カテゴリーアーカイブ:人生の達人

マティス国防長官の辞任

2018年12月22日   岡本全勝

アメリカのマティス国防長官が、辞任することになりました。
「トランプ米大統領は20日、マティス国防長官が2019年2月末に辞任するとツイッターで発表した。米軍のシリア撤退など政策を巡る見解の相違が理由だ・・・
・・・マティス氏もトランプ氏宛ての辞表の内容を公表した。そのなかで「強力な同盟関係の維持や、彼らへの敬意をなくして国益を守ることはできない」と表明」と、日経新聞は伝えています。

そのマティス国防長官の書簡で、肝になる文章は次です。
・・・Because you have the right to have a Secretary of Defense whose views are better aligned with yours on these and other subjects, I believe it is right for me to step down from my position.・・・
マティス国防長官からトランプ大統領あての書簡原文

「あなたは、これらの点について、あなたの考えにより近い人物を国防長官に据える権利があります。だから私は身を引く時だと考えています」
マティス国防長官からトランプ大統領あて書簡(日本語訳、日経新聞)

書簡のその前段には、次のような記述があります。
「同様に戦略的利益が我々の利益と衝突することが増えた国に対しては、我々のアプローチを断固かつ明確なものとしておく必要があります。中国やロシアが自国の利益を追求するために経済・外交・安全保障に関する他国の決断を否定し、権威主義的な政治モデルと整合的な世界をつくりだしたいと望んでいるのは明らかです。だからこそ、我々は共同防衛に向けて、あらゆる手段を尽くさなければならないのです。
同盟国に敬意を払い、悪意に満ちた者や戦略的な競争相手に注意を払うべきだという私の考えは、こうした問題に取り組んだ私の40年以上(の経験)に基づき、培われたものです。我々の安全保障や繁栄、価値観に最も資する国際秩序を推進するためにできることは全てやるべきです。我々は同盟という結束によって強くなるのです」

上司と見解が異なった際に、どのような行動をとるかの一つの見本です。
この文章には、「私は間違っていた」といったことは書かれていません。「あなたと考え方が違う」ということを、上品な言い方で表現しています。そこでは、「合衆国の歴史と私の考え方が正しい」=「大統領が間違っている」と表明しているのです。
この項続く

四角な座敷を丸く掃く4、竹秀才では困る

2018年12月21日   岡本全勝

四角な座敷を丸く掃く3」の続きです。

さらに脱線します。今回、四角な仕事をきちんと掃く職員を「竹」と呼んだのは、長年の疑問に思っていたことに、一つの解決を出したからです。頭の良い職員なのに、なにかが足りない職員を、たくさん見てきました。なぜだろうと、悩んでいました。

学校秀才は、与えられた問に正しく答えることに慣れています。職場の仕事がそのようなものばかりなら、彼らは「松」です。しかし、彼ら秀才に欠けている点が2つあります。
1つは、新しい課題を「私の仕事ではありません」「できません」といって、拒否するのです。
そして困ったことに、自分の所管でないことの理由やできない理由を詳細に考え、とうとうと説明してくれます。その説明を聞いていると、「ええわ、もうあんたには頼まない」と思ってしまいます。それは、彼にとって成功でしょうが、その課題をなんとかしたい私にとっては、役に立たない秀才です。
いろいろと分析をして課題を並べるけれど、実行はしない職員も同じです。評論家としては良いのでしょうが、職場では役に立ちません。

もう1つは、新しい課題に対して、素早い適切な回答を出せないのです。
頭が良いので、精緻に正解を探します。学校で正しい答えを出すことを覚えてきているので、「問題には、必ず一つの正解がある」と考えているのです。自然科学と社会科学、さらには私たちの職場の違いを、理解していません。
職場の問題は、自然科学の問題とは違います。唯一客観的な正解があるようなものではありません。利害が対立している二者の間で、どのように一つの解答を出すか。足らない予算で、事業をどのように組み立てるか。明日の議会での答弁案を、今晩中にどのように書くか・・・。
じっくり時間をかけて、正解を検討するような場ではないのです。締めきりまでに、何らかの結論を出さなければなりません。その際に、完璧主義者では、締めきりに間に合いません。

相手の目を見て話すことが苦手

2018年12月18日   岡本全勝

12月11日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は、「視線耐性どうつける? 相手の目を見て話せない…」でした。
・・・相手の目を見て会話するのはコミュニケーションの基本だが、若い世代には苦手な人が多い。視線を合わさず自信がなさそうな印象を与えると、ビジネスではマイナスになることもある。どうすれば改善できるだろうか・・・

