カテゴリーアーカイブ:仕事の仕方

商工中金事件、職場の空気の支配と「性弱説」

2017年10月22日   岡本全勝

商工組合中央金庫での不正融資が、大きな問題になっています。4月25日に、第三者委員会が調査結果を公表しています。興味深いことが載っているので、紹介します。引用には「要約版」を使います。

今回問題になっている不正融資は、リーマン・ショックや大震災の際に、一時的に経営危機に陥った中小企業に、特別な融資をするものです。国費による利子補給があり、倒産した場合も国費で補償(穴埋め)します。ところが、要件に該当しない事業者にも貸し出したことが問題になっています。その際に、担当者が貸出先の試算表を自作し、数字を改ざんしたのです。

その背景として、「過大なノルマ」が指摘されています(p30)。そして、声を上げない現場という企業風土が指摘されています(p32)。改ざん行為に手を染めなかった担当者について、次のように記述されています。
「○○さんは、“自分はそういうのは嫌いだから”といって改ざんをしなかった。でも割当がこなせずに上長から“話が違うだろ”“ふざけんな”と怒鳴られ、干されていた。
自分たちは“改ざんすれば怒られなくて済むのに”“正直者がバカを見る”“要領が悪い”という見方をしていた」

そして、不正を疑った社長が、特別調査を命じます。ところが、奇妙な論理と職場ぐるみで、隠蔽してしまいます。これについては、別に書きましょう。
職場ぐるみでの隠蔽にあたっては、「空気の支配」「決断なき実行」も指摘されています(p38)。
「上から、“不祥事にするな”とは言われていない。ただ“不祥事にしたくないよね”という雰囲気は組織全体にあった。“不祥事にならないといいよね”“できればしたくないよね”“そのためには努力もする(試算表を客先から新たにもらう)”という空気感はあった」
「はっきり誰かと話したのではないが、資料のやり取りも、要件確認にあたるのも同じ空気。上から(もみ消せと)言われて、もみ消さねば、となったのではなく、空気で“これはまずいよね”とみんなが感じた。なんとなくそうなっていた」

「空気の支配」「決断なき実行」は、旧日本軍の太平洋戦争開戦を思い出させる言葉です。
報告書は、また、「性弱説」という言葉を作っています(p46)。
・・・商工中金の内部統制は、不正リスクの存在を前提とせず、「性善説」に立った内部統制であったということができる。その背景には、やはり過度の「同質性」があり、同じ組織の中で生きていく身内に疑いを抱くようなことはできないというメンタリティが垣間見える。
しかし、「性善説」に立った内部統制の失敗が今回の事態を招いたことは明らかである。とはいえ、「性悪説」に立つことが商工中金に相応しいとも思えない。
そこで、「性弱説」、つまり職員は元来弱い存在であり、不正のトライアングル(①動機ないしプレッシャー、②機会、③正当化理由)が揃うと弱い社員は不正に走ってしまうので、不正のトライアングルが揃うのを阻止し、弱い社員を不正に走らせない施策を講じることが必要である、という考えに立脚した内部統制を確立すべきである。
これなら、商工中金の役職員のメンタリティにもマッチし、身内から不幸な職員を出さないための施策として納得しながら進められることが期待される・・・
「性弱説」という言葉とこの指摘は、多くの職場で活用できるでしょう。

かつての同僚たち、国際舞台での活躍

2017年10月17日   岡本全勝

麻生太郎・副総理が訪米して、ペンス副大統領と日米経済対話に臨みました。
副総理の左右に、日本政府の関係者が並んでいます(NHKニュース)。財務省からは浅川雅嗣・財務官(副総理の向かって右隣)。外務省からは山崎和之・外務審議官(副総理の左の佐々江大使の隣)。経産省からは柳瀬唯夫・経産審議官(山崎君の隣)です。それぞれ事務次官級の役職で、国際関係を担当しています。この3人は、麻生内閣の総理秘書官仲間です。
農水省からは、松島浩道・農水審議官(浅川君の隣)が出席していました。松島君は大震災直後に、被災者支援本部で活躍してくれました。
半ば偶然で半ば必然ですが、かれらがそろって麻生元総理の横で仕事をしています。かつての同僚たちが活躍している姿を見ると、うれしいですね。

英語習得のすべ2

2017年9月29日   岡本全勝

昨日「英語習得のすべ」を書きました。読者から、次のようなお便りがありました。本人の断りなしに、転載します。
・・・私もこの春に「高速CD 聞くだけで英語が話せる」、「ネイティブの脳&耳になる」「特許取得」・・・の表紙、帯に惹かれて英語教材の本を買いました。1,080円です。
結果は、このHPのとおりです・・・

被害が1,080円ですんで、良かったですね。苦笑。
かつて、大学時代にもっと高価な教材を買ったけど、ほとんど使わなかった経験者より。

英語習得のすべ

2017年9月28日   岡本全勝

9月15日の9月15日の日経新聞「私見卓見」杉田敏・NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師の意見「英語習得を疎外している神話」から。

・・・日本の語学ビジネスの市場規模は約8700億円と推定されている(矢野経済研究所調べ)。語学学校や学習材料、語学周辺ビジネスなどを含めて日本人が語学学習に投資する年間の総額で、大部分は英語ビジネスと考えられる。
ところが、英語を母語としない人たちを対象とする英語能力測定試験TOEFLのスコアにおいて、日本人の平均点は世界でほぼ最下位のグループに属している。
多大な投資をしながら費用対効果の悪い原因は何か。文部科学省の責任や教師の質を挙げる識者もいるが、最大の元凶は学習者自身の「甘えの構造」だ。
英語をある程度モノにするには最低2000時間の学習が必要だといわれる。英会話学校に週1、2回行ったくらいでは上達しないのは当たり前である。学校の音楽の時間にピアノを習っただけでピアニストになった人はいない。さらなる自助努力が必要だ。

ちまたには「楽しみながら」「知らず知らずのうちに」「涙なしに」など、簡単に英語をマスターできるような暗示を与える題名の本や教材、語学学校などの宣伝文句が氾濫している。しかし、こうした「神話」に惑わされてはならない。ただ「シャワーのように」「BGMのように」英語を聞いていたのでは、どんなに長時間行っても効果が上がるはずはない。
語学の勉強は決して楽ではない。学習機会や道具を手にいれるにはお金が必要だ。勉強の時間と空間はどこかでつくり出さなくてはならない・・・

仕事の達人

2017年9月21日   岡本全勝

一つの仕事に打ち込む、そして達人になることは、すばらしいことです。
朝日新聞月曜夕刊に「凄腕つとめにん」という連載があります。
社長といった社会的な著名人ではなく、人知れず作業場や会社の中で、仕事に打ち込んでいる職人たちです。
「こんな仕事もあるんだ」と驚くような仕事が並んでいます。そして、毎日の作業が半端ではありません。「よく続くなあ」と感心します。達人とは、このような人たちをいうのでしょうね。