カテゴリーアーカイブ:人生の達人

人生の先輩、ロールモデル

2019年1月21日   岡本全勝

1月20日の日経新聞My Storyは、魚谷雅彦・資生堂社長の「聞くこそものの上手なれ」でした。1954年生まれ、奈良県の先輩です。
「自然にあふれた奈良県五條市に生まれ・・」と書いてありますが、明日香村と同様に田舎です。あちらは、市ですが。

高校生の時に、英語力をつけるために英会話学校に通い、奈良公園で外国人に片っ端から声をかけて英語を磨いたそうです。(ここは、私と違います。反省)
大学卒業後、ライオン(歯磨)に入社。外国に行きたかったのですが、歯ブラシの国内営業に配属されます。先輩の助言で、まずは営業で結果を出すべく、聞くことに徹します。成果を上げ、職場でも認められます。
そして、アメリカ・コロンビア大学経営大学院に留学できます。そこでも悩むのですが、留学生の助言で「脱皮」します。
その後は、日本コカ・コーラなどで業績を上げ、2014年から資生堂の社長です。

先輩たちの生きざまは、勉強になります。目標を持ち、努力すること。自分に足らない点は、先輩たちに聞くことです。
詳しくは、原文をお読みください。

進退伺いと辞表

2019年1月20日   岡本全勝

マティス国防長官の辞任」の続きです。長官の書簡を見て、「進退伺い」と「辞表」の違いを考えました。
辞表は、組織を辞める時に、上司に提出します。自己都合だったり、問題を起こした際の責任をとってです。私も、政府から自治体に出向する際、あるいは戻る際に、何度も書きました。雇い主が替わるので、前の雇い主に辞表を出します。事務次官を退職する際も書きました。

それに対し、進退伺いは、多くの場合、問題を起こした際に、自らの処分を上司の判断に委ねるのです。
ところが、進退伺いを書くのに、もう一つの場合があります。それは、自分は間違ったことはしていない、しかし上司と意見が合わないので、自らの進退を上司に委ねるのです。マティス国防長官の書簡は、後者に当たると思います。もっとも、この書簡が出る前に、トランプ大統領が長官を首にすることを公表したので、厳密な「伺い」ではありません。

2018年12月26日の日経新聞オピニオン欄、秋田浩之・コメンテーターの「マティス氏退場 当たり前でなくなった同盟」に次のような文章があります。
・・・自分からは決して辞めないー米国防省省の元高官によると、マティス氏は今春以降、周辺にこんな決意を伝えていたという。「自分が辞めたら、大変なことになると分かっている。だから解任されない限り、政権内に踏みとどまる。修道僧のような覚悟を秘めていた」。元高官は明かす・・・

実は、私も一度、進退伺いを書いたことがあります。もう20年以上も前のことなので、書いても良いでしょう。私の場合は、国防長官ほど深刻な事態ではなかったのですが。その際に学んだことです。
困ったことは、見本がなかったことです。いまでは、インターネットなどにも、進退伺いの書式例が載っていますが。当時、人事課職員に尋ねたところ、「辞表はたくさん実例を保管していますが、進退伺いは残っていません」とのことでした。そこで、書いたことのある先輩を見つけて、指導してもらいました。

なぜ、進退伺いが残っていないか。それは、よほどのことがない限り、上司は進退伺いを受け取らない。あるいは、受け取って破り捨てるのです。だから、実例が残らないのです。
とんでもないことをしでかしたら、辞表を書くか、上司に直接お詫びして処分を待ちます。だから、そのような場合に、進退伺いを書くことはありません。

進退伺いを書くのは、マティス国防長官のように、「私は間違っていない」と主張するためです。すると、辞めることを覚悟で提出する場合と、辞める気はないけど提出する場合があります。マティス国防長官は前者です。
私が進退伺いを書いた際に、先輩に教えられたのは、「上司に受け取ってもらわないことが一つの方法だ」ということでした。それで、提出先でなく、その方の部下であり私の上司である中間の方に持って行きました。
「このようなものを持ってきては困る」とおっしゃいながら、受け取って引き出しにしまわれました。たぶんその後、提出先に相談に行ってくださり、私の書いた進退伺いは、破り捨ててくださったのでしょう。
私も、若かったですね。今なら、他の方法を考えるでしょう。

参謀と脚本家2

2019年1月16日   岡本全勝

肝冷斎が、「仕事の進め方、参謀か脚本家か」を絵にしてくれました。肝冷斎作「モグラとニワトリ」の続編です。かなり書き込まれた力作です。
・周りのことに関心なく、ひたすら穴を掘るモグラ
・四角い部屋を丸く掃く、手抜きのひよこ。ゴミを外に捨てて、隣の犬が怒っています。
・縄張りを守ることに必死の猫。しかし、縄張りの外には、魚が落ちていても無関心です。
・上空から全体を見渡している鷹。嵐が近づいているようです。行く末を心配しています。

皆さんの周囲にも、当てはまる職員がいませんか。ひょっとして、あなたがそうですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事の進め方、参謀か脚本家か

