カテゴリーアーカイブ:人生の達人

自己肯定感の低い日本の若者

2021年6月7日   岡本全勝

日本の若者は自己肯定感が低いというのは、通説になっています。NHKウエッブサイトが、就活に関して、この問題を取り上げています。「自己肯定感は、低いとダメなの?高い方がいいの?」6月2日掲載

詳しくは読んでいたただくとして。根拠のない自信も困りますが、やたらと卑下するのは健康的ではありませんよね。
なぜ日本の若者は肯定感が低いのか。専門家は次のように指摘しています。
・・・おそらく日本人は「自分が主体的に行動したことを評価してもらい、自分でもこれでいいと思えた体験」が少ないのではないかと思います。
また、日本では同調圧力があって「自分のやりたくないことにはっきりノーと言いにくい」ですよね。
それと比べると、海外ではノーと言っても受け入れられやすくて、自己肯定感を保つことができるという部分もあるかと思います・・・

・・・例えば自己肯定感が低いと、「精神的にも、肉体的にもつらい状態」ですから、そこから離れようとするんですね。
具体的には、「何か/誰かに依存する」ってことが起こりえます。ゲームとか、アルコールとか、信頼できる人とか。
そうやって安定を保とうとするんですが、相手はそのつもりじゃなくても一旦冷たくされたって感じてしまうと相手が信じられなくなって、安定した人間関係が築きにくくなってしまうこともあります・・・

・・・海外の心理学者によると、子どもの自己肯定感が育まれやすいのは、「ほめると叱るのバランス」が3対1か4対1くらいだそうです・・・

コーチングで気付き

2021年6月4日   岡本全勝

5月31日の日経新聞夕刊、「コーチングで自分に気付き」から。
・・・ビジネスの現場での活用が中心だった「コーチング」の裾野が広がっている。学生や主婦も、対話を通じて自分の価値観や歩み方を明確にしていく手法を取り入れている。夫婦で気づきを共有するケースもある。働き方の多様化や新型コロナウイルスの感染拡大への戸惑いも尽きないなか、悩みを解く導きとなるか・・・

・・・コーチングは相手となるコーチとの対話を通じ、目標達成のための行動や思考を促す手法だ。米国で広がり、00年ごろから日本でも企業のマネジメント向上策として注目されるようになった。コーチに必要な公的資格はないが複数の民間団体などが資格制度を設けている。
家族や友達との相談と違うのは、コーチが提供するのは「助言」ではない点だ。飯田さんの場合も、「家族や友達は、心配してアドバイスをくれる。コーチは自分で気づけるよう導いてくれる」と話す。

これまで日本ではコーチングに関心を持つ人といえば、40~50代のビジネスマンや経営者が多かった。
だが、2019年10月に正式なサービスを始めたコーチングのマッチングサービス「mento(メント)」では、コーチを探す利用者は20代後半~30代前半が中心。運営するウゴク(東京・渋谷)の木村憲仁社長は、「働き方や生き方で選ぶ余地の大きい『自己選択の時代』が来て、戸惑う人が増えたのではないか」と話す。
人々の迷いを深めているのが、新型コロナウイルスの感染拡大による混乱だ。1度目の緊急事態宣言が出た20年春から、SNS(交流サイト)のツイッターで「コーチング」を含むツイート数は急増したという。
解決策を示すわけではないコーチング。利点とされるのが、本人も整理できていなかった考えが明確になり、他の人とも共有しやすくなることだ・・・

具体事例は、記事をお読みください。

「幸せのメカニズム」

2021年5月27日   岡本全勝

前野隆司著『幸せのメカニズムー実践・幸福学入門』(2013年、講談社現代新書)が、勉強になりました。かつて興味を持って買ってあったのですが、放置してありました。連載執筆にあたり、積ん読の山から発掘しました。

近年、幸福学が盛んになっています。その理由の一つが、経済成長の達成です。経済成長によって、生活満足度は上がる傾向にあるのですが、ある段階からは上がらなくなります。当然ですよね、もし上昇を続けて、生活満足度が満点まで上がったら、その先はどうなるか。そう考えても、物の豊かさは、幸せの一要素でしかありません。

各人によって異なる幸福感をどのように、客観的に比較分析するか。幸福論は、古典時代からさまざまな識者が論じ、また私たちもそれなりの考えを持っています。幸福学では、哲学的な幸福論ではなく、多くの人の調査を基に統計学的に分析します。
他人との比較(地位財)による満足と、他人との比較と関係ないこと(非地位財)よる満足があります。前者は、所得、社会的地位、物などです。後者は、健康、自由、愛情、社会への帰属意識などです。そして、地位財による幸福は長続きせず、非地位財による幸福は長続きします。しかも地位財による幸福は、維持するために「走り続け」なければなりません。終わりがありません。

前野先生の研究では、幸せの心的要因は、次の4つにまとめられています。「自己実現と成長」「つながりと感謝」「前向きと楽観」「独立と自分らしさ」です。
人によって考えはさまざまでしょうが(先生もそれは断っておられます)、私には納得できる要素です。
詳しくは本を読んでください。「明るい人生講座」です。役に立ちますよ。

とはいえ、東北楽天ゴールデンイーグルスが負けると、元気が出ません。

女性管理職増加への「お試し課長経験」

2021年5月24日   岡本全勝

5月17日の日経新聞女性欄に、「管理職体験し「私もできる」 三井住友海上、課長職など4日間代行」が載っていました。
・・・女性活躍推進が声高に叫ばれながらも、女性管理職比率は思うように伸びない。管理職になりたがらない女性社員が多いからだと企業は嘆く。未知の領域への挑戦は誰もがためらうもの。ならば女性の不安解消のために管理職を一時的に実体験させてみてはどうだろうか――三井住友海上火災保険は女性管理職増加へユニークな施策を試みた・・・

