カテゴリーアーカイブ:人生の達人

指示は明確に、あうんの呼吸は通じない

2019年2月22日   岡本全勝

2月19日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は、「あうん捨て外国人と仕事。期日、具体的に指示を」でした。
・・・企業のグローバル化が進むなか、日本人と外国人が一緒に仕事をする職場が増えている。「あうんの呼吸」が通じないことも多い。どう接すればいいか。外国人社員と上手にコミュニケーションを取る方法を専門家に聞いた・・・
外国人社員に通じなかった例として、「できれば・・・をやって」「はやく」が理解されなかったことなどが上げられています。

この記事は外国人労働者の場合ですが、これは日本人職員を相手にする場合も同じです。
何をいつまでにするかを具体的に指示しないと、通じないことがあります。
私の失敗事例と改善策は、『明るい公務員講座 課長に脱皮編』(近く発売)に書きました。参考にしてください。

職務記述書、歴史公文書管理専門職の例

2019年2月9日   岡本全勝

公務員の専門性向上策」(2月4日)で、藤田由紀子教授の発言を紹介しました。
・・・また「大部屋主義」と呼ばれる集団的執務体制の伝統により、職務記述書が作成される慣行もないため、各職員の職務や責任が曖昧で、その専門性も「暗黙知」とされてきた・・・

国立公文書館は、歴史公文書等の管理に携わる専門職について、職務基準を作っているそうです。「アーキビストの職務基準書
見ていただくと、職務の内容が、選別・収集、保存、利用などの分類され、それに対応して、必要な知識や技術が並んでいます。
なるほど。今後、このような職務記述書が増えていくでしょう。

人事には興味があっても、会社のことには関心がない。業績低下の企業

2019年2月7日   岡本全勝

2月5日の読売新聞「経営者に聞く」は、手代木功・塩野義製薬社長でした。
社長就任時に会社が低迷し、構造改革に苦労されます。1985年に売上高、営業利益とも業界3位だったのが、2010年には売上高は10位、利益も下位に沈みます。

・・・3位の会社が10位に転落すると何が起きるのか。ベテラン社員は「俺たちは凄い。経営が悪いからこうなった」と頑張ってくれません。若手は「期待されて入っていません」と真顔で言う。時間をかけても「名門」の看板を取り戻すしかないと考えました。

3か月に1回、会社の現況を原稿用紙20枚分くらいの文章にし、全社員にメールしました。最初の開封率は5割に満たない。同時に出した人事のお知らせは99%です。人事には興味があっても、会社のことには関心がない。
ならばと、研究・開発から生産、営業まで幅広く若手社員を集めて「語る会」を開きました。でも2時間、質問が出ない。後で聞くと、上司から「自分に跳ね返るから、社長によけいなことを聞くな」と指示が出ていたそうです。オープンに話すことを中間管理職が嫌がる。これも弱い企業の典型です。意識改革に3、4年かかりました・・・

大坂なおみ選手、精神面の強さ

2019年1月27日   岡本全勝

全豪オープン優勝、おめでとうございます。すばらしいですね。
多くの方が、昨晩26日の実況中継を、ご覧になったのではないでしょうか。私は、テニスは詳しくないのですが。考えたことと述べます。

世界で一番になるには、素質、体力、技術、練習など様々な要素が必要でしょう。それとともに、今回の試合を見ていて、精神面の重要性を改めて感じました。
第2ゲームで、あと1ポイントで優勝というチャンスがありながら、それを逃しました。休憩を取った際、そしてその後も、ミスが続き、大坂選手はやや気持ちが弱くなっているように、私には見えました。
その後の、精神面での立ち直り、あるいは立ち直ったことが、勝利につながったのだと思います。このクラスになると、相手との我慢比べであり、自分との闘いでもあるのでしょう。
皆さんも、同じように思われたのではないでしょうか。例えば、朝日新聞の記事

体力や技術など人一倍の能力とともに、自分の気持ちを落ち着かせる、奮い立たせる能力も必要です。
いつもいつも、うまく行くことばかりではありません。うまく行かないときに、どのように我慢し、立ち直るか。「明るい公務員講座」でお話ししています。どの世界でも同じですね。

空気の支配、再考

2019年1月23日   岡本全勝

「その場の空気に流される」という表現や事態があります。ウィキペディアには「場の空気」として出ています。
山本七平さんの名著に『空気の研究』(現在は、文春文庫)があります。山本さんの著作は、大学生の頃によく読みました。

冷静にかつ客観的に判断すれば止めることができることを、その場の空気に流されて、(多くの場合は突進して)失敗することです。後になって、なぜ止めることができなかったかと問われ、その場にいた人が「仕方なかった」という言い訳に使われます。
しかし、そのような「空気」という物体があるわけではなく、関係者がそのような意識を共有するのです。
誰か「突進すること」を言い出す人がいます。多くの人がそれを忖度して、賛成します。あるいは、黙っています。そして、それを判断すべき責任者が、その意見を黙認します。その結果、誰が決定したのか、誰の責任かが、不明確になります。その場にいた全員が、責任者になりかねません。

そのような事態を、「部下に判断や実行を委ねるのがよい」という「座り型のリーダー論」が、助長します。その反対は、「決定は責任者が行い、その責任も決定者が負う」という「率い型のリーダー論」です。
前者は、全員参加・全員納得型の決定方法です。日本によくある型と言われました。それが、空気論をはじめとする日本人論です。農耕民族と狩猟民族との違いとも言われました。

日本社会のある面を説明する、説得ある説です。しかし、一皮むけば、決めるべき人が決めない、責任者が責任を取らないということです。時には、若い者の暴発を止めることができないのです。日本陸軍の若手将校を止めることができなかった幹部です。
このような文化論がまかり通ると、無責任組織、無責任社会になります。そのような人たちが国政を担ったり組織の幹部になると、国民や従業員はとんでもない被害に遭うことになります。参考「組織の腐敗」「責任者は何と戦うか

若い頃は、「日本社会や組織の空気の支配説」を納得しましたが、自分が小なりとはいえ責任ある立場になってからは、「あれは言い訳だ」と思うようになりました。責任者は、その場の空気に流されず、冷静な判断をすべきです。また、責任者でなくても、参加者の一員なら「それは違うと思います」と発言すべきです。

私が判断の基準にしたのは、次の2つです。
・後世の人に、説明できるか
・閻魔様の前で、説明できるか
責任者が、自ら下した判断やその結果に責任を持つなら、あるいは責任を追及されるなら、「空気の支配」は続かないと思います。