2019年1月13日   岡本全勝

仕事を進める場合のコツについてです。
ある課題を進める場合に、作戦を練ります。私たち役人の仕事は、相手(物でなく人)がある課題ばかりです。そして、「カネにものを言わせて」(商売の場合)とか「数の力で」(政治の場合)という手法はとれません。
相手が我が方の原案に賛成なら、難しくありません。しかし、そうでない場合の方が多いです。上司に持ち込まれる案件は、しばしばうまくいっていないので、上がってくるのです。

説明して、相手を「落とさなければ」なりません。どのように進めるか。「当たってくだけろ」は、日本軍の失敗を出すまでもなく、被害が大きい上に、よい成果は出ません。精神論や根性論では、ダメなのです。
行動する前に、進め方を練らなければなりません。軍隊を例にすると、「作戦」を作ることとそれを考える「参謀」が重要だ、と表現したらわかりやすいでしょうか。この場合は、説得する相手は「敵」です。必ずしも反対する人ばかりではないのですが。攻略すべき相手として、敵と呼びましょう。
「このように説明(攻撃)したら、たぶん相手はこのように反論(反撃)するだろうな」と模擬戦をしてみます。そして作戦を練り上げます。受験勉強だと、試験問題(の作成者)という敵に対して、「傾向と対策」で勉強します。

さて、「当方と敵」という構図はそのままにして、その「戦場」を上から見ると、別の構図が見えてきます。
すなわち、敵と味方を含めて戦場の参加者全員を、上空から見るのです。神様の立場からです。最近だと、ドローンからと言っても良いでしょう。戦争当事者でなく局外者から見ると、双方の手の内がよく見えるのです。囲碁で言う、岡目八目です。

これを、「脚本」と呼びましょう。脚本=「劇の進行の台本」を書く人を考えてください。敵も味方もあわせて全体を見る、「脚本家」の立場です。そうです、参謀を超えて脚本家になると、全体の構図がよく見えて、するべきことがわかります。
上空から両方を見ている神様からすると、それぞれの参謀の考え方は、「下手やなあ」と思うことも多いのでしょうね。

この文章は、「夢と計画と構想」(2018年8月30日)の延長として、書いてあったのです。パソコンの下書き欄で眠っていました。反省。

仕事のやりがい

2019年1月7日   岡本全勝

お読みになった方も、多かったと思います。元日の朝日新聞経済面、「カイシャで生きる1 息苦しい霞が関、折り合えた」。仕事がつらくなって、職場に行けなくなった女性官僚の話です。
・・・入省して半年が経ったころ、法改正の担当になった。深夜帰宅は当たり前で、残業は月200時間を超えた。でも、上司はもっと残業していた。
自分に振られる仕事が、全体のうちのどの部分で、なぜ必要なのかがわからなかった。先輩に質問してみると、「あの人(上司)がそう言っているんだから」という答が返ってきた。そのうちに質問を発することも、自分の意見を言うこともできなくなっていった・・・
そして、彼女は精神科で診断を受け、休職します。復帰後、ある仕事を任され、やりきったことで自信ができました。現在は、元気に活躍しておられるようです。
・・・組織の中で「自分の言葉」を失いかけていた松尾さんは、現場を回り、生産者らと対話を重ねることで「やりがいのタネを見つけられた」・・・

2018年12月30日の日経新聞「スタートアップで修業」は、次のような記事です。
・・・大企業がスタートアップ企業や大学に社員を出向させ、最先端の技術・サービスを吸収しようとする動きが広がっている。パナソニックやIHIなど幅広い企業が導入し、ダイキン工業は若手技術者を東京大学の施設に駐在させる。大企業はイノベーション(革新)を創出しづらい現状を打破しようと、若手中心に新興企業の素早い意思決定などの流儀を学ばせ、人づくりにつなげる・・・
そこに、次のような指摘があります。
・・・「プロ集団の中で、自分に何ができるのか」。当初は環境の違いに戸惑った。だが半年以上たち、自分たち一人ひとりが会社を大きく左右するとの当事者意識を持ったという・・・

そうです。職員は、仕事にやりがいを求めています。少々仕事がつらくても、給料が安くても、やりがいがあれば乗り越えることができます。
大きな組織になると、自分の仕事がどのように役に立っているのか、見えにくくなります。それが、心の病や転職の一因になるのでしょう。
職員にやりがいを持たせるためには、上司が「あなたの仕事は、役所の(会社の)この部分を担っている。これなくしては、××の目的が達成できない重要な仕事だ」と説明しなければなりません。

組織には、役割によって大きな歯車と小さな歯車があります。しかし、小さな歯車もなければ、全体が動きません。そして、職員という歯車は、モーターから回転を伝えられるのではなく、各人が自ら動くモーターにならなければなりません。職員が悩んだり自信を失わないように、上司や同僚が支援して上げなければなりません。
現在編集中の「明るい公務員講座」第3弾に、ちょうどそのことを書いたばかりでした。