投稿者アーカイブ:岡本全勝

働きがい改革

2020年11月5日   岡本全勝

11月2日の日経新聞「スマートワーク 新常態の対応、企業の競争力左右」に「求められる働きがい改革」という部分があります。
・・・労働生産性は通常、仕事で生み出される付加価値を労働投入量で割ることで測る。従来の働き方改革でフォーカスされてきたのはこの計算式の分母(労働投入量)をいかに小さくするかだった。日本は長時間労働を美徳とする企業文化があり、給与に占める残業代の比率も高い。このことが先進国で最低の生産性の原因と見なされ、残業時間の削減が働き方改革の「1丁目1番地」となった。
見かけの数字では改革は進捗している・・

・・・アフターコロナでは、生産性の計算式の分子である付加価値により目を向ける必要がありそうだ。経団連も今年1月にまとめた経営労働政策特別委員会(経労委)報告で、これまでの働き方改革が残業時間削減や休暇の取得促進に一定の成果を上げたと総括。その上で働き方改革の「フェーズ2」では付加価値の最大化が課題と指摘した。カギとして位置づけられたのが従業員の「エンゲージメント」の向上だ。
エンゲージメントは2000年代前半に欧州で確立した概念だ。日本では「働きがい」と訳されることが多い。自分の仕事に意義を感じ熱意を持って取り組む姿勢を指す。蘭ユトレヒト大学などがエンゲージメントを定量化する手法を開発するなど、生産性を測る新たな尺度として世界的な注目を集める。人事コンサルのリンクアンドモチベーションの調査では、エンゲージメントが高い企業の方が収益性が高い傾向にある。

日本は諸外国に比べてエンゲージメントの水準が低い。17年の米ギャラップの調査では、「自分の仕事に熱意を持っている」と答えた人の割合は6%と世界平均(15%)の半分だった。米国(33%)やシンガポール(23%)に遠く及ばない。
米国に本部を置く国際的な調査機関、グレート・プレイス・トゥ・ワーク(GPTW)が今年2月に発表した、世界60カ国の7千社を対象に実施した調査でも、日本企業の4割が働きがいは「低下傾向」にあると回答した。働きがいの底上げなくして生産性の向上はおぼつかない。
何が必要か。リクルートマネジメントソリューションズが2月に発表した全国約600人を対象にした調査がある。働きがいを高める制度として上げた人が多かったのは、「社内公募などで配置が実現する仕組み」(44.7%)や「自分の希望に応じて特定のスキルを学べる研修」(49.8%)。柔軟で自由度の高い人事制度が処方箋の一つといえそうだ。
だが現状、日本企業では職務内容に限定がない「メンバーシップ型雇用」が圧倒的な多数派。転勤や異動を拒否することはできず、キャリア形成はもっぱら会社任せだ。コロナを機に職務内容を細かく規定した欧米型の「ジョブ型雇用」を導入する企業も増えているが、働き手の主体的なキャリア形成を後押しする仕組み作りが不可欠だ・・・

このホームページや、拙著「明るい公務員講座 管理職のオキテ」で取り上げている課題です。

住民投票で決める労働者の身分

2020年11月5日   岡本全勝

10月27日の日経新聞オピニオン欄、村山恵一コメンテーター「グーグルは民主的なのか」に、次のような記述がありました。
・・・米大統領選の日、2社の地元カリフォルニア州では、ギグワーカーは個人事業主か従業員か、処遇のあり方を問う住民投票がある。安心して働けることは民主主義の土台だ。投票の結果がどうであれ、運転手が納得できる仕事の環境を整えるための知恵を出し続ける責任がウーバーなどにはある・・・

このようなことが、住民投票にかけられるのですね。
かつて、イギリスの町を視察した際に、町議会で、町のパブに音楽などを許可するかどうかを、審議していたことを思い出しました(2002年欧州探検記 セント・アルバン市)。

大阪都構想否決、大阪維新の会は?

