カテゴリーアーカイブ:人生の達人

上司代行サービス 管理職なり手不足

2024年11月22日   岡本全勝

11月9日の読売新聞に「上司代行サービス 管理職なり手不足 外部人材活用」が載っていました。

・・・会社の中核を担う課長や部長を外部から送り込む人材紹介の新たなサービス「上司代行」が注目を集めている。働き方や雇用形態が大きく変わる中で、管理職への昇進を断る若手社員が増えているためだ。かつては出世の登竜門であこがれの対象だった管理職に、何が起きているのか。

「上司代行」サービスを行っているのは東京都渋谷区の「Hajimari(ハジマリ)」。プロのフリーランス人材の紹介を手がけていたが、2年前から専門家を「上司」として企業に紹介するサービスを始めた。紹介先の上司に取って代わるのではなく、補佐して業務の推進や部下の育成にあたる。新入社員を指導する「メンター(教育係)」の管理職版ともいえる。
紹介する人材は大企業で新規事業の立ち上げに携わったり、組織の活性化で実績をあげたりした人ばかり。最近では大企業への紹介も増えており、中でも「代行上司に将来の管理職候補を育成してほしい」という依頼が多い。人材豊富なはずの大企業も、社外から上司を招き、将来の管理職候補の育成を委ねるほど、中間管理職の「なり手不足」は深刻になっている。
日本能率協会マネジメントセンターが昨年、従業員300人以上の企業に勤める一般社員1116人に行った調査では、77%が「管理職になりたくない」と答えている。32%は「今の仕事は楽しいが、管理職はいやだ」と答え、なりたくない理由のトップ(複数回答)は「自分には向いていないから」(52%)。以下「負荷が報酬と釣り合っていない」(30%)、「責任が重い」(26%)と続く。負担や責任の大きさから、管理職を目指す前から自分には不向きだ、と考えていることがうかがえる。

経営幹部と部下の板挟みに悩む「中間管理職の悲哀」は以前からあった。しかし、最近の管理職は、自ら現場に出る「プレーヤー」としても、部下を管理する「マネジャー」としても、以前より格段に負荷が増している。
働き方改革によって社員の残業時間は10年前の半分に減り、部下と分担していたプレーヤーの仕事を一人で背負うことが増えた。マネジャーとしてもパワハラ、セクハラに神経を使い、SDGs(持続可能な開発目標)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、コンプライアンス(法令順守)といった職場環境の変化にも対応しなければならない・・・

社員や職員と管理職に求められるものは異なります。社員や職員の全員が管理職に向いているわけではなく、また望んでいるわけではありません。
記事には、次のようなことが書かれ、諸外国との年収比較も載っています。日本の管理職の年収の低さは驚くばかりです。
・・・にもかかわらず、日本の管理職の報酬は国際的にも低い。米コンサルティング大手、マーサー社の昨年の調査結果によると、日本の一般的な管理職の年収は先進7か国(G7)では最低で、タイや中国よりも低い。マーサージャパンの伊藤実和子プリンシパルは、「終身雇用、年功序列の考え方が残る日本企業では、管理職は給与を上げなくても辞めないと見られているのではないか。忙しくなっても報酬が増えなければ、社員が管理職になるメリットを感じにくいのも無理はない」と話す・・・

英会話、拙くても自分の言葉で自分の文化を話す

2024年11月18日   岡本全勝

11月1日の日経新聞夕刊コラム「プロムナード」、新見隆・武蔵野美術大学教授「総合芸術の夢」に、次のようなことが書かれています。

イギリスのステンドグラス作家、ブライアン・クラークとの交遊についてです。クラーク氏が来日して、新見さんと展覧会をし、大企業の重役たちに高級レストランで接待されました。共通の話題がありません。社交的なクラーク氏は、くだらない冗談にも楽しそうに相づちを打って愉快そうです。

その夜、二人でバーに行ったら、次のように言われます。
「リュウちゃん、奴らのような、最低な英語を絶対に使っちゃ駄目だぜ。日本のビジネスマンは、だからバカにされる。お前さんは文化人だ。英語は人まねじゃない。拙くても何でも自分の言葉で自分の文化を話す。それが真の文化だ」

会社任せの職業人生

2024年11月17日   岡本全勝

10月29日の日経新聞に「転職で年収増」最高の4割 求められる成果厳しく、降格や退職勧奨も」が載っていました。
・・・転職によって年収が1割以上増える人の割合が約4割と過去最高水準にある。人手不足やジョブ型雇用の広がりを背景に、働き手は転職に踏み切りやすくなっている。一方、外資系企業のように結果が出ない社員に降格や退職勧奨を実施する制度を国内企業の2割が導入する。人材流動化に伴い、日本の労働市場は変化している・・・

