投稿者アーカイブ:岡本全勝

「タテ社会と現代日本」その2

2019年12月13日   岡本全勝

中根千枝先生の新著『タテ社会と現代日本』の続きです。
いくつも「なるほど」と思う指摘がありますが、その一つに「社交の場がないこと」(P106)があります。
日本では、場を重視し、集団への帰属と集団内での扶助が優先されます。小集団を超えた関心は少ないのです(P102)。それは、社交の場がないことにつながります。ラテン系の国では、村に広場があって、夕方には村人が出てきて会話を楽しみます。中近東ではコーヒーハウスがあって、イギリスではパブがあります。そこに集まるのは、同じ階層の人です。これらの国では、集団への帰属より、資格・階層が重視されるからです。

地域でのつながりが薄くなると、困ったことになります。これまで多くの男性は、会社という場に入り、それを唯一の帰属先としていました。定年で退職すると、一部の人を除いて、つながりを失います。また、新しいつながりの作り方を知りません。女性は、ママ友など、横のつながりを作っているのですよね。

社交の場がないことは、私も痛感しています。
一つは、職場以外での付き合いが少ないことです。近所の人とは挨拶をし、植木の手入れの教えは請います。しかし、私の職歴や関心で、話が合う人は少ないです。簡単に言うと、一緒に飲みに行く人がいないのです。

二つ目は、オシャレをしてキョーコさんと出かける場がないのです。
宮中に呼ばれたり、桜を見る会に呼ばれたときに、キョーコさんは和服を着て、おめかしをして出かけます。私は、モーニングコートかダークスーツです。しかし、モーニングを着る機会は、ほかにありません。結婚式と成人式だけでしょうか。タキシードでも羽織袴でもよいですが、私は着ることがないので。
中根先生がおっしゃる「資格が共通するつながり」が、もっとあればよいのですが。

宮城県被災地視察、その2

2019年12月12日   岡本全勝

宮城県被災地視察」の続きです。追悼記念施設も、各地でできつつあります。
石巻市の南浜津波復興祈念公園は、中心となる建物が建ち上がりました。まだ、完成までには時間がかかります。写真で赤線で囲った地域全体が公園です。ここに町があったのです。危険なので、住宅の建築を禁止し、公園にします。

気仙沼市の東日本大震災遺構・伝承館は、被災した高校の建物を保存したものです。
当日、生徒たちは高台に避難し、それも指定場所では危ないと考えて、2キロ内陸まで逃げました。残っていた先生たちは、屋上のさらに塔に上って助かりました。
校舎に入ることができます。窓や天井は津波によって破壊され、机などが流され、代わりによその家の部材が入っています。3階に、津波で流されてきた自動車が残っています。
市民から提供された津波の映像は、迫力があります。13分間なのですが、見終わると30分くらい経ったような気がします。
当時を知っている人も、だんだん記憶が薄れているでしょう。また、若い人たちには、知らない人も増えてきます。ぜひ、ご覧ください。

落としたスマホが戻る日本

2019年12月11日   岡本全勝

12月6日の朝日新聞夕刊スポーツ欄に、「スマホ戻り、作戦通りスパート 福岡国際マラソン優勝、エルマハジューブ・ダザ」が載っていました。

・・・1日にあった第73回福岡国際マラソンは、初出場のエルマハジューブ・ダザ(モロッコ)が2時間7分10秒の好タイムで初優勝を果たした。来年の東京五輪のメダル候補に躍り出た28歳は「日本のことがすごく好きになったよ。また僕の走りを見てほしい」。快走の背景には、日本人の親切さがあったという・・・

・・・大会2日前の夜。コーチのエルムサウイ・ムスタファさん(49)は、1人で福岡市内のスポーツバーで酒を飲んでいたが、スマートフォンを店に忘れたままホテルへ帰ってしまった。翌朝起きると、手元にないことに気づき、「絶望的な気持ちになったんだ」と頭を抱えた。

連絡先だけではない。そのスマホには、ダザの練習メニューや食事メニュー、福岡のコースの特徴やレース中の注意点など詳細なデータが入っていたのだ。
あきらめかけていたが、交番へ向かう前にホテルのフロントに確認すると、「こちらですか?」。スマホが届いていた。バーのテーブルに置いていたホテルのルームキーを覚えていた店員が届けてくれたようで、「信じられなかった。日本人はなんて親切なんだと、感激したよ」。