「視線耐性」とは、私は初めて聞きました。相手の目を見て話すことができる能力、相手の視線に耐えられる力のようです。
若い人が苦手なようです。採用面接の際に、緊張するようです。まあ多くの場合は、仕事を続けているうちに、乗り越えることができるようになるのですが。

最近は、パソコンやスマホを相手にしている時間が長いので、人とのコミュニケーション能力が低下するのだそうです。
なるほど。すると、解決策は、スマホの時間を短くして、人と会う機会を増やすことのようです。
詳しくは本文をお読みください。

四角な座敷を丸く掃く3、先を読む

2018年12月16日   岡本全勝

四角な座敷を丸く掃く2、広く考える」の続きです。

図では、四角い仕事の外に、丸い範囲の考えを示しました。
いま担当している仕事が、組織の中で、社会の中でどのような位置にいるかを知っておくこと。関係する知識を仕入れて、勉強することが必要です。人脈を広げておくことも、ここに入ります。

そして、四角の仕事は、時間とともに変化します。右へ進んだり、上へ進んだり。左に膨らむことも。用済みになって、へこむ部分もあります。その変化を予想することも、重要です。「先を読む」です。
どの方向に動くかを予想する際に、その人の思考の広さが試されます。この予想は、宝くじではありません。これまでの歴史、社会環境の変化で、自ずと進む方向は絞られてきます。トンチンカンな予想をして、全く的外れの勉強をするのか。確率の高い方面を勉強するかです。

あなたは、仕事を小さく丸く掃いていますか。きちんと四角く掃いていますか。もっと広く考えていますか。この項、さらに続く

外の人との議論が新しいアイデアを生む

2018年12月13日   岡本全勝

12月13日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は、山本良一 J・フロントリテイリング社長の「異分子を交ぜ、変革を生む」でした。

・・・「当社は大阪・梅田や札幌の店などで、百貨店のビジネスモデルを転換してきました。従来と同じ業務であれば、同じ価値観、言語、考え方で百貨店事業をブラッシュアップしていけば強くなれます。でも、現在の競争相手は百貨店だけではありません。インターネット通販であったり、アウトレットだったり、ありとあらゆる業態との競争を迫られています。かつてと同じやり方では、たぶん競争に勝てないでしょう」
「銀座の店舗については百貨店はやらないと宣言しました。ではどういう施設にするか。一緒に取り組んだのが森ビル、住友商事、仏高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)が出資する不動産会社の3社でした。我々と全然違う価値観、育ち方をしている人たちと、私も含めて当社の社員が議論をするわけです。火花が飛びますよ。でも、そこにエネルギーが生まれ、どんどん発想が広がっていきました」

――激論を交わしたと。
「そうです。摩擦が起き、火花が飛んで、新しいものが生まれる。そのほうがずっといいと思う。もし社内だけのプロジェクトだったら、私が百貨店をやらないと言っても、百貨店に近い施設になっていたと思います。同じ業界の人間からは違う発想は出にくい。森ビルや住友商事とは考え方が違います。いろいろなことを理解し合いながら、お互いのノウハウを勉強することができました」

――他社との協業や外部人材の採用などを「異分子結合」と呼んでいますね。
「社長になってからカードなど金融ビジネスの強化を掲げました。ところが、従来のメンバーでは新しい発想が出てこない。そこで、外部から専門性を持つ幹部を連れてきました。組織の中で違和感を持つ人もいましたが、斬新なアイデアが生まれてきています」
「百貨店事業では優秀な人材ですばらしい能力を持っていても、IT(情報技術)など他の分野はわからない世界です。そこに専門的な人材を入れる。価値観や仕事のやり方が違う人材を入れて、新しいものを作り出す。協業を含めて、そういうことを私は異分子結合と呼んでいます。社員にも、外に行ってこい、百貨店とは関係のない多様な人材の話を聞いてこい、とよく言っています。今の時代は大変革期ですし、過去の延長線上に未来がないのは確かですから」

同感です。身内同士で議論をしても、その枠を超えた話は出て来ません。異業種と交流することで、新しいアイデアが出るのです。
もちろん、その中には役に立つものと、役に立たないものがあります。それを見極めるのは、本人のあるいは上司の責任です。
また、身内の者が枠を超えた発想を発言をしたら、排除されるでしょう。部外者が言うと、同じ内容でも「なるほど」と納得してもらえる場合もあります。