投稿者アーカイブ:岡本全勝

社会の転換に取り残された者が支えるポピュリズム

2020年11月8日   岡本全勝

10月31日の朝日新聞オピニオン欄「トランプ慣れする世界」、吉田徹・北海道大学教授の発言から。

・・・ トランプ氏個人より、それを生み出した原因こそが重要です。人民の代表を自称し、既存の政治をエリート主義として揺さぶる。典型的なポピュリストのトランプ氏は、権力の中枢であるホワイトハウスの住人になっても「敵」と闘い続けた。敵はイスラム過激派、中国、国内の「極左勢力」など、状況に応じて移り変わりました。
生み出したのは産業構造の転換に取り残された、象徴的な意味での「白人男性労働者」でした。ポピュリズムは米国固有の問題ではありません。歴史的に見ると、19世紀後半、第2次世界大戦後の20世紀半ば、そして現代の三つの波がある。それぞれ農業から工業へ、サービス業の都市部集中、そしてIT産業と金融の発展という構造転換と呼応する政治です。

いずれのポピュリズムも、転換に取り残されたことへの反動から生まれた感情に根ざしたものです。ただ、現代の3番目の波には、感情の源泉にアイデンティティーが強く作用しているという特徴がある。トランプ支持者たちだけではありません。#MeToo運動やBLM運動の加速の背景にも、「私は何者か」という問い、つまり他の人と人種やジェンダー、ナショナリティーがどう違うか、があります。社会の構造的差別の原因はこの「違い」にあると捉えられ、怒りが、政治的な力に転換されています。
こうした感情の力は、従来の政治の回路でくみ取れなくなった民意の存在を教えてくれます。一方で、生み出された怒りや憎悪が大きくなりすぎて収拾できなくなっています。アイデンティティーの問題は、政策的課題と異なって妥協や合意を導くことができないからです・・・

池内紀さんの本の世界

2020年11月7日   岡本全勝

朝日新聞ウエッブサイト「論座」に、松本裕喜さんの「「歩き」「読み」「書いた」人――池内紀さんの本の世界」(10月12日配信)が載っていました。読み応えがあります。読書家には、お勧めです。
私も池内さんの愛好家の一人です。もっとも、そんなにたくさん読んだわけではありませんが。このホームページでは、『消えた国 追われた人々―東プロシアの旅』や『ヒトラーの時代 ドイツ国民はなぜ独裁者に熱狂したのか』を紹介しました。
ドイツを中心とした紀行文も、いろいろと読みました。先の2冊は内容の重い本ですが、紀行は寝ながら気楽に読める本です。先生の軽妙な文体と、最後にオチがある文章は、私は好きです。まだ、これから先に読もうと、いくつか本棚に取ってあります。

松本さんの記事に触発されて、『ゲーテさんこんばんは』と『カント先生の散歩』を買って読みました。出版されたときに、本屋で手に取ったのですが、興味がわかなくて、買いませんでした。
「池内さんは、「書きながら何度となく呟いた――こんなに楽しく、おかしな人が、どうして文豪ゲーテなどと、重々しいだけの人物にされてしまったのだろう?」(あとがき)という」「好奇心旺盛で、話好き、人間的魅力に富んだ人としてカントを描く。カントは東プロシアのケーニヒスベルクで生まれ、一生そこに住んだ。主著『純粋理性批判』はイギリス商人グリーンとの対話を通じて生まれたという。この貿易商の客間で、「思索が大好きな二人が、形而上的言葉をチェスの駒のように配置して知的ゲームに熱中した」。おおかたの哲学書はそのようにして生まれたと池内さんは指摘する」

ゲーテもカントも取っつきにくい人だと思っていましたが、その人間性がよくわかりました。ファウストは学生時代に読んだのですが、あらすじを追うのが精一杯でした。余裕ができたら、池内訳で挑戦しましょう。

コロナ下での冠婚葬祭

2020年11月7日   岡本全勝

最近、知人の若手の2人がそれぞれ結婚し、1人が婚約しました。めでたいことです。
「結婚式に呼んでくれ。ご両親が喜ぶ挨拶をするから」と、押し売りしてありました。このコロナウイルス感染拡大で、結婚した2人は、新婚旅行も披露宴もなしで、新婚生活を始めました。旅行は、ハワイとヨーロッパを予定していたそうです。私の挨拶も、できません。
私からの助言は、「披露宴は後回し。旅行はひとまず国内に行って、海外は後回しにしたら。二人で旅行は、これから何度でも行ける」です。

他方で、お葬式もありました。参列者を限った、家族葬です。お世話になった方なので、参加したかったのですが。遠くから、ご冥福をお祈りしました。

幸せになる4つの心的心的因子

2020年11月6日   岡本全勝

11月4日の日経新聞「やさしい経済学」、前野隆司・慶応義塾大学教授 の「幸せ中心社会への転換(5) 4つの心的要因が寄与」から。

・・・どのような心的要因が幸せに寄与するのかについては、1980年ごろから多くの研究が進んでいます。私たちは幸せの心的要因について、日本人1500人に87の質問をしました。その結果の分析から得られたのが幸せの4つの因子です。

1つ目は「やってみよう」とする「自己実現と成長の因子」です。やりがい、強み、成長などに関係します。その反対にあるやらされ感や、やる気がないといった人は幸福度が低い傾向があります。

2つ目は「つながりと感謝の因子」で、「ありがとう因子」といえます。感謝する人は幸せです。また、利他的で親切な人、多様な友人を持つ人は幸せです。逆に、孤独感は幸福度を下げます。つながりが醸成された社会・コミュニティーをつくることが重要です。

3つ目は「なんとかなる」と考える「前向きと楽観の因子」です。ポジティブかつ楽観的で、細かいことを気にしすぎない人は幸せです。リスクを取って不確実なことにチャレンジし、イノベーションを起こそうとするマインドもこの因子に関連しています。

最後は「独立と自分らしさの因子」です。人と自分を比べすぎる人は幸福度が低い傾向があります。「ありのままに」と考え、自分軸を持って我が道を行く人は幸せです。

これらの因子を満たしている人は幸せです。皆さんも4つの因子を満たして幸せに生きてください・・・

カリフォルニア州の住民投票、ウーバー運転手は個人事業主

2020年11月6日   岡本全勝

昨日5日書いた「住民投票で決める労働者の身分」、投票結果が出たようです。11月6日付け朝日新聞「米ウーバー運転手は「個人事業主」 カリフォルニア州で住民投票」。詳しくは、記事をお読みください。

・・・米カリフォルニア州で3日行われた住民投票の結果、ウーバー・テクノロジーズなどのライドシェアサービスの運転手が、州の「待遇改善法」の適用対象外となり、個人事業主にとどまることになった。同法は、仕事をネットで請け負う「ギグ・エコノミー」の担い手保護の先進事例とみられていたが、これに反対する企業側の大キャンペーンが奏功し、「従業員化」は実現しない見通しだ。

同州では大統領選に合わせ、こうしたサービスの運転手を個人事業主にとどめることを求める住民投票が行われた。ウーバーや同業のリフトなどの企業が計2億ドル(約208億円)超を投じて大量の広告などを出し、賛成を訴えていた・・・