カテゴリーアーカイブ:人生の達人

中途採用の増加、3大銀行で5割に

2024年5月15日   岡本全勝

5月2日の日経新聞に「3メガバンク中途採用5割に迫る 24年度、三菱UFJは6割」が載っていました。

・・・3メガバンクの2024年度の採用計画が出そろった。三菱UFJ銀行は中途で23年度比7割増の600人を採用し、新卒を初めて上回る見通しだ。3メガ銀全体で中途比率は45%と5割に迫る。デジタル化や富裕層向けビジネスの重みが増すなか、新卒一括採用で様々な部署を経験させて人材を育成してきた従来の手法が転機を迎えている。
三菱UFJ銀行は24年度に中途600人、新卒400人を採用する計画で、中途の数がはじめて新卒を上回る見通しだ。23年度は中途347人、新卒354人だった。システムやデジタル関連などに重点を置き採用する。
三井住友銀行の中途採用は過去最高だった23年度と同水準の200人となる見通し。持ち株会社や銀行などのグループ各社で従業員を一括採用するみずほフィナンシャルグループ(FG)は、23年度実績比では減少するが22年度比では2割以上多い400人を採用する。
24年度の3メガ銀の中途採用は1200人に達する見通し。中途、新卒を合算した3メガ銀の採用数は2650人となり、中途比率は45%と5割に迫る勢いだ。

これまでは3メガ銀の中途採用の割合は18年度で5%にとどまるなど、新卒一括採用を優先する色が濃かった。日本経済新聞社の採用計画調査では同じ時期に主要企業は20〜30%程度で推移しており、24年度は4割に達した。3メガ銀の中途採用の割合は新型コロナウイルス禍を経て主要企業とほぼ同水準に追いついたことになる。17年度以前も各行中途は数十人規模といい、全体の割合からみてわずかだった。24年度の中途比率45%は過去最高とみられる・・・
中途採用者の増加が与える衝撃

新社会人の壁の乗り越え方

2024年5月14日   岡本全勝

5月2日の日経新聞夕刊に「新社会人の壁 乗り越え方は」が載っていました。

・・・就職したばかりの新社会人の生活は、希望に満ちあふれている半面、不慣れな状態が続いて心身の疲れもたまりがちだ。研修や初めての業務が難しいと感じたり、うまくいかずに自信を失ったりする場面もあるだろう。壁をどう乗り越えるか。生き生きと健やかに働くためのコツを専門家に聞いた・・・

高野知樹さん(精神科医、神田東クリニック院長)
――最近の新入社員の特徴は。
「産業医として気づくのは、上司と距離を置き、あまり相談をしない傾向だ。不調になるとすぐに病院に行き、職場に診断書を出すケースが目立つ。社会人が仕事を休むのは大きなことだ。重症でなければ、休まずもう少し働きながら治療する道もある」
「以前は『仕事の負担が重い』『調子が悪い』などと上司に相談し、上司は負担を減らす、仕事の内容を変えるなどで調整したものだ。近年はそういったプロセスを踏まず、外部で受診しすぐに休みに入ろうとする」
「仕事や職場になじめないときは環境を変えるのも大事だが、まずは自分が変わっていく可能性を探りたい。この職場で自分ができることは何か。今の場所になじむ過程でやりたいことが見つかるかもしれない」

道谷里英さん(順天堂大学国際教養学部先任准教授)
――仕事で分からないことも多岐にわたる。
「新入社員には相談することにハードルがあり、『分からないことがあれば聞いて』と言われてもできない。『自分で考えろ』と言われると思って質問できなかった人、就職活動で『できる』とアピールしたから弱いところは見せられないと思う人もいる」
「『自分でやりたい』『認められなくては』との思いから、困っていたり分からなかったりしても人に聞かず、その結果失敗して周りから助けられる、という経験をすることが多い」

――助けを求める際のコツは。
「『分からない』と発さないと、周りも助けようがない。協力して仕事を進めるには、困っていることを伝えた方が周りの人も助かる。『何も分からない、助けて』といったSOSの出し方でもいい」
「話せそうな人をいかに見つけるか、がポイントだ。会社にはいろんな人がいて、合う人は絶対にいる。社内の非公式なつながりは状況を共有しやすく、支えになる。例えば少し上の先輩がこの会社でどう生き残ってきたのか、話を聞けると楽になる」

