カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

パワハラ、しごき

2018年11月26日   岡本全勝

11月22日の朝日新聞オピニオン欄「人を導く力とは」から。

筒香嘉智さん(プロ野球横浜ベイスターズ選手)
・・・今年の夏、少年野球で暴力を振るう指導者の動画を見ました。あり得ません。罰はまったくいらない。他のスポーツや会社でも、怒鳴る、殴るという指導があると聞きますが、そのような指導者は、相手に聞いてもらえる言葉を選べていないわけで、言うだけで足りないから殴ったり怒鳴ったりしてしまうんですよね。
指導する際は、じっくり見守り、迷いがあるときなどに手を差し伸べる、というのが理想的です。答えをすぐに教えたくなる気持ちもわかりますが、それは子どものためにならない・・・
・・・コーチングというのは、本来は導くという意味です。しかし、日本ではティーチングをしていることが多い。怒鳴りつけるコーチは米国でもドミニカでも見ませんでした。会社でも、部下が仕事でミスをしたというだけで怒り、自己満足しているのは厳しさじゃないと思います。愛がないように感じます。共にする時間が長い上司として、部下が日ごろどう考え、どんな努力をしてきたのかをすべてわかった上での言葉ならいいと思いますね・・・

川人博さん(弁護士)
・・・元ラグビー日本代表の故・平尾誠二さんと、ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんの物語を書いた「友情」という本に、「人を叱る時の四つの心得」が記されています。(1)プレーは叱っても人格は責めない(2)あとで必ずフォローする(3)他人と比較しない(4)長時間叱らない、とありました。
私が担当する東京大学のゼミで、(お好み焼き店チェーンの)千房の創業者である中井政嗣さんに話をしてもらったことがあります。元受刑者を積極的に採用し、上司が部下に接する際に大事なのは、「ねぎらい」と「励まし」だと指摘されていました。これこそリーダーシップだと思います。
この逆がパワハラで、相手のためではなく自分のストレス発散のために叱っています。誰でも加害者になる可能性があります。個人的資質も関係ありますが、環境や置かれた条件にも左右されます。社長から無理難題を課せられた部長や課長が、その部下に八つ当たりをするようになります。
長時間労働で肉体的にも精神的にも疲れると、他者への配慮を欠くことにつながります。抑圧は下へ下へと移っていき、最終的に家庭内での虐待などにもつながっていると私は考えています・・・
この項続く。

パワハラ

2018年11月23日   岡本全勝

NHKウエッブニュース欄に「人が人を傷つける悲しい会社」が載っていました。パワハラの実態です。

調査会社の調査結果によると、パワハラを受けたことがある従業員は、平成24年には25%で、28年には33%に上っています。3人に1人がそう感じています。他方で、パワハラをしたことがある・パワハラをしたと指摘されたことがある人も12%います。
この差は、加害者は「自分はやっていない」「教育的指導だ」と思っている人が多いことが理由でしょう。
しかし、8人に1人は「自分もやっている」と認識しているのです。わかっているなら、やめてほしいですね。

・・・また、そうした企業では、仕事ができる人がパワハラの加害者になっているケースが多い、というのも金子さんの見方です。
「自分ができるために求めるハードルが上がり、部下ができないことを認められません。上層部も仕事ができるために止めることができない。そこでエスカレートしていく。悪循環ですね」・・・

・・・社会心理学が専門で集団における人間関係に詳しい立正大学の西田公昭教授です。パワハラをするのは、自身のこれまでの経験がベースにあるのではないかとみています。
「自身が成長する中で家庭や学校で実際に人が人に高圧的に接する場面を見てきた、暴力的な指導を受けてきた。それを受け継いでパワハラを当たり前と思ってしまっているのではないか。パワハラという概念はなく、例えば教育やしつけだと考えている場合もあると思います」(西田さん)
「そのうえで家庭や上司との間でストレスがあったり、相手が無礼な態度をとったと感じたりすることが引き金になり、ハラスメントにつながってしまうのではないでしょうか」
西田教授は「個人的な資質はなかなか変わらないこともあります。研修をしたり、当事者以外の第三者の目を入れて、“それ以上はだめ”とパワハラに気付かせたりする態勢づくりが必要です」などと話し、組織として対策を進める必要を強調していました・・・

働き方改革の意味

2018年11月20日   岡本全勝

11月19日の日経新聞は、働き方改革を特集していました。数ページにわたる特集なので、本紙を読んでいただくとして。中村直文・編集委員の「「働くとは」考える集団へ 会社は個人の力発揮の場に」の一部を紹介します。

・・・働き方改革関連法が成立した2018年は日本経済にとって歴史的な節目の年として位置づけられるだろう。日本企業は方向性が決まると速い。時間短縮、テレワークの普及など数年内に一段と進みそうだ。もっとも働き方改革は形の問題ではない。会社は個人の能力を効率よく、最大限に発揮させる「場」に脱皮できるのか。質的転換のスタートにすぎない・・・

