投稿者アーカイブ:岡本全勝

デジタル時代の自己情報の所有権

2021年5月23日   岡本全勝

5月14日の読売新聞、トーマス・イルベス・エストニア前大統領の「私のデータ 私に所有権」から。
・・・エストニア人は半世紀にわたり、ソ連という警察国家で全体主義的に統制され、プライバシーを侵害された。だから、(1991年の独立後に進めた)行政のデジタル化では、透明性を確保して国民の信頼を得る必要があった。

全ての国民は健康や徴税、財産など自分に関する全てのデータの所有権を持たなければならない。具体的にはまず、誰があなたのデータを見たか知ることができなければならない。自分のサイトで、誰があなたの情報を見たのかが分かるようにする。
誰がどのデータを見れば合法的で、誰がどのデータを見れば違法になるのかも決める。例えば、私は自分の医療データを見ることができるが、医者以外の人は見られない仕組みにする。警察は私の交通違反の記録を見ることができるが、健康に関する記録は見られないようにする。

これらを保障するためには、データがどのように入手されたかが記録されていなければならない。こうした透明性の確保やデータ保護を進めるかどうかが、民主主義国家と権威主義国家の大きな違いだ・・・

連載「公共を創る」第80回

2021年5月22日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第80回「社会の課題の変化―多くの社会生活問題に共通の背景」が、発行されました。

第71回から「社会の課題の変化」として、成熟社会日本に生まれた新しい不安を取り上げています。それらを、格差と孤立で整理するとわかりやすいです
今回は、格差を取り上げます。「平等な日本」と満足していた私たちを驚かせたのが、格差の拡大です。「一億総中流」と信じていたら、実態は大きく変わっていたのです。
大昔から、そして発展途上時代にも、社会には不平等や格差がありました。しかし現在の格差は、それらとは性格が違います。それは、夢をも奪うものなのです。

インターネットとの付き合い方

2021年5月22日   岡本全勝

5月14日の朝日新聞オピニオン欄、ドミニク・チェン早稲田大学准教授の「わかりあえなさと共に」から。
――コロナ禍で人に会う機会が減り、ネットに1人で向きあう時間が増えました。コミュニケーションの研究者として、この1年あまり、なにを感じてきましたか。
「大学の現場では試行錯誤が続くなか、講義を映像でいつでも見返せるようになるなど、合理的な変化も起きました。オンラインでも、学生たちと一緒に学んだり、現状に対して批評的に考えたりすることはできると感じています」
「ただ、会って話すときのコミュニケーションの豊かさは、簡単には置き換えられません。人は本筋とは関係ないノイズ、つまり雑音のような情報の海の中を漂いながら、コミュニケーションを成立させるための信号を発したり受け取ったりしています。しぐさ、表情、あいづち……。この研究室の書棚の本の背表紙や置物、窓の外の風景も、理解を深める大事な情報です」
「それが、オンラインでは顔と声を除く膨大な量の情報がそぎ落とされてしまう。相手が置かれている環境や言葉の裏の感情を読み取ることは難しい。自分の話し方も、つたなくなっていく」

――グーグルやアップル、フェイスブックなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT産業が、こうした情報を差配しているとして、批判も強まっています。
「米国の西海岸に特有の、技術が進化すれば人類の悩みは解決するという、テクノロジー信仰と自由放任的な資本主義があいまって、フィルターバブルやSNS上の分断を加速させた、ということは言えるでしょう」
「収益を最大限にするため、利用者の自社アプリに対する中毒状態をいかにつくるか――。米国から中国まで数学や心理学の博士号を持つ世界の天才たちが、そんな仕事をしている。スマホのアプリは、利用者の特定の情報に対する飢餓感を誘発するように設計されている。反倫理ではないが、非倫理。悪意はないが、倫理の要素が抜け落ちていた。選挙の操作や若者たちへの精神的な影響などが指摘され、規制や再考を促す議論が始まっているところです」

――著書「未来をつくる言葉」を書くきっかけにもなった娘さんは9歳。デジタルとはどう付き合っていますか。
「注意を収奪されるものは使わせないようにしています。たとえば、ユーチューブは自動再生機能があるので、自分で選択したのではない情報に満足する状態に慣れてしまう。大人も中毒になりかねないものを無自覚に子どもに与えるのは、危険だと思います」
「ネット中毒とは、自らの意思とは関係なく時間を奪われてしまうことです。リテラシー(見極める力)を高めるためには、日本でも広くプログラミングを教育に取り込むべきです。そうすれば、子どもはプログラムの設定を少し変えるだけで情報の出方が違うことを体感できる。自分が企業の設計しだいで操作されてしまう世界で暮らしていることもわかります」

日本行政学会に登壇

2021年5月22日   岡本全勝

5月22日の日本行政学会総会、共通論題「東日本大震災・復興の政策と行政の10年」(日本学術会議共催)に、報告者のひとりとして登壇しました。私も学会員です。コロナ対策で、オンライン開催です。
飯尾潤・政策研究大学院大学教授、稲継裕昭・早稲田大学教授と一緒にです。私の演題は、「復興実務と現場の10年―強靱な町と生活の再建。政策の転換―」です。

持ち時間は25分なので、時計を見ながら話したのですが。話に熱中して、勘違いをしていていました。途中で気がついて、後半は駆け足になりました。投影資料に、話の要点などを記載しておいたので、理解してもらえたと思います。
自宅の書斎から参加したので、背景に書棚が写りました。見た方から、「後ろに本棚写ってましたで」と連絡がありました。

今回の大震災への対応と復興については、さまざまな分野から支援や意見をもらいました。行政学からは、方向を決めた復興構想会議から、途中での評価などで参画していただきました。
私たちも、評価に耐えるよう、仕事をするとともに、情報を公開しました。どの点がよかったか、不足だったかを検証してもらえる、素材を提供できたと思います。

フィリピン政府次官研修の講師

2021年5月21日   岡本全勝

今日21日は、フィリピン政府次官研修の講師をしました。コロナウィルス対策で、来日ができず、オンライン開催です。
政策研究大学院大学が、フィリピン政府に協力して実施しています。毎年日本に呼んで、1週間ほどの研修をしているそうです。私は、政策研究大学院大学で話しました。

対象者は各省の次官級で、日本でいう政務次官(副大臣、政務官)と事務次官が含まれるようです。19人が参加しました。
私は、大震災への対応の経験を話しました。理解してもらうために、写真をたくさん使いました。みなさんインターネット越しに、興味を持って聞いてくれて、質問もたくさん出ました。
フィリピンと回線で結ぶと、会話に少し時間差が出ました。それでも、便利なものです。