・・・三井住友海上火災保険の20年度女性管理職比率は15.1%。ここ3年で7ポイント上昇したが、女性社員比率65%と比べると物足りない。なぜ増えないか。一因は女性の意識だ。課長になりたいかを社員に尋ねた調査に、男性は87%が「なりたい」と答えたが、女性は13%にすぎなかった。「責任が重すぎて無理」「結婚・子育てとの両立ができそうにない」などの声が上がった。
だが本当に管理職は女性にできないのか。実情が分からず、尻込みしているだけではないか。そんな問題意識から、部下持ち課長の職務を体験してみる「マネジャー・チャレンジ」(略称マネチャレ!)を昨年度始めた。
対象は営業部門。社内でも特に女性管理職比率が低い。何かあればいつ何時でも顧客対応が求められる。数値目標の達成の重責も担う。女性に向かないポスト――女性に限らず男性も、そんなアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を持っている。あえて厚い壁を突き崩す狙いだ。
4日間連続で1人の課長に密着し、可能な限り業務を代行する。新任マネジャー研修も事前に受講して、マネジメントの基礎を学び、23人の女性社員が課長になってみた・・・

・・・子育てとの両立でも光明がみえた。支社長代行として5人の部下と人事面談する中で、管理職は仕事を1人で抱え込まずとも、部下に上手に権限委譲すれば部署を回せると気づいた。「ワーキングマザーも管理職になれる」
23人は「マネチャレ!」前、全員が管理職になりたくないと考えていた。だが、挑戦後に22人は「なってみたい」と変化した。1人ではなし得ない仕事ができ、部下の成長に寄り添える。重責に見合うやりがいを体感したからだ・・・
詳しくは、原文をお読みください。

賢人の知恵、離れて見る

2021年5月10日   岡本全勝

5月4日の朝日新聞、デイビッド・ブルックスさん(ニューヨークタイムズ)の「賢人が持つもの 自己を引いて見つめる力」から。
ブランダイス大学社会学教授モリー・シュワルツ氏と、かつての教え子ミッチ・アルボムと対話、『モリー先生との火曜日』について。ちなみに同書は、1500万部以上売れたそうです。

・・・シュワルツ氏の鋭い洞察に目を向けると、実はそれほど特別なことは言っていない。「できることもできないことも素直に受け入れよ」。シュワルツ氏が素晴らしかったのは、注意力の質だった。私たちはみんな、今を生きるべきで、瞬間の充足感を味わうべきだと知っている。だがシュワルツ氏は、それを実行できる人だった・・・
・・・私が実際に出会った賢人たちも、みんな似ている。人生を変えるような言葉を発するのではなく、他人をどのように受け入れるかが大事なのだ。知恵といえば、人里離れた所にいる近寄りがたい年老いた賢者を思い浮かべることが多い・・・しかし、私が体験したのは、知識体系よりも、人との向き合い方だった。秘密の情報を授けてくれることよりも、自分自身で気づきが得られるようにしむけてくれるような関わり方なのである。

知恵は、知識とは違う。フランスの思想家モンテーニュは、他人の知識で物知りにはなれるが、他人の知恵で賢者になることはできないと指摘した。知恵には、具現化した道徳的要素が含まれる。自分自身がもがき苦しんだ経験から、他者の弱さに対する思いやりある配慮が生まれる。
賢人は、何をすべきか教えるのではなく、物語を見つめることから始める。私たちの話や理屈を聞き、価値のある苦闘をしている存在として見てくれる。私たちの心の内側と、自分では見えない外部からの両方の視点から見る。私たちが「親密」と「自立」、「管理」と「不確実性」といった人生の弁証法的問題にどう取り組んでいるかを見て、現状が長く続く成長における一つの地点であることを理解してくれる・・・

・・・人は、自分が理解されたと感じて初めて変わることができる。本当に信頼でき、知恵を求める相手は、賢人よりも編集者に似ている。彼らはあなたの物語を理解し、あなたが過去と未来との関係を変えられるように再考を促す。あなたが本当に望むものは何か、あるいはどのような重荷をおろしたいと思っているのか、などを明らかにしようとする。そして、あなたがその人に相談した表面的な問題の根底に横たわる、深い問題を探るのだ。
自分自身の結論へと歩む、巧みで忍耐強いプロセスこそが知恵と感じられるものだ。おそらく、だからアリストテレスは倫理を「社会的行為」と呼んだのだろう。

結果として得られる知識は個人的であり、文脈的だ。一般論ではなく、名言集に載るような格言でもない。このような視点に立てば、プレッシャーから自由になり、自分が置かれている状況から少し距離をとり、希望を持てるようになる。
シュワルツ氏のような賢人が感銘を与えるのは、沈着冷静ですばらしい自己認識をもっているからだろう。彼らは他者を観察することでそれを身に付けたのではないだろうか。他人のために判断を下す方が、自分のために何かを決めるより簡単だ。賢人は、第三者として考えるスキルを身に付けて、鏡にうつる自分という相手にそれを適用しているのかもしれない。たぶん、自己認識とは、内面での熟考ではなく、自分のことを誰かほかの人のように見ることで大部分ができているのではないか・・・