カテゴリーアーカイブ:人生の達人

千枚の服を捨てたら

2025年3月10日   岡本全勝

2月18日の読売新聞に「1000枚の服 手放して気づいた! 心地よさ=自分のスタイル」が載っていました。原文をお読みください。

・・・ファッション誌編集者の昼田祥子さん(44)は、3年かけて1000着の服を手放した。過程をつづった著書「1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話」(講談社)は、日々の装いに悩む女性から支持を集める。流行を伝え、消費意欲を促す側の人が、なぜ、どのようにして服を手放したのか?

昼田さんは、20年超の経験を持つベテラン編集者だ。30代半ばまで「同じ服を週2回着るなんてあり得ないと思っていた」。3~4畳のウォークインクローゼットに収まらない服が、隣室のラックにも並んでいたという。
手放し始めたきっかけは、興味本位で使ってみたフリマアプリだ。ブランドの高価な限定品より、使いかけのマニキュアが売れた。「これまで編集者として訴えてきたことが通じないことに、価値観が一気に崩れた」と振り返る。

その後3年かけて1000着近くあった服を50着まで減らした。当初、編集者はおしゃれであるべきだとの思いから整理が進まなかったが、そのうち、服を買い続けてきたのは、自分を大きく見せたいという自信のなさの表れだったと気づいた。「そんなの必要? 何を着ても私は私」

では、どのように手放していったのか。
まず、装うことに対する自分の思いに誠実に向き合った。気づいたのが、「毎朝、コーディネートを考えることに苦痛を感じていた」という事実。気負わず安心できる、心地よい服を身に着けていたい。そんな本心に従って、毎日シャツとパンツで過ごすことにした。おしゃれでも不便なポケットのないパンツや汚れが目立ちやすいブラウス、肌がチクチクするセーターなどを思い切って整理した。
すると、身支度の時間は大幅に短縮されたのに、「スタイルがあるね」と言われるように。「スタイルは作り込むものではない。その人らしさが表れているか、記憶に残るかということ」と話す。
「他人の視点」は不要だ。「大事なのは、どう見られたいかではなく、どうありたいか」と言う・・・

コンサルタントの有用性とは

2025年3月9日   岡本全勝

2月7日の朝日新聞オピニオン欄は「コンサル頼み?」でした。
・・・今や人気就職先にもなったコンサルティング業界。企業経営を助けるプロというイメージの一方、玉石混交ぶりや「コンサル頼み」の弊害も指摘される。あなたの会社は、大丈夫?・・・

堀紘一さんの「成長には、目的と覚悟必要」から。
・・・コンサルタントがエリート大学生の人気職種だと聞き、隔世の感を抱きます。日本企業は自前主義で、経営の根幹に関わることを外に相談するなどという発想は希薄でした。
今やコンサル業界は百花繚乱です。かつては経営戦略を立案する戦略系が中心でしたが、2000年代後半以降は、ITシステムの開発・運用も支援する総合系、会計系の会社が規模を追い始め、多くの社員を抱えるようになります。
コンサルタントは一流の経営大学院を卒業した精鋭が就き、それでも7年後には2割以下しか生き残れない厳しい世界でした。企業も、社運をかけてコンサルを雇っていた。

今は全体的にビジネスモデルが戦略策定型から業務請負型へとシフトし、競争激化で価格破壊も起き、企業も気軽にコンサルを使う時代になりました。裾野が広がったことで、残念ながら質の低下は否めません。
やたらコストカットや人員削減を求める、理論を振り回す、教え諭すのがコンサルだと勘違いしている――こうした能力不足のコンサルによって、かえって会社が方向性を見失い、組織がガタガタになる事態が起きています。

これには企業側の問題もある。ある経営者に「あなたに頼むと、我が社にどんなメリットがあるの?」と聞かれて脱力したことがあります。コンサルに頼むからには、明確な目的がなければならない。そこが不明なのに安易に頼むのは失敗の元です。もちろんコンサルは万能ではありません。でも本来の価値と力を持つコンサルティングを受ければ、会社は大きく成長する可能性がある。それは経費ではなく投資です。

私の経験では、企業が自ら認識している問題が「真の問題」だったことはほとんどありません。営業力が弱い、と相談を受けて調べてみると、採用や人事に大きな問題が潜んでいる、といった具合に。
そして日本では、変革に最も有効だが痛みも伴うA案、効果は少ないが受け入れやすいC案、その折衷のB案を示すと、9割近くの企業が無難なC案を選びます。これでは、コンサルを頼む意味はない。使う方にも覚悟がいるのです・・・