・・・なぜ政府が腰を上げるまで企業の働き方改革が進まなかったのか。原因の一つが高度成長型の製造業モデルが染みついていたからだ。人口が増え、作れば売れる時代、時間をかければ生産性は上昇し、成長を実現できた。
そして同じ場所で目標を一つに働く“チームワーク信仰"も大きい。同じ空間でないと、生産性が上昇しない工場経営の発想だ。経済のサービス化・ソフト化が進んでも、緊密なコミュニケーションの方が競争力がアップするとの見方から「同一空間・同一労働」を重視してきた。

もちろん五輪のリレーチームのように、まとまりこそが日本の競争力という考え方に理もある。だが女性の社会進出、経済のグローバル化に伴い、従来型の“チーム一丸型経営"は通用しなくなっている。ダイバーシティーが求められる今、「日本人はむしろチームワークが苦手」との指摘もある。
同じ空間と同じ発想に依存するのではなく、仕事の成果と報酬がリンクする自律性を持った社員が増えないと働き方改革は頓挫してしまう。アフラックではテレワークによる本社業務の地方展開を進めている。「働く場所にとらわれることなく、キャリアの選択肢を広げる」のが狙いだ。

コミュニケーションは大切だが、会社に行くことが目的ではない。「仕事とは何か」を再定義し、習慣を変える必要がある。顧客の抱える問題を解決し、その見返りとしての利益を得ることが最終目的だ。
例えば清涼飲料の場合、新商品は増えているが、ヒット商品はない。「顧客のため」と掲げ、新商品を乱発しても無駄に終わる。家電、ファッションなど例外ではない。社員の均質的な思考パターンが一因で、横並びの体質が抜けきれない。働き方改革とはゴールにたどり着くためのプロセス刷新、アイデアを多く生む土壌作りなど、新たな場作りに他ならない・・・

人は「意味」を食べて生きる存在。山口周さん

2018年11月19日   岡本全勝

11月13日の日経新聞オピニオン欄「ポスト平成の会社像は」。山口周さんの発言から。

・・・コンビニエンスストアを見回すと、役に立つ文房具が少なく、役に立たないタバコが豊富だ。これが今の経済の姿を映している。日本は得意だったはずの「役に立つ」という分野で負け組に転じた。情緒が不要で、「役に立つ」代表だった半導体チップはインテルの総取りになってしまった。これからは「役に立たない」ことでお金を稼ぐ方向にシフトする必要がある。
ビジネスは問題の設定と解決。昭和は不満、不便、不安だらけで、問題を設定する必要がなかった。トップが宿題を出し、それをミドルが解決していく構造だった。しかし問題が外から与えられない豊かな時代は違う。問題を解決する人こそ余ってしまう・・・

・・・日本の大学は実学志向を強めているが、米国で実学に力を入れているのは大学院だけ。ハーバードやスタンフォードなど海外の大学はむしろリベラルアーツを強化している。つまり教養だ。アジェンダシェイプにはリベラルアーツが大事になるということだ・・・

次のような発言も。
・・・リーダーの再定義も欠かせない。「年長者に向かって反論できる心理的な抵抗の度合い」についてオランダの心理学者が「権力格差指標」をつくった。この指標とイノベーションには相関関係があると思う。日本は欧米に比べ権力格差指標が高く、イノベーションランキングは低い。リーダーは権力で支配するタイプではなく、地位と関係なく、他者に奉仕するサーバントリーダーが求められる。

日本には「意味」も足りない。広告代理店に勤務していたころ、働く意欲を失う社員を多く見た。無意味な商品を出すことに嫌気がさすのが理由だった。人は「意味」を食べて生きる存在だ。北海道の炭鉱労働は過酷だったが、精神を病む人は出てこなかったという。エネルギー産業の中心に身を置く炭鉱マンは自負と意味に満ちていた・・・

コンプライアンス対策の弊害

2018年11月15日   岡本全勝

11月13日の日経新聞「私見卓見」、弁護士の増田英次さん、「「正しいことをする」を人事評価に」から。

・・・門企業の不正やスポーツ界での不祥事が絶えない。日本もコンプライアンス(法令順守)に極めて厳しい社会になっているにもかかわらず、なぜこのようなことが続くのか。弁護士として危機管理に対応してきた経験からいえば、社員一人ひとりがコンプライアンスの必要性や重要性について、本当の意味で腑に落ちていないところに原因があるのではないか。

企業が働き方改革などのスローガンを掲げても、実際にはパワハラ、減点主義、非効率な業務などに振り回される社員は多い。彼らは自尊心を失い、自分で考え、正義感をもって行動する意欲を失う。その結果、多くの社員はコンプライアンスに関心を持つ余裕もなくなり、目先の業績の目標達成だけが組織で生き残る指針となる。
そうした組織では、社員を締め付けるだけのコンプライアンス対策は、かえって隠蔽をまん延させる。監視・監督を強めることが、結果的に不祥事を誘発しているといっても過言ではない・・・

では、どうしたらよいか。原文をお読みください。