2020年11月4日   岡本全勝

11月3日の朝日新聞オピニオン欄「維新の会どうなる」から。
・・・大阪都構想の是非を問う住民投票は、2015年に続いて僅差で反対多数となった。構想を政策の「一丁目一番地」として掲げてきた維新の会は、どうなるのか・・・

「大阪集中こそ、生き残る道」砂原庸介・神戸大学教授
・・・住民投票で反対が上回ったのは、維新の実績を評価した有権者がいたからという側面もあるでしょう。大阪府と大阪市という行政機構の外側で維新の会が政策や利害を調整している。だから「現実問題として二重行政の問題はかなり解消されているので、大阪市の廃止まで行う必要はない」と考え、住民投票で反対票を投じたり、棄権したりした。そういう維新支持の有権者も少なくなかったのではないかと思います。

今回の結果で、自らが負っていた都構想という「くびき」から逃れることになるとも言えます。都構想実現となれば、結党目的を達成した政党として存在意義を失いかねませんでした。制度が変わらないことで、大阪の地域政党として選挙で支持を集めれば、利害調整の役割を果たすことが可能です・・・

万城目学さん、松沢裕作さんの発言も、興味深いです。

魚と肉の消費量

2020年11月4日   岡本全勝

10月31日の日経新聞夕刊1面に、「魚と格闘 旬を手料理」という記事が載っていました。
・・・さばけないし、臭いが気になるし、面倒くさい。そんな魚料理を楽しむ人が増えている。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えた。家族に振る舞おうと、鮮魚店や包丁店を訪れる男性客の姿も目立つ。さばき方を解説する動画も人気だ。自らの手で命に触れ、海や漁師の仕事に思いをはせた一皿は、ちょっぴり不格好でも、格別の味だ・・・

そこに、魚と肉の消費量が、図になって載っています。日本人一人あたりの魚介の消費量は、2001年の約40キログラムから、2018年には24キロまで、4割減っています。
一方で、肉は増え続け、2001年ごろは約28キロで、2011年頃に肉が魚を抜きました。現在は33キロと、魚介の1.5倍です(農林水産省 食糧需給表)。

魚の消費量が減った理由の一つは、一人暮らしが増加したことでしょう。一人で食事を作るときは、面倒な調理を避けますから。今年、米の消費量が減っているそうです。毎年減っているのですが、今年はさらに大きく減ります。理由は、コロナウィルスです。独り者が、外食ならお米も食べるのですが、自炊では米を炊くのが面倒だそうです。緊急事態宣言で外食が制限されて、自炊になったのです。

小沢晴司さんの回顧2、環境省職員の苦労

2020年11月3日   岡本全勝

10月27日から東京新聞で始まった、小沢晴司さんの回顧「ふくしまの10年・地図に残してはいけない仕事」。放射性物質を取り除く「除染作業」が始まった頃の苦労が書かれています。

・・・東京電力福島第一原発事故から1年半後の2012年9月に開かれた避難住民への説明会。環境省の現地責任者として出席した小沢晴司さん(59)は、あらためて住民の怒り、国への不信感に直面した。
「怒号が飛び交い、厳しい視線にさらされる中、事故を発生させたことを国側責任者の副大臣と一緒に謝罪し頭を下げました。エネルギー政策だから、関係ないなんて言っていられませんでした」・・・(10月30日 怒りや不信感に直面

・・・国への不信感を募らせる避難住民に、家屋の除染に同意してもらったり、削り取った汚染土を仮置きする場所を提供してもらったりするのは一筋縄ではいかなかった。
「朝五時に事務所を出て、遠隔地の避難住民を訪問するのですが、同意のはんこをもらえず深夜事務所に戻ってきた職員のなかには、疲労と焦りから机をたたいたり、いすを引き倒したりして苦しむ者もおりました」・・・(10月31日 住民も職員も苦しんだ