技能を身につける3

2025年3月7日   岡本全勝

技能を身につける2」の続きです。

2月20日の日経新聞に「管理職に大降格時代 スキルないと2軍、でも実はチャンス」が載っていました。
・・・「このままでは一般職に戻ってしまう」。2022年4月、3年以内に必要なスキルを習得しなければ、一般職に降格する制度が導入された。スキル習得の期限が1カ月半後に迫る。
当時、社員に占める管理職の割合が3割に達し、部下のいない名ばかり管理職も多くいた。そこで、職務内容に応じて賃金を決める「ジョブ型人事」を導入するのにあわせ、降格制度を設けた・・・

・・・降格は決してマイナスではない。パーソル総合研究所の藤井薫上席主任研究員は人の入れ替えによって組織は強くなると指摘した上で、降格した社員も「別の場所で専門性など幅を広げるチャンスになり得る」と話す。
リコーの増田康宏さん(47)は、業務に必要なソフトウエアのスキルなどを習得し、1年で「1軍」に戻った。「仕事に挑戦するモチベーションが生まれた」と振り返る。
ジョブ型を採用するオムロンは19年度から「リチャージ・リチャレンジ制度」を始めた。PIPなどに基づき能力発揮が難しいと評価した場合は降格(リチャージ)させる。研修プログラム受講や面接を経て再評価すれば、最短で1年後に再登用(リチャレンジ)する。
管理職など経営の基幹人材と位置づける約290人が制度の対象だ。人事担当の南和気執行役員は「はい上がる経験を早くからして成長してほしい」と話す・・・

この記事は、管理職に必要な技能ですから、転職一般には当てはめることはできないでしょう。しかし、管理職に復帰するためのスキル(技能)がどのようなものか、知りたいです。記事には「業務に必要なソフトウエアのスキルなど」とありますが、管理職の資格を決めるのは、そのような技能なのでしょうか。
その前に、管理職に必要な技能を身につけていない社員を管理職にすることも、疑問ですが。
技能を身につける4」に続く。

技能を身につける2

2025年3月4日   岡本全勝

技能を身につける」の続きです。
学び直し(リスキリング)も、はやり言葉になっています。
何を学べばよいのか知りたくて、インターネットを検索したら「リスキリングで学ぶべきスキル10選」を見つけました。そこには、次のような技能が並んでいます。
1.マーケティングスキル 2.プログラミングスキル 3.マネジメントスキル 4.語学スキル 5.営業スキル 6.財務・経理スキル 7.動画編集スキル 8.AIやIoTなどの先端ITスキル 9.コーチングスキル 10.ビジネスライティングスキル

さて、あなたが将来の転職を考えると、どれを身に付けますか。それは、どのような方法で身に付けますか。
私は知見はないのですが、「職業人として一般的な技能」と「その職や職位に必要な技能」は別で、後者は仕事内容によって異なるのでしょう。すると、転職先を絞らないと、身に付けるべき技能は定まらないと思います。
英語を学ぶ人も多いですが、仕事で英語を使う職業でないと、身につけても教養になってしまいます。
技能を身につける3」に続く。

技能を身につける

2025年3月3日   岡本全勝

若手官僚の職場への不満の一つに、「技能が身につかない」があります。連載「公共を創る」第157回「官僚の役割ー現状分析」で、若手官僚の悩みを紹介しました。
この人たちを対象に研修の講師をする際に、内閣人事局の担当者たちと議論して、若手官僚の悩みを整理しました。それは、「どのようにしたら良い仕事ができるか」「どのようにしたら官僚としての能力が身に付くか」といったことよりも、次の三つでした。
・生活と両立しない長時間労働がいつまで続くのか。
・従事している仕事が国家国民の役に立っているのか。
・この仕事で世間に通用する技能が身に付くのか。

ここにも、技能を身につけたいとの希望、現状では身につかないのではないかとの不満がありました。ところで、彼ら彼女らは、どのような技能を考えているのでしょうか。私の経験では、最初の5年間は仕事を覚えることで精一杯でした。そしてその後も、勉強することばかりでした。
若いうちは、与えられた仕事を覚え、さらに現状の問題点を考え、改善することを考えました。その分野の第一人者になることを目指しました。
あわせて、上司や先輩の仕事術を学びました。よいお手本もおられましたが、反面教師もいました。それは、将来自分がそのような席につくための勉強でした。

そこで得た知識と技能が、他の職場で通用するか。それは、一概には言えません。もっとも、それは官僚の世界だけでなく、企業や民間団体でも同じでしょう。「技能を身につける2」に続く。
参考「官僚で身につく技能」「東京海上日動火災保険社員の転職記」の「損保社員の市場価値