しても言うことを聞いてくれなかったら、大声を出して泣きながら親の指示に従わねばなりません。

幸福度高い人は主体的に行動

2026年2月3日   岡本全勝

1月13日の日経新聞に「第3回日経統合ウェルビーイング調査」が載っていました。ウェッブ紙面では出てこず、こちらに載っていました。「ウェルビーイング」って、日本語で言えば幸福感でしょうか。カタカナ英語の方が格好良いと思うのですかね。

・・・個人の主観的な幸福感を意味する「ウェルビーイング(Well-being)」を重視し、その向上を実現しようとする企業が増えてきた。従業員たちの間でもウェルビーイングの概念を理解し、それを追求する潮流が目立っている。日本経済新聞社では2023年から、企業に勤める従業員一人ひとりのウェルビーイング実感を測定し可視化する「日経統合ウェルビーイング調査」を実施。第3回となる25年調査から見えてきたのは、ウェルビーイング実感の向上と社員のエンゲージメントや仕事への自発性が密接に関連している実態だった。

「日経統合ウェルビーイング調査」は伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長が監修。3回目となる今回は、2025年6月から8月にかけて上場企業の正社員モニター1万人(ベンチマーク)と、「Well-being Initiative(ウェルビーイング・イニシアチブ)」(21年3月に発足)に参加する企業の従業員2万2357人を対象に実施した。

ウェルビーイングの実感に関しては直近3カ月から6カ月でどの程度ウェルビーイングを実感できているかを、0点(全くそう思わない)から10点(とてもそう思う)の11段階で聞いた。7点以上の評価を付けたウェルビーイング実感の高い人の割合は、イニシアチブ参加企業の従業員で37.9%に達し、前年より5.3㌽増えた。ベンチマークでこの比率は33.4%と、こちらも前年より4.4㌽アップした。
ただ、ベンチマークを年代別に見ると、ウェルビーイング実感が高い人の割合が20代男性の48.2%、20代女性の47.6%と高率なのに対し、男性は50代で31%、女性は40代で33.3%まで低下してしまう。入社10年を過ぎるあたりからウェルビーイング実感が低下していく傾向が鮮明で、中高年層の「働きがい」「生きがい」をどう高めていくかが課題と言えそうだ。

ウェルビーイング実感が高まるとどのような成果につながるかも検証された。ベンチマークのうちウェルビーイング実感が7点以上の人と4点以下の人に、「勤め先に貢献できていると感じる」「今後もこの会社で働き続けたい」「今の職場に愛着がある」「就職を希望している人に自社を薦めたい」という4問を聞き、「そう思う」と答えた人の割合を算出した。(図2)
その結果、すべての質問でウェルビーイング実感が7点以上の人が4点以下の人を上回り、所属企業へのエンゲージメントが高いことが明らかになった。同様に「自ら手を挙げて新たなプロジェクトや業務に挑戦している」「自分は主体的に担当業務の効率化・改善に取り組んでいる」「自分は提案制度に応募・参加している」「自分は主体的にリスキリングや学び直しを行っている」の4問に対しても、ウェルビーイング実感が高いグループが低いグループを上回った。調査結果からウェルビーイングが高い人は、エンゲージメントも高く、主体的な行動をとる特徴があることが浮かび上がった。
ただ、4点以下のウェルビーイング実感が低い人たちは、各質問に対し「制度・機会がない」と回答しているケースが目立った。調査を担当した日経リサーチでは「従業員を幅広く対象にした提案募集やリスキリング制度を設け参加しやすい風土を醸成することが重要」と解説している・・・

反論は3度目に

2026年2月1日   岡本全勝

成沢光著『現代日本の社会秩序: 歴史的起源を求めて』(1997年、岩波書店)、138ページに、次のような記述がありました。江戸時代、武家社会に作法や規律がどのように広められたかを書いた章です。暴力を生業としていた武士が、平和な時代に宮廷のような作法を求められます。
・・・上司の命令が理不尽な場合、二度までは反論せず、作法通り挨拶し、三度以上に及んで初めて目付に申し出るべきところ、違反した者は処分された・・・
出典は、氏家幹人著『江戸藩邸物語ー戦場から街角へ』(1988年、中公新書)とのことです(この本も読んだけど、覚えていません。本もどこに行ったかなあ)。

私は旧自治省に採用された際に、先輩から「起案の処理などに不満があったら、二度までは異論を言ってよい。三度目は、はんこを押すか(同意するか)、辞職するかを選べ」と教えられました。何度も異論を唱えましたが、勇気がなくて、一度も辞職しませんでした。総理大臣の前では、異論を言うのは一回にしました。
この武士の作法と少し異なりますが、「二度は耐えよ」という点では、共通しています。今から思うと、「すぐに熱くならず、頭を冷やして考えよ」との意味があったのだと思います。

私なら、「まずは、同僚などに相談してみよ」と助言します。その上司に直接言っても、相手にしてもらえない場合もあります。上司が間違ったことをしていたら、指摘しても聞き入れてもらえないでしょう。本人が故意に違法行為をしていたり、あるいは部下に指摘されて気づいたりする場合もあります。いずれにしても、自分の間違いを認めたくはありません。
『現代日本の社会秩序: 歴史的起源を求めて』については、別途、紹介したいと思います。