ダザも一安心できたのは言うまでもない。大会では、作戦通りに30キロ過ぎにスパートをかけて飛び出し、ぶっちぎりの優勝を果たした。「スマホがなかったら違う作戦を立てていたかもしれない。もっとハードな展開になっていた」とムスタファコーチ。優勝を決めた後、2人はぎゅっと抱き合った・・・

落としたスマホが、戻ってくる。世界200カ国の中で、そのような国はいくつあるでしょうか。この治安の良さ、親切心は、大事にしたいです。
もっとも、海外に行くと、落としたら戻ってこないことを、忘れないでください。プロにかかると、ロックはすぐに解除されるので、落としたスマホは直ちに転売されるそうです。

学歴が評価されない日本、高学歴が減る

2019年12月10日   岡本全勝

12月8日の日経新聞1面トップ「チャートは語る」は、「博士生かせぬ日本企業 取得者10年で16%減」でした。
・・・世界は新たな「学歴社会」に突入している。経営の第一線やデジタル分野では高度な知識や技能の証明が求められ、修士・博士号の取得が加速する。主な国では過去10年で博士号の取得者が急増したのと対照的に、日本は1割以上減った。専門性よりも人柄を重視する雇用慣行を維持したままでは、世界の人材獲得競争に取り残されかねない・・・

少子化の影響ではありません。4年制大学の入学者は、増えているのです。多くの人が4大卒で満足し、大学院まで進まないのです。その背景には、企業や社会が大学院卒を求めていないことがあります。その基礎に、大学での教育に専門性を期待していないことがあります。

日本の企業は、学生に学校で得た知識や学問でなく、空気を読むことを期待しているようです。採用面接の際に、「大学でどのような学問をしたか」ではなく、「学生時代に一番力を入れたことは何ですか」と問うのだそうです。学生の答は、サークル活動とバイト経験です。
学問に励まない学生、卒業生という「製品」に品質保証をしない大学、大学に学問を求めない企業。三者のなれ合い構造です。そしてそれを当然と思っている国民も、同罪です。「企業の採用面接に見る日本型雇用

詳しくは記事を読んでいただくとして。グラフがいくつか付いています。諸外国との比較が一目瞭然です。

と書いていたら、12月5日の朝日新聞オピニオン欄に、ジョセフ・M・ヤング、駐日アメリカ臨時代理大使が「減る日本人の米留学 関心高め同盟の土台に」をかいておられました。
・・・日本への米国人留学生数が増える一方、米国へ留学する日本人が激減しているのだ。1997年に約4万7千人いた日本人留学生は昨年、約1万8千人となった・・・

宮城県被災地視察

2019年12月10日   岡本全勝

9日、10日と、宮城県の被災地を視察してきました。毎年行っています。岩手県は10月に行ったのですが、宮城県は秋の台風災害もあり、この時期になりました。
今回は、東松島市、石巻市、女川町、南三陸町、気仙沼市を見てきました。首長さんたちは、12月議会の最中ですが、忙しい中、説明をしてくださいました。旧知の方々です。皆さん、苦労しておられるのですが、街の復興が完成に近づき、円満な表情です。

住宅の復興はほぼ完成に近づき、仮設住宅に入っている人は少なくなりました。この人たちも、住宅の完成を待っておられるので、来年度中には移ってもらいます。
ほとんどの町で、市街地の復興土木工事は終わっています。もう少し残っている町もあります。あと1年あまりで、街の復興は完成する予定です。しかし、地元調整が長引いた場所での防潮堤を含んだ工事などは、もう少しかかるところもあるようです。

また、市街地ではないのですが、集団移転した元地の活用が残っているところがあります。各町とも、住民の住宅や市街地の復興を優先したので、それら以外は後回しにしたのです。さらに、集団移転した元地は、そもそも住宅を建てることができない場所です。活用には、制約があります。
それぞれの町で工夫を凝らして、活用しています。産業団地、公園、パークゴルフ場などなど。

首長さんたちに、課題や悩みを聞くと、残った工事の完成、戻らない産業の復旧、そして人口減少を上げられます。工事はこのまま進めば、あと2年で完成するでしょう。
産業は、いくつかの課題があります。まず、魚が捕れないことです。この地域の主たる産業は漁業です。ところが、サンマや鮭が捕れないのです。これは、短期的には手の打ちようがありません。
人口減少は、止まりません。少子高齢化で、生まれる数より亡くなる人の数の方が、はるかに多いのです。被災地だけの問題ではありません。日本の多くの地方で進んでいる現実です。この項続く