悩んでいる新採職員には、拙著『明るい公務員講座』を読んでほしいです。そこには、「一人で悩むな」と書いてあります。薦めてください。

世界に広がる日本語「いきがい」

2024年5月12日   岡本全勝

4月23日の朝日新聞に「地球の反対側のにほんご:上 IKIGAI 海越えて、世界に広がる日本の心」が載っていました。

・・・「あなたの生きがいは?」
そう問われると、何を思い浮かべるだろうか。
「生きがいということばは、日本語だけにあるらしい」。ハンセン病治療で知られる精神科医の神谷美恵子は、1966年の著書「生きがいについて」(みすず書房)でそう語る。続けて、「こういうことばがあるということは日本人の心の生活のなかで、生きる目的や意味や価値が問題にされて来たことを示すものであろう」と考察する。
ただ、生きる意味が問題になるのは、日本人の心のなかだけではない。いま、この「生きがい」という日本語は、世界でそのまま“IKIGAI”として広く使われるようになった・・・

・・・ “IKIGAI”の言葉が伝えられたのは、ブラジルだけではない。東京在住のスペイン人作家、エクトル・ガルシアさん(43)が16年に出版した自己啓発本“IKIGAI”は、米国など70カ国で、500万冊以上売れている。
ガルシアさんは04年に来日し、12年に日本人女性と結婚した。日本語を学ぶ中で、「わびさび」「もののあわれ」「生きがい」など、気になる言葉が次々と出てきた。スペイン語にはない言葉だった。

本の構想が生まれたのは13年ごろ。旅行に来た友人のスペイン人作家と神奈川県に行った。江の島を歩きながら「生きがい」について話すと、友人も同様に関心を持っていることが分かり、一緒に本を書くことになる。長寿の村として世界的に知られる沖縄の大宜味村にヒントがあると考え、2人は村に住み込んで住人ら100人に話を聞いた。
村の人々の「生きがい」の秘訣は、毎朝畑に出て自然に触れること、友人と会うこと、笑うこと、腹八分でいること――。難しく捉えることなく、「畑仕事」や「家族」など、ささやかな日々の暮らしに「生きがい」を見いだしていた。
村人の生き方を本で紹介すると、米国やインド、トルコといった国々で爆発的に売れた。ガルシアさんはこう話す。「政治や経済の状況が悪くなると、人生に悩む人も増える。だから今、『生きがい』が注目されているのだと思う。ぜひ、それぞれの『朝起きる理由』を見つけて欲しい」・・・

500万冊とはすごい。キリスト教文化圏では、生きる意味はキリスト教が教えてくれたからでしょうか。

用之則為虎、不用則為鼠

2024年5月11日   岡本全勝

難しい古典漢文の説明を続けている肝冷斎。時には、私にも分かる話があります。5月9日の「各自有時(山谷題跋)」。

「用之則為虎、不用則為鼠」「これを用うれば虎と為り、用いざれば鼠と為る」が出てきます。
漢の賢者・東方朔の言葉だそうです。「それを活躍させてやればトラにもなるだろう。活躍させないのならネズミになってしまうだろう」

個人を静かにさせれば安定し、活動させれば不安になる。尊敬されるように配慮するなら将軍にもなろうが、これを抑圧すれば捕虜になってしまう。持ち上げれば青雲のかなたにまで昇っていくだろう、だが、抑圧すれば深い淵の底に沈む。
こういうよい時代であれば、たとえ賢者がいたとしても、功績を立てるところはもう無いのだ。故に曰く―時代が違えば事態も違う。

しかし、活躍すべき場を与えられたのに虎にならず、猫になってしまう人もいますよね。

選手を怒らない指導

2024年5月6日   岡本全勝

4月25日の日経新聞夕刊連載「人間発見」、スポーツ心理学者 田中ウルヴェ京さんの「五輪がゴールじゃない」第4回「米国のコーチ留学で衝撃」から。田中さんは、シンクロナイズドスイミング(当時)のオリンピックメダリストです。

・・・ 24歳で米国にコーチ留学。日本と違う指導に衝撃を受けた。
当時の米国はシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)世界一の国です。私の受け入れ先となってくれたカリフォルニア州ウォールナットクリークのクラブは、複数の五輪金メダリストが在籍する名門でした。米国代表監督のゲイル・エミリーさんの横で4年間、毎日指導を見させてもらいましたが、一番驚いたのが選手に掛ける言葉です。
「楽しんで演技しよう」「自信を持って」「ファンタスティック!」。エミリーさんの発する言葉は前向きなものばかりでした。日本で「ちゃんとやりなさい」「そこは丁寧に」とミスの指摘や注意の言葉ばかり聞いてきた身には、大きなカルチャーショックでした。

もちろん、練習でミスも出ます。でも、エミリーさんは選手には聞こえないよう、私の耳元で「最悪だわ」とボソッと吐き捨てるように言って怒りを鎮めていました。選手にぶつけても、うまくはならないというのです。世界一の実績があるだけに、これが強くなる指導なのだと胸にストンと落ちました・・・