記事には、転職希望者が1000万人を超えたこと、正社員の転職率は7%を超えていることも書かれています。
他方で、思うような結果が出ないと給与が減ること。業務改善計画を会社とその社員とで話し合って作ること。それでも結果が出ないと、降格や勧奨退職があることも紹介されています。
社員の流動性の低さは、年収の差にも出ています。外資系企業の年収は部長職で1916万円で、日本企業の1408万円に比べ、4割上回っています。

世界11カ国の転職者を対象にした調査では、将来のキャリア形成のために実施していることはないという比率が、日本は30%、アメリカは2%、中国は3%です。他の国に比べても、日本だけが突出しています。
自分の職業人生を会社に任せていることが、現れています。

失敗を畏れず、失敗から学ぶ

2024年11月13日   岡本全勝

日経新聞・私の履歴書、ヘンリー・クラビス・KKR共同創業者兼会長。10月28日の「失敗に学ぶ」から。

・・・プライベート・エクイティ(PE)投資は素晴らしいアイデアだと思ったが、我々が始めた頃は誰も手掛けておらず、成功の保証もなかった。
始めるにあたり、失敗をいとわないことは必須だった。起業家なら誰もがそう言うだろう。「私は間違えたことがない」。こう言う投資家がいたら、その人は記憶が飛んでいるか投資歴が浅いか、真実を見失っているかだ。
KKRの最も偉大なイノベーションで、率直にいって会社を最も変えた決断も、悲惨な失敗と背中合わせだった・・・
・・・失敗で何を学ぶかも重要だ。「失敗したらさっさと認め、何を学んだのかまで周囲に話してしまえ」。ジョージは社内でこう勧めている。

失敗を認めない風土は危うい。「深刻な問題がある」。1990年代に金融危機が日本を襲う前、邦銀のCEOに切り出された。「問題って何ですか?」と私。「実は大量の不良債権がある」と彼。衝撃を受けた。その後の自滅は歴史が示す通りだ。
失敗に早く向き合って治せば軽傷で済んだのだ。ゴミをじゅうたんの下に隠し続けると、じゅうたんはゴミで膨らみ掃除も難しくなる。

失敗を容認しないと、企業の成長に必要なイノベーションも起きない。ジョージは「悪いアイデアより悪いのがノーアイデアだ」と警告する。
若い人には特に、失敗とそれを克服する機会を与えた方が良い。いずれ失敗するのだ。苦労を重ねるうち、良い判断の数は失敗を上回っていく。
失敗を語ってもいい文化は、新しいことに気持ちよく挑戦する風土を生み出す。ジョージと私は、「うまく行ったら手掛けた人の手柄。行かなかったら私たち2人だけの責任だ」と言って現場の雰囲気を和らげてきた。これからそれは、共同CEOを私たちから継いだ2人の仕事だ・・・
仕事ができる人は「ありがとう」を言える人

デンマークの生産性に学べ、16時に帰宅

2024年11月11日   岡本全勝

10月23日の日経新聞オピニオン欄、半沢二喜・論説委員の「デンマークの生産性に学べ モーレツNG、16時に帰宅」から。

・・・スイスの有力ビジネススクールIMDが6月に発表した2024年の世界競争力ランキングで、デンマークは3位。前年の首位から落ちたものの、「ビジネスの効率性」という指標ではトップをひた走る。それぞれ38位と51位に沈んだ日本とは対照的だ。

高い効率性の背景には徹底した無駄の排除と社員のモチベーションの高さ、管理職のマインドセットがある」と針貝氏は指摘する。
働く個人は仕事に優先順位をつけ、4番目以降のタスクは捨てる。会議は相手の時間を奪うため、参加者を厳選し延長しない。ランチは30分で済ませ、午後4時には仕事を切り上げる。家族との夕食や私生活を大切にするからだ。仕事優先で家庭を顧みなければ離婚を迫られることも度々ある。効率化の原点は生活を重視する姿勢にある。

「上司は部下を管理するのではなく、ファシリテーター(促進役)に徹している」と針貝氏は話す。信頼ベースで若い人にも大きな仕事を任せ、日本のように細かく口出しするマイクロマネジメントは一切しない。そんな時間的余裕もないからだ。適材適所を最重要視し、組織のパフォーマンスを最大限に引き上げることを目指している。
上司が業務の必要性を説明できなければ、部下から拒否されることもあるという。就業時間中にスキルアップに取り組めるのはもちろん、週に1日、自由な行動を認める企業もある。個人をプロとみなすフラットな組織運営が士気と挑戦心を高めるわけだ・・・